家庭でハーブを育てたいという方も多いですよね。ミントは初心者の方でも育てやすく、おすすめのハーブです。
しかし、育て方しだいでは、お庭が大惨事になりかねない要注意な植物でもあるのです。今回は失敗しないミントの育て方・栽培のコツをご紹介します。
ミントの育て方解説!ステップ・グッズ・栽培のコツ
1)ミントの紹介
(1)ミントとは
ミントとは、ハーブとして有名な植物で、料理やお菓子、香料など、様々なものに使われています。爽快感や冷涼感のあるスッキリとした香りが特徴です。
花言葉は『美徳』『効能』『爽快』『かけがえのない時間』などの意味を持っています。
(2)科目・原産地
シソ科ハッカ属の植物です。原産地はユーラシア大陸とされています。
(3)草丈・開花期
草丈は20~1mほどになります。開花期は初夏~秋にかけてです。白や淡いピンクの小さな花を咲かせます。
(4)名前の由来
ミントの由来は、ギリシャ神話から来ていると言われています。冥界の王ハデスの寵愛を受けていた、「メンテ」という名前の妖精が、ハデスの妻の嫉妬を買い、踏みつけられて草に替えられてしまいました。
草となってもメンテは美しさを示すような芳香を放ちます。その草が「ミント」とであるということです。また、日本では、ハッカ(薄荷)と呼ばれることがあります。
ハッカの葉から取れるアブラが少量で、運ぶ荷物が少ない(薄い)ことが名前の由来とする説が有名です。
(5)期待できる効能
ミントの主な効能は、気持ちを静める・のどの痛みを和らげる・解熱・胃腸を整えるなどがあります。また、殺菌効果があることから、古代ギリシャやローマでは、入浴剤としても使われていました。
(6)育てる難易度
ミントはとても簡単に育てられる植物です。まさに初心者向けと言えるでしょう。寒さに丈夫なので、耐寒性は強いといえます。
2)ミントの2つの種類と特徴
ミントは25種とされていますが、繁殖力が旺盛で、同じ種の中でも変種が多く、異なる種同士でも簡単に雑種ができてしまうため、実際は数えきれないほどの種類が存在していると考えられます。
今回は最も有名な2つのミントをご紹介します。
(1) ペパーミント
ペパーミントは、メントールの含有量が多く、香りが強いことが特徴です。セイヨウハッカという別名を持ちます。
淡いピンクの小さな花が茎の先端に咲きます。葉は先端が尖った楕円形です。ウォーターミントとスペアミントの雑種だと言われています。主にチューインガムやキャンディなどに使われています。
(2) スペアミント
スペアミントは、1-カルボンを香りの主とし、弱めの甘い香りがすることが特徴です。オランダハッカの別名を持ちます。ピンクや白、藤色などの小さな花が茎の先端に咲きます。
葉は楕円形で網目状に葉脈が入ります。エスニック料理には欠かせない存在です。
3)ミントを育てるのに用意する6つのグッズ
ミントは地植え・鉢植え・水耕栽培のどれでも育てることが可能です。また、種からも育てられますが、初心者の方には失敗の少ない苗がオススメです。
今回はミントの苗を鉢植えで育てる場合に用意するグッズをご紹介します。
(1)ミントの苗
ミントの苗は、株もとから何本も芽が出ているものを選びましょう。また、葉の裏を見て、虫がついていないか、斑点状に変色していないかも確認しましょう。
(2)鉢またはプランター・鉢底網
ミントは生育旺盛で根をいっぱい張る植物です。鉢も大きめのものを選びましょう。直径9㎝の黒いビニールポットに植えられている苗なら、
5~6号鉢(直径18㎝)位が目安です。
(3)土
市販のハーブや野菜用の培養土がオススメです。自分で土を作る場合は、赤玉土(小粒)、腐葉土、バーミキュライトを用意しましょう。
(4)肥料
緩効性肥料を用意しましょう。
(5)シャベル
(6)剪定はさみ
ホームセンターで2000円前後で揃えることができます。最近ではミントの栽培キットが販売されていることがあります。
揃えることに自身のない方や、面倒だという方にはオススメです。
