ヨーロッパの家の窓辺に飾られているイメージが強いゼラニウム。丈夫で初心者にも育てやすく、長期間にわたって美しい花をたくさん咲かせてくれるので日本でも人気があります。育て方のポイントを押さえて、玄関先や窓辺をおしゃれに演出してみませんか。
ゼラニウムの育て方解説!7つの栽培のコツとステップ
1)ゼラニウムの紹介
(1)ゼラニウムとは
ゼラニウムは非常に品種が多く、世界中に280種以上の園芸種が存在すると言われています。四季咲きの品種と一季咲きの品種があり、一般に四季咲きのものを「ゼラニウム」、一季咲きのものを「ペラルゴニウム」と呼んで区別しています。花や葉を楽しむだけでなく、蚊を撃退するなど暮らしに役立つ品種もあり、様々な楽しみ方ができることから、世界で最も多く栽培されている鉢植え花といわれています。
(2)科目・原産地
ゼラニウムには、フウロソウ科ペラルゴニウム属とフウロソウ科フウロソウ属の2種類がありますが、園芸種の「ゼラニウム」は、ペラルゴニウム属に属する品種を指します。野生種は南アフリカ、熱帯アフリカ、地中海西部、アラビア半島からオーストラリアにかけて分布しています。
(3)草丈・開花期
ゼラニウムの草丈は20~70cmです。主な開花期は、4~11月ですが、一季咲きの品種は4~6月と短めです。
(4)名前の由来
ギリシア語で「鶴」という意味の「ゼラノス」という言葉が語源となっています。花が咲いた後にできる果実の形が鶴のくちばしに似ていることから名付けられたと言われています。
(5)期待できる効果・効能
ゼラニウムの中の「センテッド・ゼラニウム」の仲間は香りがよくハーブとして利用されます。抗うつ効果や女性ホルモンを調整する作用を持ち、美肌効果もあるためスキンケアに有用です。独特の芳香に昆虫を忌避する作用があるため、虫よけに利用される品種もあります。
(6)栽培の難易度・耐寒性
ゼラニウムは丈夫で初心者でも育てやすい植物ですが、高温多湿や寒さに弱いため、季節ごとにきめ細かく管理する必要があります。
2)ゼラニウムの5つの種類と特徴
園芸種のゼラニウムは以下の5種類に大別されます。
(1)ゼラニウム
一般に「ゼラニウム」と呼ばれているのは四季咲き性の品種で、日本で栽培されているのはほとんどがこのタイプです。花色のバリエーションが多くて花付きもよく、長期間楽しめるので人気があります。
(2)ペラルゴニウム
春から初夏にかけて花を咲かせる一季咲き性の品種です。花色のバリエーションがゼラニウムより多く、変わり咲きなど多彩な品種があります。
(3)アイビー・ゼラニウム
ツタ性のゼラニウムで、ウォールバスケットやハンギングバスケットに向く品種です。四季咲き性で、一年中花を楽しめます。
(4)モミジバゼラニウム
紅葉したモミジのような美しい葉を楽しむ品種で、花は他のゼラニウムと比べると地味です。
(5)センテッド・ゼラニウム
ペラルゴニウム属の中で、特に香りのいい種類をセンテッドゼラニウムと呼びます。りんご・みかん・ばらなど香りの種類も様々で、花の色や形もバラエティー豊かです。ハーブとして人気があります。
3)ゼラニウムを育てるのに用意する5つのグッズ
ゼラニウムは種からでも比較的簡単に育てられますが、ほぼ1年中出回っていて入手しやすいポット苗を購入するのが手軽でお勧めです。ポット苗とともに揃えたいグッズをご紹介します。
(1)植木鉢
湿気を嫌うため、素焼きや木製など通気性の良いものがお勧めです。ホームセンターや園芸店で500円程度で購入できます。大きさは5~6号(直径15~18cm)くらいがいいでしょう。横長のプランターに植える際は、苗の間隔を10cm程とるようにしましょう。
(2)用土
普通の草花用培養土でOKです。10L800円前後で、園芸店やホームセンターで販売されています。
(3)鉢底石
鉢に土を入れる前に、水はけを良くするために鉢の底に鉢底石を入れます。園芸店やホームセンターで、5L入り300~500円程度で購入できます。
(4)肥料
ゼラニウムは花付きが良く、肥料を多く必要とするので、手軽に与えられる液体肥料を用意しておきましょう。「ハイポネックス」の液肥がお勧めです。800mLで1000円前後で購入できます。
(5)移植用のスコップ
ポットから植木鉢へ移植する際は、移植用のスコップがあると便利です。園芸店やホームセンターで手に入りますが、100円均一ショップでも取り扱っていることがあります。
4)ゼラニウムの4つの栽培ステップ
ゼラニウムは種からでも簡単に育てることができます。種から育てればたくさんの苗がリーズナブルに手に入るのでお勧めです。
(1)ステップ1:種まき
発芽温度が20~25度なので、5月か9月頃にまきます。セルトレイやポットなどに水持ちのよい用土を入れ、指で土に穴を開けて1粒ずつまきます。土が乾かないよう、発芽するまでは日陰で管理します。
