冬から春にかけての花壇をカラフルに彩ってくれるパンジー。その品種は非常に多く、知れば知るほど奥の深い花です。
とても丈夫なので、初心者でも簡単に美しい花を楽しむことができます。今回はパンジーの育て方・栽培のコツと注意点をお伝えします。
パンジーの育て方解説!4つの栽培ステップとコツ
1)パンジーの紹介
(1)パンジーとは
パンジーは、ヨーロッパに自生する何種類かのスミレを掛け合わせて作り出された園芸種で、日本では三色スミレとも呼ばれています。
野生種のスミレと比べると、大きく色鮮やかな花が咲くように品種改良されています。パンジーの品種改良は現在も盛んに行われており、
数千種類を超えた現在も、新しい品種が生み出されています。なお、花のサイズの小さいものはビオラと呼ばれていますが、その区分けは曖昧です。
(2)科目・原産地
スミレ科スミレ属の耐寒性の一年草です。 原産地はヨーロッパですが、何世代にもわたって複雑な交雑が行われている為、
「パンジーの野生種」というものは存在しません。
(3)草丈・開花期
草丈は20~30cmで、開花期間は10月~5月頃です。
(4)名前の由来
英語の「pansy(パンジー)」は、「思い」や「考え」を意味するフランス語の「pensee」からきています。
パンジーの花が、うつむき加減で物思いにふける人の顔のように見えるからだそうです。
(5)育てる難易度・耐影性・耐寒性
耐寒性は比較的強く、丈夫な植物であるため初心者にもお勧めの花です。
但し、日当たりが悪いと茎が間延びして草姿が悪くなってしまうので、よく日の当たる場所で栽培するようにしてください。
(6)期待できる効果・効能
パンジーの原種の一つであるワイルドパンジーには薬効があり、気管支炎やぜんそくのような呼吸器系疾病の民間療法に用いられていたことがあります。
他にもてんかん、ぜんそく、皮膚病、湿疹、膀胱炎などに効くとされています。
2)パンジーの4つの種類と特徴
パンジーには数えきれないほどの園芸品種がありますが、育て方はいずれも大差なく、特に育てるのが難しいという品種はありません。
花の大きさにより、以下の4種類に大別できます。
(1)巨大輪
花径10cm以上にもなる迫力のあるパンジーです。
ゴージャスで見栄えがしますが、花が大きい分雨に濡れると傷みやすいため花壇には向きません。鉢植えや寄せ植えで楽しむのがお勧めです。
(2)大輪
花径8~9cmの華やかなパンジーです。このタイプも花が大きく雨で傷みやすいので、鉢植えに向きます。
(3)中輪
花径6~7cmと、巨大輪や大輪種に比べれば小さいですが、花付きはよく花壇に植えると見栄えがします。
(4)小輪
花径4~5cmと小さいですが、株を覆い尽くすようにたくさんの花をつけるので、花壇で群生させるととても華やかです。
このタイプのものはビオラとあまり区別がつきません。
3)パンジーを育てるのに用意する5つのグッズ
パンジーは種から育てることもできますが、好みの花をつけたポット苗を購入するのが手軽でお勧めです。ポット苗とともに揃えたいグッズをご紹介します。
(1)肥料
パンジーは絶え間なく咲き続けるので、肥料はしっかりと与える必要があります。元肥として、粒状の緩効性肥料を用土に混ぜ込んでおきます。
直接根に触れても安全とされる「マグァンプK」などがお勧めです。600g入り1000円前後でホームセンターや園芸店で購入できます。
また、追肥として液体肥料も用意しておきましょう。「ハイポネックス」の液肥がお勧めです。800mLで1000円前後で購入できます。
(2)植木鉢
素焼きや木製など通気性の良いものがお勧めですが、100円均一ショップで買えるようなプラスチック製の鉢でも大丈夫です。
大きさは、パンジー苗1個に対して直径15~18cm、苗3個に対しては30cmの鉢が目安です。横長のプランターに植える際は、苗の間隔を20cm程とるようにしましょう。
(3)用土
パンジー用に配合された用土もありますが、普通の草花用培養土で十分育ちます。10L800円前後で、園芸店やホームセンターで販売されています。
(4)鉢底石
鉢に土を入れる前に、水はけを良くするために鉢の底に鉢底石を入れます。園芸店やホームセンターで、5L入り300~500円程度で購入できます。
(5)移植用のスコップ
ポットから植木鉢へ移植する際は、移植用のスコップがあると便利です。園芸店やホームセンターで手に入りますが
100円均一ショップでも取り扱っていることがあります。
4)パンジーの4つの栽培ステップ
パンジーは種からでも簡単に育てることができます。種から育てればたくさんの苗がリーズナブルに手に入るので、パンジーで庭を埋め尽くしたい場合にはお勧めの方法です。
(1)ステップ1:種まき