4)ミントの6つの栽培ステップ
(1)ステップ1:土づくり
自分で土を作る場合は、赤玉土(小粒)5:腐葉土4:バーミキュライト1の割合で混ぜて作りましょう。
(2) ステップ2:苗を植える
鉢やプランターの半分ほどに土を少し入れます。その上に苗を置き、すき間に土を足せば植え付けの完了です。苗植えは、3~6月か9~11月(春か秋)に行いましょう。
(3) ステップ3:水やり・肥料
土の表面が乾いたら、たっぷりと水やりをします。鉢底から水が染み出るくらいが目安です。肥料は、植え付けの時に緩効性の肥料を土に混ぜておきましょう。
(4)ステップ4:剪定
草丈が20cmくらいに伸びたら、先端から摘み取りましょう。
(5)ステップ5:収穫
春~秋の間なら、いつでも収穫できます。枝先の葉を中心に摘み取りましょう。
(6)その他
種から育てる場合は、発芽するまでは育苗ポットで育てることをオススメします。本葉が4~6枚になったら、鉢や地面などに植え替えましょう。
種まきの場合も、3~6月か9~11月(春か秋)に行いましょう。
5)ミントを効果的に育てる8つのコツ
(1)土・鉢植えのコツ
土は、やや湿り気のある肥沃な土を好みます。また、鉢植えをする時は、ミントは簡単に交配してしまうので、1鉢に1品種にしましょう。
(2)日常の手入れのコツ
1:剪定
剪定を行うと、枝数が増え、収穫量が増えます。3~4回繰り返しましょう。
2:植え替え
ミントは根を張るスピードが早い植物です。毎年3~6月または9~11月頃に、ひと回り大きな鉢に植え替えましょう。
(3)肥料・水やりのコツ
水は、植えつけ後と夏はたっぷり与えましょう。ただし、あげすぎは根腐れやカビの原因となるので注意が必要です。
また、逆に水切れを起こすと、茎や葉が堅くなってしまうため用心しましょう。肥料は1~2ヶ月に1回、追肥してください。
なお、与えすぎるはミントの香りが弱くなってしまうので注意しましょう。
(4)日当たり・置き場所のコツ
ミントは強い乾燥や直射日光が苦手です。半日陰の風通しの良い所に置きましょう。室内で育てる場合は、夏場など、エアコンの風が強く当たらないようにしてあげましょう。
(5)増やし方のコツ
挿し木や株分け、種まきで増やすことができます
1:挿し木
茎の先端を10~15㎝ほど切り、先端の葉を2~3枚残して他は取り除きます。切り口を1時間ほど水に浸け、土を入れた育苗ポットや小さ目の鉢に茎を挿します。
根がありませんので、水切れしないよう、しっかり管理してあげましょう。発根し、十分に根が生えたら鉢や地面に植え替えましょう。
剪定した時の枝を使うと効率的です。4~5月または9~10に行いましょう。
2:株分け
株分け前は水やりを控え、土を乾かし気味にします。草丈が15~20㎝になるよう剪定し、株を掘り起こしましょう。
それぞれの株が3~4本の茎になるよう、手やナイフで分けます。それぞれを、鉢や地面に植え替え、根が張るまでは、土が乾燥しないよう水やりをしましょう。
植え替えと同時に行うと効率的です。株分けも4~5月または9~10月に行いましょう。
3:種まき
3~6月または9~11月に行いましょう。
(6)虫対策・健康的に育てるコツ
ミント自体に虫よけ作用があるので、ほとんど害虫や病気の心配はありませんが、念のため対処法をご紹介します。
1:害虫
アブラムシ・ハダニ・コバエ・ヨトウムシ・ナメクジなどの害虫がつくことがあります。葉が乾燥すると「ハダニ」が寄りやすくなります。定期的に霧吹きで水を葉に吹きかけてあげることで対策しましょう。
「アブラムシ」は、発見したら、水で洗い流して駆除したり、牛乳をスプレーして葉や茎を保護してあげる対策をしましょう。
もし、大量についてしまったら、ガムテープで駆除するか、切り落としましょう。そのほかの虫には殺虫剤が有効です。ハーブや野菜専用の無害なタイプが市販されているので、状況に応じて使ってみましょう。
2:病気
