ブドウの房のように咲いた鮮やかな青紫色の花が印象的なムスカリ。春らしい明るい色の花を引き立てる名わき役とも言える花です。
球根から簡単に育てられますから、育て方のポイントを押さえて、春の庭先を可愛らしい花で彩ってみましょう。
ムスカリの育て方解説!8つの栽培のコツと注意点とは
1)ムスカリの紹介
(1)ムスカリとは
ムスカリは、チューリップなどともに春の花壇を彩る代表的な花の一つです。一株だけだと地味な印象ですが群生させると鮮やかな青紫色が映えるので、グラウンドカバーとして利用されることも多いです。
(2)科目・原産地
ムスカリは、キジカクシ科ムスカリ属に属する球根植物です。原産地は地中海沿岸地方またはアジア南西部で、分布の中心は地中海沿岸になります。
(3)草丈・開花期
草丈は10~30cm、主な開花期は3~5月です。
(4)名前の由来
「ムスカリ」は、ギリシャ語で「麝香」を意味する「moschos(ムスク)」という言葉から来ています。これは、ムスカリの中に強い芳香を放つ品種があることに由来しています。
(5)期待できる効果・効能
ムスカリは観賞用であり薬草として用いられる植物ではありません。但し、青い花は鎮静、 抗ストレス、 記憶力向上、安眠などの効能をもたらすとされているので、ムスカリの落ち着いた青紫の花にもそのような効果があると考えられるでしょう。
(6)栽培の難易度・耐寒性
耐寒性が強く初心者にも育てやすい植物です。
2)ムスカリの6つの種類と特徴
(1)アルメニアカム
ムスカリの中で最も栽培されている定番の品種。鮮やかな青紫色の花を咲かせます。
(2)ボトリオイデス
ムスカリの中では小型の品種。ルリムスカリという和名のとおり、明るい青色の花を咲かせますが、白い花をつけるボトリオイデス・アルブムという品種もあります。
(3)コモースム
花が咲いている姿が羽のように見える「ハネムスカリ」という品種が有名です。
(4)モスカツム
強い芳香を持つ品種で、「ムスカリ」という名の由来となっている品種です。
(5)マクロカルプム
ムスカリの中では珍しく黄色い花をつけます。「ゴールデン・フレグランス」という品種が有名です。
(6)ラティフォリウム
幅の広い葉を一株につき一枚だけ出すという特徴があります。花は黒みがかった青紫色です。
3)ムスカリを育てるのに用意する6つのグッズ
ムスカリはポット苗でも売られていますが球根から育てるのが一般的ですので、ここでは球根から鉢植えで育てる場合に用意しておきたいものをご紹介します。
(1)植木鉢
直径15cmの5号鉢で、球根4~7個が目安です。素焼きや木製など通気性の良いものがお勧めですが、100円均一ショップで買えるようなプラスチック製の鉢でも大丈夫です。
(2)用土
普通の草花用培養土で十分育ちます。10L800円前後で、園芸店やホームセンターで販売されています。
(3)肥料
置き肥として緩効性の化成肥料を用意します。直接根に触れても安全とされる「マグァンプK」などがお勧めです。600g入り1000円前後でホームセンターや園芸店で購入できます。
(4)鉢底石
鉢に土を入れる前に、水はけを良くするために鉢の底に鉢底石を入れます。園芸店やホームセンターで、5L入り300~500円程度で購入できます。
(5)移植用のスコップ
鉢に用土を入れる際に、移植用のスコップがあると便利です。園芸店やホームセンターで手に入りますが100円均一ショップでも取り扱っていることがあります。
(6)剪定ばさみ
花がらを切り取る必要があるので剪定用のはさみを用意しておきましょう。剪定ばさみは安いものだと1000円程度からありますがネット通販などよりは、園芸店などで実物を確認して購入することをお勧めします。
4)ムスカリの3つの栽培ステップ
(1)ステップ1: 球根の植え付け
9~10月ごろに、3~5cmの深さのところに植えつけます。
(2)ステップ2: 開花
球根を植え付けた後は日当りの良い場所に置き、用土が乾いたら水を与えるようにしていれば、3月ごろから花を咲かせます。花がらはその都度切り取るようにしましょう。