(2)ステップ2:ポット上げ
本葉が2~3枚になったら、2~3号(直径6~9cm)のポットか鉢に植え替えます。植え替え後は、日当たりの良い場所で管理しましょう。
(3)ステップ3:定植
種まきから2か月ほどして根が広がったら定植します。ポットから苗を取り出し、根鉢の3分の1ほどを手で軽くくずして植え付けます。
(4)ステップ4:花殻摘み
見た目を綺麗に保つため、小花が咲き終わるごとに取り除くようにします。全体が咲き終わったら、茎を茎元から切り取ってしまいます。
5)ゼラニウムを効果的に育てる7つのコツ
(1)土の種類・鉢植え
水はけがよく水持ちの良い土を好むので、自分で配合する際は、赤玉土(小粒)7:腐葉土3の割合で混合します。また、中性に近い弱酸性の土を好むため、酸性が強い土には苦土石灰を混ぜてください。
(2)種のまき方
土に指で穴を掘り、重ならないように1粒ずつまくのがコツです。
(3)剪定・日常の手入れ
枯れた葉や咲き終わった花はこまめに摘み取りましょう。切り戻しは、6~7月、9~10月の生育期間が適しています。放っておくとどんどん伸びるので、適宜切り戻しをして形を整えましょう。
(4)肥料・水やり
過湿を嫌うので、水のやりすぎに気をつけましょう。夏は過湿に注意しながら毎日朝晩しっかりと与え、冬は乾燥気味に管理します。春と秋は土が乾いたことを確認してから与えるようにします。肥料は、生育期間に液肥を1~2週間に1回与えて下さい。
(5)季節ごとの手入れ
根腐れを起こしやすいので、季節ごとに水やりの頻度を変えるようにします。
(6)日当たり・置き場所
日光が少ないと花付きが悪くなるので、よく日の当たる場所で管理します。但し、夏の暑さに弱いので夏は涼しい場所で管理するようにしてください。
(7)増やし方
種でも挿し木でも増やせます。挿し木は基本的に1年中いつでもOKですが、春や秋が適しています。10cm前後の太くて新しい茎を切って挿し穂にし、2日ほど乾燥させてから用土に挿します。2~3週間ほどで発根するので、鉢底から根が出るくらいまで成長したら鉢上げします。
(8)虫対策・健康的に育てるコツ
低温多湿の環境で灰カビ病が発生しやすくなるので、過湿に気をつけるようにします。また、ウイルスが原因のモザイク病は治療が不可能なので、見つけ次第葉や花を取り除きます。ゼラニウムは虫よけ効果があるので害虫が付きにくいのですが、ヨトウムシがつくことがあるので見つけ次第駆除しましょう。
6)ゼラニウムを育てる時に特に注意すべき3つのこと
(1)高温多湿に注意
暑さや多湿に弱いので、夏場の管理には注意が必要です。
(2)低温多湿にも注意
低温で多湿になると病気が発生しやすくなるので梅雨の時期や長雨の時は要注意です。風通しの良い場所に移動して予防に努めましょう。
(3)花がらをこまめに摘む。
枯れた花をそのままにしておくと見た目もよくないので、咲き終わったら速やかに摘み取ります。
7)ゼラニウムの成長後の効果的な用途・楽しみ方とは
(1)寄せ植えやハンギングに
花付きがよく長期間花を咲かせるゼラニウムは、寄せ植えの主役にぴったりです。また、つる性の品種はハンギングバスケットに向いています。
(2)切花として
センテッドゼラニウムは、繊細な形の葉を生かして切り花に利用されます。香りがよく虫よけ効果もあるので一石二鳥です。
(3)ハーブとして
センテッドゼラニウムはハーブとして人気があります。鎮静効果があるのでお風呂に入れてハーブバスにしたり、ハーブティーとして飲むこともできます。
(4)食用花として
センテッドゼラニウムの花はエディブルフラワーにもなるので、無農薬のものはサラダなどにして食べる事ができます。また、葉もクッキーに焼きこんだりして利用できます。
(5)虫よけに
殺虫効果のある精油を含む品種は虫よけになります。虫よけ効果のある品種は「蚊連草(かれんそう)」などという名前で販売されています。
8)ゼラニウムを育てる魅力とは
(1)長期間楽しめる
四季咲きの品種は1年中花をつけるので、長い間美しい花を楽しむことができます。
(2)種類が多い
特に一季咲きのペラルゴニウムは種類が多く、様々な花を楽しめます。
(3)ハーブとして楽しめる
センテッドゼラニウムはハーブとして楽しめるだけではなく、香りの種類も多いので、色々な香りを楽しむことができます。
今回のまとめ
1)ゼラニウムの紹介
2)ゼラニウムの5つの種類と特徴
3)ゼラニウムを育てるのに用意する5つのグッズ
4)ゼラニウムの4つの栽培ステップ
5)ゼラニウムを効果的に育てる7つのコツ
6)ゼラニウムを育てる時に特に注意すべき3つのこと
7)ゼラニウムの成長後の効果的な用途・楽しみ方とは
8)ゼラニウムを育てる魅力とは