うどんこ病・さび病などにかかる場合があります。「うどんこ病」はカビの一種です。葉や茎、新芽等が小麦粉を掛けた様に白くなります。
病気にかかった葉は光合成ができずに、生育不良の原因となってしまいます。近くに他の植物がある場合は、感染を防ぐために隔離しましょう。
うどんこ病を対処するためには、薬の散布が必要です。「さび病」は、葉の表面に小さな斑点が出来てしまう病気です。
薬はあまり効きませんので予防が重要となります。うどんこ病もさび病も、予防をする為には、風通しの良い空間が大切です。
枝や葉が混み合わないようマメに剪定してあげましょう。また、水のやり過ぎにも注意しましょう。
(7)収穫のコツ
春から秋の間、いつでも収穫できます。枝先の葉を中心に摘み取りましょう。花が咲いた後と前では香りが別格です。
花をつける前に収穫しましょう。収穫後は、冷蔵庫で保管するか、風通しの良い場所に逆さに吊るし、十分に乾燥させてドライリーフにしましょう。
(8)その他
ミントを地植えにする場合は、管理が特に重要となります。なぜなら、ミントは「雑草よりも強い」と言われるほど繁殖力旺盛なのです。
他の植物も地植えしている場合、ミントに領域を侵食され、枯らされてしまいます。どうしても地植えをしたいなら、根が必要以上に伸びないよう管理する必要があります。
自身のない方は、鉢植えで楽しみましょう。
6)ミントの収穫後の効果的な用途とは
収穫したミントの効果的な使用法や、おすすめの料理などをご紹介します。
(1)料理やお菓子に使う
・魚やお肉の臭み消しとして使用
・サラダにする
・アイスクリームなどのデザートに添える
・ミントと水を凍らせてミント氷を作る
(2)飲み物
・ミントティーにする
・ミントとレモンでデトックスウォーターを作る
(3)入浴剤にする
洗ったミントを浴槽にいれます。さわやかな香りでリフレッシュ効果が得られます。
(4) 植木の虫よけにする
冷めたミントティーをじょうろに入れ、普段の水遣りのように植木にかけます。
(5) 飾る
ブーケにしたり水差しにしたりしてお部屋の飾りにしても、香りを楽しめ、オシャレで可愛いです。
7)ミントを保存する場合の4つのポイント
(1)自然乾燥させる
痛んだ葉を除いた後、水洗いをし、水気をとったらすぐに乾燥させます。束にして逆さに吊るしたり、新聞紙に広げたりして乾燥させます。
風通しのよい日陰で行いましょう。十分に乾燥したら密閉容器に乾燥剤と一緒に入れ、冷暗所で保管します。茎がポキッと折れ、葉がパリパリとすれば、乾燥完了です。
(2)人工乾燥させる
エアコンやドライヤーの風などを利用して短時間で乾燥させます。花色や形を保って保存することができます。市販の乾燥剤シリカゲルを使用するのも良いでしょう。
(3)冷凍する
フレッシュな状態のまま冷凍保存します。少量ずつラップに包み、ジップロックなどの袋に入れて冷凍すると、数週間は新鮮な状態が保てます。
(4)漬ける
お酢やオイルに漬け込んで、ハーブビネガーやハーブオイルとして保存できます。
8)ミントを育てる魅力とは
(1)育てやすさ
なんといっても、ミントの魅力はその育てやすさです。園芸初心者の方でも、失敗することなく育てることができます。
(2)収穫後も楽しめる
料理や飲み物として楽しんだり、入浴剤やインテリアの飾りとして楽しむなど、自分で育てた植物を収穫し、活用できるのは、とても楽しく嬉しいものですね。
(3)園芸の基本を学べる
ミントを栽培していく過程で、種まきや植え替え、剪定や挿し木など、園芸の基本を、少ない失敗で学ぶことができます。
他の植物を育てるときに応用できますので、ぜひ、いろいろな栽培方法でミントを育ててみてください。
今回のまとめ
1)ミントの紹介
2)ミントの2つの種類と特徴
3)ミントを育てるのに用意する6つのグッズ
4)ミントの6つの栽培ステップ
5)ミントを効果的に育てる8つのコツ
6)ミントの収穫後の効果的な5つの用途とは
7)ミントを保存する場合の4つのポイント
8)ミントを育てる3つの魅力とは