可愛らしい小型の花を株いっぱいに咲かせるビオラ。パンジーと比べると、一つ一つの花が小さく華やかさに欠けますが、溢れんばかりに咲き誇る姿は圧巻で、春の花壇の主役にもなり得ます。
今回はビオラの育て方・栽培のコツ・注意点などをご紹介します。
ビオラの育て方解説!ステップ・グッズ・栽培のコツ
1)ビオラの紹介
(1)ビオラとは
ビオラは、ヨーロッパの野生種のスミレから育種された園芸種です。
もともと大輪の花が咲くものをパンジー、小輪のものをビオラと呼んで区別していましたが、最近ではその境界線が曖昧になっています。
判断基準としては、小輪で多花性の品種がビオラと呼ばれるようです。
(2)科目・原産地
スミレ科スミレ属の園芸植物で、原産地はヨーロッパです。
(3)草丈・開花期
草丈は15~20cmで、開花期間は11月~6月頃です。
(4)名前の由来
ギリシャ語でスミレを指す「ion(イオン)」という言葉がもとになっています。
ギリシャ神話の天の神であるゼウスが、ゼウスと恋仲になってしまったがために牛に変えられてしまった少女イオを偲んで、スミレにイオの瞳の色である紫色の花を咲かせたという神話に由来します。
(5)育てる難易度・耐影性・耐寒性
耐寒性はとても強く、丈夫な植物であるため初心者にもお勧めの花です。
耐影性も強いですが、基本的に日当たりを好むので、よく日の当たる場所で栽培することをお勧めします。
(6)期待できる効果・効能
花にビタミンCやビタミンAβカロテンを豊富に含むので、食用花として食べると動脈硬化、精神安定、便秘、解毒、神経疲労などの効能が期待できます。
2)ビオラの3つの種類と特徴
ビオラはパンジーと同様に品種改良が盛んで、数千種類を超えてもなお、新しい品種が作り出されています。
その中でも注目の品種をご紹介します。
(1)極小輪ビオラ
花径が約1~2cmのとても小さな花をつけるビオラです。花は小さいですが株は大きく成長し、こぼれるほどにたくさんの花を付けます。
ネット通販などで1株500円前後で販売されています。
(2)這性ビオラ
枝張りが旺盛で、横へ横へとどんどん広がっていくビオラです。ハンギングなどにも適しています。
1株300円前後で、園芸店やホームセンターで販売されています。
(3)フリル咲きビオラ
華やかなフリル咲きのビオラです。花色も豊富で人気があります。園芸店やネット通販で、1株500円前後で販売されています。
3)ビオラを育てるのに用意する5つのグッズ
ビオラの苗は10月頃から店頭に並び始めます。好みのポット苗が見つかったら、一緒に買い揃えたいグッズをご紹介します。
(1)肥料
ビオラは旺盛に育ち、たくさんの花をつけるので、肥料はしっかりと与える必要があります。元肥として、粒状の緩効性肥料を用土に混ぜ込んでおきます。
直接根に触れても安全とされる「マグァンプK」などがお勧めです。600g入り1000円前後でホームセンターや園芸店で購入できます。
また、追肥として液体肥料も用意しておきましょう。「ハイポネックス」の液肥がお勧めです。800mLで1000円前後で購入できます。
(2)植木鉢
素焼きや木製など通気性の良いものがお勧めです。大きさは、ビオラの苗1個に対して直径15~18cm、苗3個に対しては30cmの鉢が目安です。
横長のプランターに植える際は、苗の間隔を20cm程とるようにしましょう。
(3)用土
パンジーやビオラ用に配合された用土もありますが、普通の草花用培養土で十分育ちます。10L800円前後で、園芸店やホームセンターで販売されています。
(4)鉢底石
鉢に土を入れる前に、水はけを良くするために鉢の底に鉢底石を入れます。園芸店やホームセンターで、5L入り300~500円程度で購入できます。
(5)移植用のスコップ
ポットから植木鉢へ移植する際に、移植用のスコップが必要です。園芸店やホームセンターで販売されていますが、
形などにこだわらなければ100円均一ショップでも手に入ります。
4)ビオラの5つの栽培ステップ
種から育てるとたくさんの苗がリーズナブルに手に入るので、多くの苗を手に入れたい場合は種からの栽培をお勧めします。
(1)ステップ1:種まき
128穴のプラグトレーに用土を入れ、各セルに2粒ぐらいずつ撒いて行きます。種が隠れるように土をかけて、たっぷりと水やりをします。
発芽するまでは日陰で管理するようにしてください。
(2)ステップ2:ポット上げ
発芽を確認したら、少しずつ日に当てる時間を長くしていきます。本葉が2~3枚になったところで、9cmのポットに植え替えます。