128穴のプラグトレーに用土を入れ、それぞれのセルに2粒づつ撒いて行きます。種が隠れるように土をかぶせてたっぷり水をかけます。発芽するまでは日陰に置いておくようにします。
(2)ステップ2:ポット上げ
発芽して来たら徐々に日に当てるようにします。本葉が2~3枚になったあたりで、9cmのポットに植え替えます。
(3)ステップ3:定植
種まきから2か月ほどして開花が始まったら鉢に移植します。元肥はしっかり与えてください。
(4)ステップ4:花殻摘み
パンジーは花が枯れると簡単に種を付けますが、種ができてしまうと栄養が取られて花付きが悪くなるので、花殻をこまめに摘みとることが大切です。
5)パンジーを効果的に育てる7つのコツ
(1)土植え・鉢植えのコツ
ポットから苗を抜いたら、白い根がびっしりと張っていることがあります。このような場合は、底部分の根を思い切って手で剥がし、側面に張っている根も手で軽くほぐしてから植え付けるようにします。
(2)種のまき方
種は8月下旬から9月上旬にかけて撒きますが、発芽温度は20℃とこの時期にしてはかなり低いので、風通しの良い日陰で管理するようにします。
(3)肥料・水やりのコツ
植え付ける前に用土に粒状の緩効性肥料を混ぜ込んでおいて、3月いっぱいまで10日に1回の割合で液体肥料を与えるようにします。
春になり株がしっかりしてきたら、株を徒長させないために肥料を控えます。葉が黄色くなるなど肥料切れのサインが出たら、液体肥料を与えます。
(4)日当たり・置き場所のコツ
よく日に当たる場所で栽培します。日当たりが悪いと茎がひょろひょろになってしまいます。
(5)増やし方のコツ
簡単に種をつけるので種を取って増やすのは容易なのですが、パンジーはほとんどがF1種と呼ばれる一代限りのものなので、
種をとっても親と全く同じ花は期待できません。気に入った品種があっても、それがF1種であれば種を取って増やすのは難しいため
同じ品種が欲しい場合は翌年に種を購入した方がいいでしょう。
(6)季節ごとの対策
寒さにはとても強いのですが、霜や雪にあたると株が傷んでしまうので寒冷地では注意が必要です。
(7)虫対策・健康的に育てるコツ
深刻な病気の少ない植物ですが、なめくじや毛虫がつくことがあるので見つけ次第取り除きます。また、気温が上がるとアブラムシがつきやすくなります。
モザイクウィルス病が発生した際は、治療は不可能なので速やかに抜いて焼却処分をしてください。
6)パンジーを育てる時に特に注意すべきこと
(1)暑さに弱い
パンジーは本来は多年草なのですが、暑さにとても弱いため夏越しはできません。
(2)水のやり過ぎに注意
パンジーは過湿を嫌いますので、水は土の表面が乾いたら与えるようにします。過湿になると灰色かび病が発生して、花や葉が腐ってしまう恐れがあります。
(3)花殻をこまめに摘む
種に栄養を取られてしまわないよう、花殻は見つけ次第取り除くようにします。枯れた花や葉をこまめに取り除くと見た目も綺麗です。
7)パンジーの成長後の効果的な5つの用途とは
(1)寄せ植えやハンギングに
カラフルなパンジーは、寄せ植えの主役にも脇役にもなります。また、丈夫なのでハンギングバスケットの素材にもピッタリです。
(2)切花として
大輪のゴージャスなパンジーは切花としても楽しめます。フラワーアレンジメントの花材としても人気があります。
(3)押し花に
パンジーは、初心者でも簡単に押し花が作れます。できた押し花は、アートにしたりカードに添えたりと様々な楽しみ方ができます。
(4)ドライフラワーに
日陰につるしておくだけでドライフラワーも簡単にできます。色はくすんでしまいますが、ブーケやリースの素材として役立ちます。
(5)食用花として
パンジーはエディブルフラワーの一つなので、無農薬のものはサラダなどにして食べる事ができます。また、カラフルな色合いを活かして砂糖漬けにするととてもキュートです。
8)パンジーを育てる魅力とは
(1)長期間楽しめる
秋から春まで長期間咲くものが多くので、長い間美しい花を楽しむことができます。
(2)種類が多い
パンジーは花色が豊富で花の大きさも様々なので、寄せ植えなどでも色々な応用が楽しめます。また、八重咲きやフリル咲きなどの品種もあり、店先でたくさんの苗を見比べて選ぶのも楽しみの一つです。
(3)花がたくさん咲く
特に花の小さな品種は鉢やコンテナを埋め尽くすほどに花が咲くので、育て甲斐があります。
今回のまとめ
1)パンジーの紹介
2)パンジーの4つの種類と特徴
3)パンジーを育てるのに用意する5つのグッズ
4)パンジーの4つの栽培ステップ
5)パンジーを効果的に育てる7つのコツ
6)パンジーを育てる時に特に注意すべきこと
7)パンジーの成長後の効果的な5つの用途とは
8)パンジーを育てる魅力とは