近年、イタリア料理等の普及により有名になって来た葉野菜、ルッコラ。栄養に優れ健康増進や美容にも良い効果があるとされ、着々と人気を上げています。店等で買うのはまだお高めですが、実は自宅で手軽に栽培する事も十分可能な物なのです。今回はそんなルッコラの育て方・栽培のコツをご紹介します。
目次
ルッコラの栽培方法って?8つの育て方のコツと注意点
1)ルッコラの紹介
(1)ルッコラとは
葉にゴマによく似た香ばしい風味と、ピリッとした辛みを持つハーブの一種です。イタリアンサラダ等には欠かせません。日本ではまだアクセント程度にしか利用されない事が多いですが、ヨーロッパでは普通の生野菜のように豊富に利用されています。
(2)科目・原産地
アブラナ科キバナスズシロ属です。地中海沿岸が原産地です。
(3)草丈・収穫期
草丈は20センチから50センチになります。収穫期は種まき後1か月経った頃からで、育った葉から適宜摘み取って長期間の利用が出来ます。真夏以外はいつでも種をまくことが出来るので、種まき時期をずらしておけばほぼ1年中収穫する事が可能です。
(4)名前の由来
ルッコラは英語では「ロケット」と呼ばれています。茎の周囲に葉が直立している様子がロケットのように見える事から名づけられました。ロケットをイタリア語にしたものがルッコラで、日本ではこちらの名前で広まりました。
(5)育てる難易度・耐寒性
栽培難易度は易しい方に入ります。耐寒性は普通にありますが夏の暑さに弱いです。栽培に適した気温は15℃から25℃の範囲です。
(6)期待できる効果・効能
葉の風味と辛みを利用して、料理のアクセントとして人気が高いです。またビタミンCやEが豊富で、胃の調子を整える効果もあります。鉄分やカルシウムも多く含まれている為、女性の健康や美容にも役に立つと評判です。
2)種類はあるの?ルッコラの3つの種類と特徴
(1)ルッコラ「ロケット」
最も一般的なルッコラの品種です。普通にルッコラと言った場合は大体この品種の事を指しています。初心者でも育て易く、このページでもこの品種についての説明をしています。
(2)ルッコラ「アストロ」
味に癖が無く、葉柄が長くなるタイプのルッコラです。早生品種です。
(3)ルッコラ「オデッセイ」
こちらも癖がなく食べ易いとされるルッコラです。
3)グッズを整えよう!栽培するのに必要なグッズとは
(1)プランター
標準の60センチタイプの物がルッコラ栽培には適しています。園芸用品店などで入手しましょう。
(2)ふるい
種をまいた後に土を被せる時、あると薄く均等に土をかけられて便利です。100円ショップなどでも安く売っています。
(3)じょうろ
目の細かい口のついたタイプを選びましょう。特にルッコラの新芽はデリケートで、水を優しくかけてやらないと傷んでしまう為です。園芸用品店などで安く売っています。
4)栽培手順を理解しよう!ルッコラの6つの栽培ステップ
(1)ステップ1:土の準備
ルッコラには連作障害がありますので、特に畑植えの場合には、過去にアブラナ科の植物を栽培していない土かどうかをよく確認してください。土の配合は下記コツの項で詳しく説明します。プランターに入れる場合は鉢の八分目程まで土を入れます。種まきの約2週間前までに土の準備を済ませておきます。
(2)ステップ2:種まき前の水やり
種をまく前の状態の土に、たっぷりと水を与えてください。ルッコラの種はとても小さい為、種をまいてから多くの水をかけると流れて行ってしまう為です。
(3)ステップ3:種まき
パラパラと、なるべく重ならないようにばらまく方式で種をまきます。その上から、ふるいを使って薄く均等に土を被せてやりましょう。ルッコラの芽は柔らかい為、あまり土を被せすぎると発芽出来なくなってしまいます。その後軽く手で押さえて、種と土を密着させてやります。
(4)ステップ4:間引き
ルッコラの種は発芽率がとても良いので、芽が出たら間引きが2回ほど必要になります。1回目は双葉が開いた時に、形の悪い芽を間引きます。2回目は本葉が4枚から5枚になった頃に行い、株と株の間が4センチから5センチになるように調整します。残した株の根本付近に土を寄せ、しっかりと根付くようにしてやりましょう。またこの時間引いた葉はベビーリーフとして食用に出来ますので是非使ってやってください。
(5)ステップ5:日常の肥料・水やり
ルッコラは多湿過ぎる環境を嫌います。しかしあまり乾燥させ過ぎると葉の苦みが強くなってしまいますので土の状態をよく確認して、乾いていたらたっぷりと水を与えてください。またグッズの項で書いた通り、新芽はデリケートなので優しく水をかけるよう気を付けてください。じょうろの口部分を上に向けてやると、静かに水が出る為お勧めです。肥料は1000倍に薄めた液体肥料を週に1回与えます。液体なので、この時は水やりをお休みしてよいでしょう。
(6)ステップ6:収穫
種まき後1か月経った頃から収穫が可能です。外葉からかき切って収穫して行きます。鮮度が落ち易い為、必要な分を適宜収穫しますが、成熟しすぎると香りが強くなり過ぎるので、状態を良く見て収穫してください。
5)要チェック!効果的に栽培する8つのコツ
(1)土の種類・鉢植え
赤玉土6に対して腐葉土3・バーミキュライト1の割合で混ぜ合わせた土が適しています。更に、石灰を用土10リットル辺り10グラムから20グラム、化成肥料も用土10リットル辺り10グラムから20グラム混ぜてやりましょう。
