ナデシコと言えば可愛らしくたおやかなイメージですが、実際はその優しい草姿からは想像もできないくらい強くたくましい植物です。育て方も比較的簡単であまり手がかからないのでオススメでしょう。
今回はナデシコの育て方・栽培のコツ・ステップ・注意点をお伝えします。
ナデシコの育て方解説!8つの栽培のコツと注意点とは
1)ナデシコの紹介
(1)ナデシコとは
ナデシコという言葉の響きから日本原産のカワラナデシコの楚々とした姿を思い浮かべる人も多いかと思いますが、園芸品種のナデシコはダイアンサスという洋名の方が一般的で、見た目もカラフルでとても華やかな雰囲気を持っています。品種が多く丈夫で育てやすいので、花壇や鉢植え、切り花など様々な用途に利用されています。
(2)科目・原産地
ナデシコ科ナデシコ属(ダイアンサス属)に属します。ヨーロッパ、北アメリカ、アジア、南アフリカに約300種が自生しています。
(3)草丈・開花期
草丈は40~80cmです。四季咲き性の品種の開花期は4~11月で主に春と秋に咲き、一季咲きの品種は4~6月の開花になります。
(4)名前の由来
ナデシコに漢字をあてると「撫子」となり、「撫でるようにして可愛がる愛らしい子」という意味になります。また、学名であるダイアンサスはギリシャ語で「神の花」を意味します。
(5)期待できる効果・効能
ナデシコ(ダイアンサス)はエディブルフラワーとしても有名です。鉄分が豊富に含まれているため、貧血に効果があります。また、他のミネラルも多く含まれているので、脂肪燃焼を促進する効果や、イライラを抑制する効果もあると言われています。
(6)栽培の難易度・耐寒性 など
耐寒性が強く丈夫ですが、高温多湿に弱い面があるため注意が必要です。
2)ナデシコの5つの種類と特徴
以下に、代表的な5種類のナデシコをご紹介します。古くから種間交配が盛んに行われているため、以下の品種の種間雑種として生み出された園芸種も数多くあります。
(1)カワラナデシコ
日本各地に自生している多年草で、秋の七草の一つです。「ヤマトナデシコ」の別名の通り、優し気な草姿が特徴です。最近は外来種との交雑などで数が減少しつつあります。
(2)セキチク
中国が原産で、「唐撫子(カラナデシコ)」とも呼ばれます。背の低い三寸セキチクと、それより一回り大きい五寸セキチクなどの品種があります。四季咲き性が強く、カーネーションの親のひとつとしても知られます。
(3)ヒゲナデシコ(アメリカナデシコ、美女ナデシコ)
苞の先がひげのように伸びていることからこの名がついています。ヨーロッパが原産ですが、アメリカを経由して日本に入ってきたため、「アメリカナデシコ」の別名があります。
(4)タツタナデシコ
原産地は地中海沿岸で、蛇の目模様のある花が特徴です。たくさんの園芸品種の原種となっています。
(5)ヒメナデシコ
原産地は北ヨーロッパで、ヨーロッパに広く分布しています。草丈が低く匍匐して広がり、小さな花をたくさん咲かせます。欧米ではポピュラーなナデシコで、多くの園芸種があります。
3)ナデシコを育てるのに用意する6つのグッズ
ナデシコは種から育てることもできますが、春から秋にかけて出まわるポット植えの開花株を購入するのが手軽でおすすめです。ここでは、ポット苗とともに揃えたいグッズをご紹介します。
(1)用土
普通の草花用培養土で十分育ちます。10L800円前後で、園芸店やホームセンターで販売されています。
(2)植木鉢もしくはプランター
素焼きや木製など通気性の良いものがお勧めです。鉢の大きさは植えたい苗の数により変わりますが、旺盛に生育するので苗よりも二回り大きな鉢に植えるのが基本です。横長のプランターに植える際は、株間は20㎝程度とるようにしてください。60cmのプランターであれば、3~4株が目安となります。
(3)肥料
肥料が切れると花付きが悪くなるので、肥料はしっかりと与える必要があります。置き肥として、粒状の緩効性肥料を用意しておきましょう。直接根に触れても安全とされる「マグァンプK」などがお勧めです。600g入り1000円前後でホームセンターや園芸店で購入できます。また、追肥として液体肥料も必要です。800mL1000円前後で購入できる「ハイポネックス」の液肥がお勧めです。
(4)鉢底石
鉢に土を入れる前に、水はけを良くするために鉢の底に鉢底石を入れます。園芸店やホームセンターで、5L入り300~500円程度で購入できます。
(5)移植用のスコップ
ポットから植木鉢へ移植する際は、移植用のスコップがあると便利です。園芸店やホームセンターで手に入りますが、100円均一ショップでも取り扱っていることがあります。
(6)剪定ばさみ
摘心や花がら摘みの際に必要となるので、剪定用のはさみを用意しておきましょう。剪定ばさみは安いものだと1000円程度からありますが、ネット通販などよりは、園芸店などで実物を確認して購入することをお勧めします。