(3)ステップ3:定植
種まきから2か月ほどして開花が始まったら鉢に移植します。この時、用土に元肥を混ぜ込んでおくようにしましょう。
(4)ステップ4:摘芯
こんもりとたくさん花をつけるために、摘芯を行います。摘芯とは、株の元の枝分かれ部分をカットして枝数を増やすことです。
摘芯は暖かくなる前に行うことが重要です。
(5)ステップ5:花殻摘み
花が枯れるとすぐに種を付けてしまうので、種に栄養が取られないように花殻をこまめに摘み取ります。
5)ビオラを効果的に育てる8つのコツ
(1)土植え・鉢植えのコツ
ポット苗を植え付ける前に、びっしりと張った根を軽くほぐしておくと、根が成長しやすくなりしっかりとした株になります。
春に気温が高くなると蒸れやすくなるので、株の間隔をゆったりととって植えるのがコツです。
(2)種のまき方
ビオラの発芽温度は20℃なので、遅くとも10月中には撒き終るようにします。日陰で管理し、土が乾かないよう注意しましょう。
(3)剪定・日常の手入れのコツ
ビオラは、特に剪定などしなくても花をたくさんつける品種ですが、適宜切り戻しを行うことで更にたくさんの花をつけることができます。
暖かくなりどんどん花が咲き出したら、「1週間花を楽しんだら切る」というつもりで草丈の半分を残し、そこにある花芽の上でばっさりと切ります。
(4)肥料・水やりのコツ
寒さが厳しい時期は水やりを控えますが、暖かくなったらたっぷりと与えるようにしてください。花が咲いている間は月に2~3回の割合で薄めた液体肥料を与えるようにします。
(5)日当たり・置き場所のコツ
耐陰性は比較的強いですが、日当たりの良い場所の方が花付きも良くなります。
(6)増やし方のコツ
種で簡単に増やすことができますが、F1種の場合は親と同じ花が咲く可能性は低いです。
(7)季節ごとの対策
寒さには強いですが、霜や雪の対策は必要です。
(8)虫対策・健康的に育てるコツ
なめくじや毛虫がつくことがあるので見つけ次第取り除きます。また、気温が上がるとアブラムシがつきやすくなります。
モザイクウィルス病が発生した場合は、薬剤での治療は不可能なのですぐに抜いて焼却処分をするしかありません。
6)ビオラを育てる時に特に注意すべき3つのこと
(1)暑さに弱い
ビオラは暑さにとても弱く、夏越しはできません。また、9~10月のまだ暑い時期に苗を植えると枯れてしまうことがあります。
(2)水やりは慎重に
ビオラは水をよく吸いますが、過湿を嫌うため与えすぎに注意します。土の表面が乾いたら与えるようにしましょう。
(3)花殻をこまめに摘む
種に栄養を取られてしまわないよう、花殻は見つけ次第取り除くようにします。花が小さいため花殻摘みは重労働ですが、見た目の美しさにも影響するのでこまめに取り除きましょう。
7)ビオラの成長後の効果的な用途とは
(1)寄せ植えやハンギングに
可憐な花をこぼれんばかりに咲かせるビオラは、寄せ植えやハンギングバスケットの素材として大活躍します。
(2)切花として
ビオラは水揚げがよく切り花に向いています。カラフルで可愛らしい花は、フラワーアレンジメントの花材にもピッタリです。
(3)押し花に
ビオラは、初心者でも簡単に押し花にできます。できた押し花は、アートにしたりカードに添えたりと様々な楽しみ方ができます。
(4)ドライフラワーに
自然乾燥や電子レンジの利用で簡単にドライフラワーにできます。ビオラの小さくて可憐な花は、ドライフラワーを樹脂で固めたアクセサリーの素材としても人気があります。
(5)食用花として
ビオラはエディブルフラワーの一つなので、無農薬のものはサラダなどにして食べる事ができます。また、ちょうど使いやすい大きさなので、ケーキの飾りやお菓子の素材などにも利用されます。
8)ビオラを育てる魅力とは
(1)長期間楽しめる
秋から春まで咲き続けるので、長期間花を楽しむことができます。
(2)種類が多い
花色が豊富なので、様々な花と組み合わせることが可能です。変わり咲きの品種も多く、選ぶ楽しみがあります。
(3)花がたくさん咲く
溢れるよう花をつけてこんもりと咲く姿はとても魅力的です。
今回のまとめ
1)ビオラの紹介
2)ビオラの3つの種類と特徴
3)ビオラを育てるのに用意する5つのグッズ
4)ビオラの5つの栽培ステップ
5)ビオラを効果的に育てる8つのコツ
6)ビオラを育てる時に特に注意すべき3つのこと
7)ビオラの成長後の効果的な5つの用途とは
8)ビオラを育てる3つの魅力とは