(2)種のまき方
ルッコラの種はとても丈夫なのですが、真夏と真冬は初心者には管理が難しい為、種まきを控えた方がよいでしょう。それさえ気を付ければ、発芽率も良いので上手く育ちます。ステップの項で書いた通り、土は薄く被せるのがコツです。
(3)剪定・日常の手入れ
ルッコラが育って花芽が出て来たら、茎ごと摘み取ってください。そのままにしておくとトウが立ってしまい、葉が固くなって食用に出来なくなってしまいます。花を咲かせる目的の株以外は、見つけ次第早め早めに摘み取りましょう。
(4)肥料・水やり
ステップの項で書いた通り多湿を嫌う為、土の状態をよく観察して水をやりましょう。特に畑植えでは、余程乾燥した時以外は水やりは必要ありません。追肥は間引きが終わった後に行います。化成肥料の場合は株元に直接まかずに、周りの土に混ぜ込んでから株元に寄せてやる方法が適しています。外葉を適宜収穫するスタイルでは週1回の液肥のみでも構いません。
(5)季節ごとの手入れ
ルッコラは一年草ですので、収穫がすべて終われば枯れます。季節ごとの株分け等は特に必要ありません。
(6)日当たり・置き場所
直射日光に弱い為、特に夏場は注意が必要です。明るい日陰に移動してやるのがベストでしょう。畑植えの場合は遮光ネット等で覆ってやると、葉が固くならずに済みます。
(7)増やし方
さし木等では育たない為、種から育てるのが一般的です。沢山ルッコラを栽培したら、数株は花を咲かせる用として残しておくと良いでしょう。その株から種を取り、また次の年に栽培する事が出来ます。
(8)虫対策・健康的に育てるコツ
ルッコラにはアブラムシとアオムシが発生しやすいです。アブラムシは薬剤で駆除しますが、少量ならガムテープ等で取り去る手段も有効です。アオムシは春に発生しやすいので、秋栽培にすればまず付きません。春栽培の場合は見つけ次第割り箸等で取り除き、薬剤を散布しましょう。
このアオムシの件もあり、ルッコラは初心者には秋栽培の方が向いています。夏の日差しを乗り切る対策も必要無い為、問題なく育てられるでしょう。
6)ルッコラの収穫後の効果的な食べ方・活用方法とは?
(1)1日50グラムまで
ルッコラは硝酸塩濃度が高い為、EUでは1日に50グラムまでという目安が定められています。しかしルッコラ50グラムとはボウルに一杯になる程の量ですので、日本で使うような料理のアクセント程度の使用量ではまず問題はありません。
(2)生食が効果的
火を通す食べ方をすると、ルッコラ特有の辛みが消えてしまうのと、せっかくの豊富なビタミン類が壊れてしまう事から生食が効果的です。
(3)辛みが苦手な方は
ルッコラ特有の辛みが苦手な方もいらっしゃいますね。サラダの場合使用量を少量にしたり、果物やヨーグルトと一緒にミキサーにかけてスムージーにする方法もお勧めです。
7)注意!保存する場合の3つのポイント
(1)冷蔵保存
収穫後のルッコラはすぐ乾燥してしまう為、冷蔵で保存する場合は濡らしたキッチンペーパーに包んだうえで、ポリ袋に入れて保存します。この方法で3日ほど持ちます。
(2)冷凍保存
冷凍庫に入れる場合は、加熱処理をしてからが基本になります。沸騰したお湯に塩少々を加え、ほんの5秒ほどで良いのでゆでます。その後冷水に取って冷まし、よく水気を絞ったら使いやすい長さに切り、ラップで小分けして冷凍庫に入れます。この時金属製のトレー等に乗せると急速に冷凍が出来ます。すっかり凍ったら更に冷凍用の保存袋に入れて密閉しましょう。2週間から3週間持たせる事ができます。使う時は自然解凍をして、お浸しやペーストにするのがお勧めです。
(3)根付きの場合
シーズンの最後等でルッコラを株ごと収穫する際には、根を付けたまま収穫しましょう。この状態だと冷蔵庫の中で長持ちするからです。付いている土もそのまま落とさない方が良いでしょう。濡らしたキッチンペーパーとポリ袋は普段と同じで、更に生えていた時と同じように根本を下に向けて立てて保存するのがコツです。この方法で、普通の冷蔵保存よりも長持ちします。
8)ここがオススメ!ルッコラを栽培する魅力とは?
(1)嬉しい効果をお手軽に
ルッコラは栄養も豊富で、様々な健康や美容等の効果・効能もあります。ですがスーパー等で買おうとするとまだまだ高い物です。自宅で育てれば、毎日良く育ち収穫に追われる程の実りが期待できます。圧倒的に安いコストで優れた効果を手に入れる事が出来るのです。
(2)長い歴史に思いを馳せる
ルッコラ栽培の歴史は大変古く、古代ローマ時代からすでに栽培されていたと言われています。なんとあのクレオパトラも好んで食べていたとか。彼女のように美しくなりたい、そんな思いを込めて栽培したり料理を作るのもまた楽しいものですよ。
今回のまとめ
1)ルッコラの紹介
2)種類はあるの?ルッコラの3つの種類と特徴
3)グッズを整えよう!栽培するのに必要なグッズとは
4)正しい栽培手順を!ルッコラの6つの栽培ステップ
5)要チェック!効果的に栽培する8つのコツ
6)ルッコラの収穫後の効果的な食べ方・活用方法とは?
7)注意!保存する場合の3つのポイント
8)ここがオススメ!ルッコラを栽培する魅力とは?
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