(3)ステップ3: 球根の堀上げ
花が咲き終わり、6月ごろに葉が枯れてきたら球根を掘り上げます。掘り上げたら陰干しをして、風通しの良い場所で保管します。そして、植えつけの適期である9~10月になったらまた植えつけます。なお、掘り上げずに植えたままにしていても2~3年は大丈夫です。
5)ムスカリを効果的に育てる8つのコツ
(1)土の種類・鉢植え
普通の草花用の培養土で十分ですが、自分で作る場合は赤玉土7、腐葉土3の割合で混合したものを用います。酸性の土を嫌うため、地植えの場合は事前に土を耕す際に苦土石灰を混ぜ込んでおきます。
(2)球根の植え付け方
球根を鉢の中央に密集させて植えつけるのが、まとまった株を作るコツです。但し、植え替えをせずに数年間そのまま置いておく予定ならば、球根2個分程度の間隔を開けて植えます。
(3)剪定・日常の手入れ
日常的な手入れは特に必要ありませんが、花がらはこまめに切り取った方が見た目がすっきりします。
(4)肥料・水やり
水は、土の表面が乾いたらたっぷりと与えます。花が終わると休眠期に入るので、その時期は水やりしなくても大丈夫です。肥料は植え付けの際に緩効性肥料を土に混ぜ込んでおきます。5月ごろに花が咲き終わったら、同様の肥料を与えて球根を太らせます。
(5)季節ごとの手入れ
花が咲いている間は、種がついて栄養が奪われないように花がらをこまめに取り除きます。花が終わっても、残った葉が栄養を球根に蓄える役割を果たすので、元気なうちは葉は絶対に刈り取らないようにしてください。葉が枯れたら球根を掘り上げるか、鉢植えのまま水を与えずに休眠させます。
(6)日当たり・置き場所
多少日当たりが悪くても育ちますが、花付きが悪くなるのでできるだけ日当りのいい場所に置きましょう。
(7)増やし方
自然に分球して増えます。
(8)虫対策・健康的に育てるコツ
害虫はほとんど見られませんが、水はけの悪い土壌だと、白絹病という白い糸状のカビが生える病気が発生します。一度感染すると治療はできないので、焼却処分となります。
6)ムスカリを育てる時に特に注意すべき3つのこと
(1)9~10月に植えつける
適期である9~10月に植えつけを済ませておかないと、茎があまり伸びず小さな株になってしまいます。
(2)日当りの良い場所に置く
半日陰でもちゃんと育ちますが、花付きが悪くなるほか、葉が間延びしてだらしのない見た目になるので、できるだけ日当りのいい場所で管理するようにしましょう。
(3)花殻をこまめに摘む
種に栄養を取られてしまわないよう、花殻は見つけ次第取り除くようにします。
7)ムスカリの成長後の効果的な用途とは
(1)寄せ植えやハンギングに
控えめな色合いのムスカリは、どんな花色にも合わせやすいので、寄せ植えやハンギングの素材としてぴったりです。
(2)切花として
鮮やかなブルーは、切り花やアレンジメントの素材としても存在感を発揮します。
(3)押し花に
変色しにくくブルーがきれいに残るので、押し花としても楽しめます。
(4)ドライフラワーに
日陰につるしておくだけでドライフラワーも簡単にできます。花色がきれいに残りやすいので、ブーケやリースの素材として役立ちます。
8)ムスカリを育てる魅力とは
(1)球根から成長を楽しめる
球根を植えるところから始まるので、日々の成長を楽しむことができます。
(2)どんな花とも合わせられる
ムスカリ自体も可愛らしい花ではありますが、わき役としてチューリップやパンジーなどの華やかな春の花を一層引き立ててくれます。
(3)青いじゅうたんを堪能できる
控えめな外見の花ですが、群生させると青いじゅうたんを敷き詰めたようにも見え、とても見事です。
今回のまとめ
1)ムスカリの紹介
2)ムスカリの6つの種類と特徴
3)ムスカリを育てるのに用意する6つのグッズ
4)ムスカリの3つの栽培ステップ
5)ムスカリを効果的に育てる8つのコツ
6)ムスカリを育てる時に特に注意すべき3つのこと
7)ムスカリの成長後の効果的な用途とは
8)ムスカリを育てる魅力とは