4)ナデシコの5つの栽培ステップ
ナデシコの種は発芽しやすく育ちやすいので、種から育てるのもお勧めです。
(1)ステップ1:種まき
育苗ポットか大きめの箱に用土を入れ、種が重ならないようにまきます。種にに薄く土をかけ、水を切らさないよう注意して日陰で管理します。
(2)ステップ2:定植
本葉が2~3枚になったら、鉢や庭に植えつけます。元肥はしっかり与えてください。
(3)ステップ3:摘心と花がら摘み
花数を増やすため、最初のうちは花を咲かせずに摘心を行います。花が咲きだしたら、種に栄養を取られないように花がらをこまめに摘み取ります。
(4)ステップ4:切り戻し
春の開花期の後、梅雨の時期や蒸れやすい夏に備えて切り戻しをします。草丈の半分くらいまで刈り込んでしまっても大丈夫です。四季咲き性の品種であれば、この作業によって秋の花付きがよくなります。
(5)ステップ5:株の更新
株の老化により花付きが悪くなったりするので、2~3年に1度は種を取って蒔いたり挿し芽をしたりして株を更新することをお勧めします。
5)ナデシコを効果的に育てる8つのコツ
(1)土の種類・鉢植え
用土は市販の草花用培養土で十分ですが、なるべく水はけのいいものを選びます。鉢植えの場合、小さい鉢を用いるとすぐに根がいっぱいになってしまい、根腐れを起こしてしまう恐れがあるので注意が必要です。
(2)種のまき方
育苗ポットなどに種を蒔いた後は薄く土をかぶせるようにし、深く植えすぎてしまわないように気をつけます。
(3)剪定・日常の手入れ
枝の数が少ないと花数も少なくなるので、摘心して枝を増やします。この作業により脇芽が出て枝数が増え、花の数もぐんと増えます。 枝数が増えて株が大きくなったら、摘心をやめて花を咲かせます。
(4)肥料・水やり
生育時には充分な水分が必要なので用土が乾いたらたっぷり水を与えますが、もともと乾燥を好むので普段は乾燥気味で管理します。
(5)季節ごとの手入れ
夏の蒸れには注意が必要です。株を刈り込んだり、水をやりすぎないように気をつけます。また、耐寒性は強いのですが、できるだけ霜に当てないように注意します。
(6)日当たり・置き場所
年間を通じてよく日の当たる場所に置いてください。また、蒸れに弱いので風通しの良い場所であることも大切です。
(7)増やし方
さし芽、株分け、種まきで増やすことができます。さし芽は春か秋に花芽の付いていない若い芽を切り取って、専用の用土に挿します。
(8)虫対策・健康的に育てるコツ
枝が込みすぎたり風通しが悪かったりすると灰色かび病やさび病などが出やすくなります。なので、花がら摘みや切り戻しを適宜行い、蒸れに注意します。また、アブラムシが発生しやすいので見つけ次第早めに駆除します。
6)ナデシコを育てる時に特に注意すべき4つのこと
(1)暑さに弱い
ナデシコは基本的に多年草ですが、暑さにとても弱いため一年草扱いになっている品種もあります。
(2)水のやり過ぎに注意
高温多湿に弱いため、特に夏は蒸れと風通しに気をつけましょう。
(3)花殻をこまめに摘む
種に栄養を取られてしまわないよう、花殻は見つけ次第取り除くようにします。
(4)古い株は更新する
老化した株は生育が鈍って枯れやすくなります。2~3年ごとにタネまきやさし芽で株を更新します。
7)ナデシコの成長後の効果的な4つの用途とは
(1)寄せ植えに
華やかで可愛らしい花を長期間咲かせ、寄せ植えの主役にもわき役にもなります。
(2)切り花に
鮮やかな花色のナデシコは切花としても楽しめます。フラワーアレンジメントの花材としても人気があります。
(3)押し花に
複雑な形状の美しい花弁は、押し花にするととても綺麗です。
(4)食用花として
花びらの形が美しいためケーキやサラダの飾りとして人気があります。栄養価も高く、ヘルシーな美容食材としても注目されています。
8)ナデシコを育てる魅力・楽しみとは
(1)長期間楽しめる
秋から春まで長期間咲くものが多くので、長い間美しい花を楽しむことができます。
(2)種類が多い
種類が多いので、様々な花色や形状を楽しむことができます。ナデシコの別品種のみを寄せ植えにするという楽しみ方もできます。
(3)手がかからない
それほど手をかけなくても美しい花を咲かせてくれるので、忙しい人でも気軽にガーデニングを楽しめます。
今回のまとめ
1)ナデシコの紹介
2)ナデシコの5つの種類と特徴
3)ナデシコを育てるのに用意する6つのグッズ
4)ナデシコの5つの栽培ステップ
5)ナデシコを効果的に育てる8つのコツ
6)ナデシコを育てる時に特に注意すべき4つのこと
7)ナデシコの成長後の効果的な4つの用途とは
8)ナデシコを育てる魅力・楽しみとは