らっぱのような形の花と、明瞭な葉脈の模様が美しいギボウシ。その品種は数多く、昔から鑑賞用に庭で育てられてきました。
品種によっては食用になるものもあり、初心者でも簡単に育てられるのも魅力の一つです。そんなギボウシの育て方についてご紹介します。
【栽培ステップ】ギボウシを着実に育てる4つの育て方手順
1)ギボウシの紹介
(1)ギボウシとは
ユリ科の多年草で、葉が根元に集る特徴があります。葉は広楕円形で平行脈が目立ち、夏から秋にかけて小型のらっぱ形の花を咲かせます。花の色は濃い紫色や薄い紫色、白色などがあり、園芸品種も多いです。
花も葉も美しい姿をしているため、昔から庭園などで栽培されており、また東北地方では若い葉柄を食用としています。ギボウシ属を総称してギボウシと呼ぶこともありますが、その1種であるスジギボウシのことを指してギボウシと呼ぶこともあります。
(2)科目・原産地
科目:ユリ科ギボウシ属
原産地:東アジア
(3)草丈・開花期
草丈:15cm~1.5m
開花期:6月~9月
(4)名前の由来
蕾の形が橋の欄干の擬宝珠(ぎぼうしゅ)に似ているために名付けられたとされています。
(5)期待できる効果・効能
貧血防止・老化予防・動脈硬化予防・便秘の改善など
(6)栽培の難易度・耐寒性
難易度:簡単
耐寒性:やや強い
2)ギボウシの6つの種類と特徴の違い
(1)オオバギボウシ
ギボウシの中でも最大級のサイズで、草丈は50cm~100cm、葉の長さは30cm~40cmにもなります。ギボウシを改良して大型種にする際の改良元となっており、「トウギボウシ」「ウノハナギボウシ」などの別名があります。
(2)ブルーエンジェル
ギボウシの大型種で、青みがかった葉が特徴的です。草丈は90cm以上にもなり、幅も160cm~190cmほどあるため、植える際にはかなりのスペースを必要とします。
(3)スジギボウシ
細長い葉に、白色やクリーム色のすじ模様が不規則に入っており、紫がかった白い花をつけるのが特徴的な品種です。オオバギボウシを元にして生まれた中型種で、江戸時代の頃から園芸に利用されてきた歴史を持ちます。
(4)ムラサキギボウシ
中国原産の中型種で、丸みのある蕾と、青みがかった紫色の花をたくさんつけるのが特徴的な品種です。
(5)コバギボウシ
多くの園芸品種の元となっている小型種で、草丈は30cm~50cm程度まで生長します。サハリンから日本湿地にかけて自生しています。
(6)文鳥香(ブンチョウコウ)
濃い緑色の葉の縁に、白色の班模様が入るのが特徴的な小型品種です。江戸時代から伝わっている古典園芸品種として長い歴史を持ちます。
3)先ずは準備を!桜草を育てるのに用意するグッズ5選
(1)グッズの名称
用土・肥料・鉢・シャベル・ジョウロなど
(2)選ぶ基準
種から育てることも可能ですが、種は市販されていないことと、開花まで3年~5年程度かかるため、基本的には苗から購入して育てるのがおすすめです。
(3)初期費用
3、000円前後
※個人差があります
(4)入手方法
インターネットや園芸店、ホームセンターなどで入手可能です。
4)ギボウシの4つの栽培ステップとは?
(1)ステップ1:苗植え時期
苗植えの適期は2月~3月にかけてか、9月~10月です。鉢植えで育てる場合には、鉢の底に鉢底石を敷き、浅く土を入れます。次にポットから苗を取り出したら、土は崩さずに植え付けましょう。地植えの場合には、午前は日向、午後は日陰になるようなところを選んで苗を植えましょう。
予め40cm~50cm四方の穴を掘っておき、土に堆肥と腐葉土を3割ほど混ぜて2週間程度寝かせておきます。植え付けはその後で行いますが、複数植える場合には苗の2倍の間隔を空けて植えるようにしましょう。
(2)ステップ2:肥料
ギボウシはあまり肥料を必要とする植物ではありません。観察していて元気がないと感じた時には、3月と9月に固形の油かすを与えるようにしましょう。目安は5号鉢に親指大のものが5~6個分程度です。
(3)ステップ3:増やし方
ギボウシは株分けで増やすことが出来ます。2月~3月か、9月~10月にかけて株を掘り上げたらハサミやナイフなどで切り分けます。大型種の場合には3株に分けることもあります。分けた株は、苗の植え付けと同様の手順で植え付けを行いましょう。
(4)ステップ4:植え替え
植え替えの適期は、苗植え時期と同様です。鉢植えの場合には1年~2年に1度、地植えの場合には3年~5年に1度の頻度で行います。株を掘り上げたら、根に付いている土を半分程度落として、傷んでいる根をカットします。株分けを行う人は、株分けと植え替えを同時に行うと効率的でおすすめです。その後は苗植えと同様の手順で行えば植え替えの完了です。
5)効果的な栽培を!効果的に育てる8つのコツ
(1)土の種類・鉢植え
ギボウシはやせた土壌でもよく育ちますが、基本的には水はけの良い土を好みます。鉢植えの場合には鉢赤玉土(小粒)5:腐葉土3:川砂2の割合で混ぜた用土がおすすめです。また、地植えで水はけが悪いようであれば、川砂を混ぜ込むと良いでしょう。
(2)苗の植え方
小型の品種では鉢植え、大型の品種では地植えが適しています。また、中型の品種はどちらでも大丈夫です。
(3)剪定・日常の手入れ
特別な手入れは必要としませんが、害虫が付いていないか、鉢の中で根がパンパンになっていないかなど日々の観察を怠らないようにしましょう。
(4)肥料・水やり
鉢植えの場合は土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えます。ただし11月~3月にかけては休眠期で水をあまり必要としないため、回数は少なめで行います。地植えの場合は、植え付けた直後と乾燥している時以外には水やりは必要ないので与えすぎには注意しましょう。
(5)季節ごとの手入れ
冬になると葉は枯れますが、土の中で休眠するため、特に室内に取り込む必要はありません。
(6)日当たり・置き場所
ギボウシは基本的に明るい日陰か半日陰で育てますので、直射日光の当たらない明るい日陰に置きましょう。
(7)増やし方
株分けの際には、1株につき3個以上の芽がつくように意識して株分けを行いましょう。
(8)虫対策・健康的に育てるコツ
ナメクジが付くことがありますので、見つけ次第駆除しましょう。
6)ここに注意!育てる時に特に注意すべき事とは?
(1)直射日光の当たらない場所で育てる
ギボウシは耐陰性が高い植物ですので、明るい日陰で元気に育ちます。反面直射日光には強くないため、常に明るい日陰になるような位置で育てましょう。
(2)肥料は与えすぎない
ギボウシはやせた土でも良く育ちますので、肥料をそこまで必要としません。肥料を与えすぎると逆に弱ってしまいますので、与えすぎないように注意しましょう。
7)ギボウシの成長後の効果的な2つの用途とは
(1)鑑賞を楽しめる
ギボウシはさまざまな品種があり、どの品種も美しく見応えのある姿をしています。庭で育てれば鑑賞を楽しむことが出来ます。
(2)食用になる
ギボウシは品種によって食用とされるものもあります。摂取すれば貧血予防や老化防止、動脈硬化予防などの効果が期待出来ます。
まとめ
1)日本を含む東アジア原産で、昔から鑑賞用、食用として利用されてきた長い歴史を持ちます
2)小型~大型品種まで数多くの品種があり、花の色も紫や白など様々です
3)種から育てると数年かかり、また市販では販売されていないため、苗の状態から育てるのがおすすめです
4)やせた土でも元気に育つため、肥料をあまり必要とせず、地植えであれば水やりもほとんど不要です
5)半日陰や明るい日陰を好むため、直射日光には当てずに育てます
6)小型~中型の品種は鉢植えで育てられますが、大型品種は地植えで育てるようにしましょう