園芸好きなら是非一度は自分で育ててみたい君子蘭。しかし君子蘭の扱いは冬場の気温管理等なかなか難しく、特に概ね2年毎に必要になる植え替えの作業には様々な注意とコツを要します。
今回はそんな君子蘭の植え替え方のコツや注意点をご紹介します。
君子蘭の植え替え方法!7つのステップとコツとは
1)君子蘭の紹介
(1)君子蘭とは
日本に君子蘭が入って来たのは明治時代です。日本では花だけでなく葉も同等、もしくはそれ以上の鑑賞対象となる為、全体の姿が形良く造られている物が優れているとされます。歴史の長さ故に独自の園芸分野を築いており、古典植物として扱われています。
(2)科目・原産地
ヒガンバナ科クンシラン属です。「ラン」と付きますがラン科ではありません。南アフリカが原産地です。
(3)草丈・開花期
草丈は30センチから70センチほどです。春に濃いオレンジや紅色の花を一株につき10数輪ほど咲かせます。
(4)名前の由来
クンシラン属は別名クリビア属とも言い、君子蘭はその一種、クリビア・ノビリスに付けられた和名です。ノビリスとは「高貴な」という意味で、そこに「君子」という言葉を当てたのだと言われています。なお、現在はクリビア・ノビリスではなく別種のクリビア・ミニアタを指して君子蘭と一般的に呼んでいます。
(5)栽培の難易度とその理由
君子蘭の栽培難度はなかなか高いです。初心者が一番失敗しやすいのが冬場の温度管理でしょう。君子蘭は冬には室内に取り込みますが、暖かすぎる環境に置くと花芽が付きません。君子蘭に限らず植物全般は次世代を残す為に花を付けるのですが、暖かいと生存の心配が無い為に葉ばかりが茂る事になります。
逆に言えば、低温の環境に置けば生存の危機を感じ取り、花芽を付けるという仕組みですので、君子蘭を室内に入れたら、花芽が付く前後の期間も含めて2か月間程は寒い場所に置く事が必須になります。この時の温度は5℃から12℃までで保ち、それ以上にも以下にもならないように管理を徹底しましょう。
(6)期待できる効果・効能
ヒガンバナ科の植物の多くは冬には葉も枯れて休眠してしまうのですが、君子蘭は休眠をしません。そして花が無くても葉がとても美しい為、一年中目を楽しませてくれる植物なのです。濃い緑色には精神を落ち着かせる効果があるとされていますし、斑入りの物もまた様々な模様が心を癒してくれるでしょう。
2)種類の解説!君子蘭の3つの種類と特徴
君子蘭は花や葉の特徴により系統分けされています。代表的な3系統を紹介します。
(1)高性広葉系
鉢物として一般的に一番多く流通しています。幅広で長めの葉が特徴です。花茎も長く丈夫で花が良く目立ち、栽培もしやすい種類です。
(2)ダルマ系
こちらは同じく幅広ですが短めで肉厚の葉が特徴です。花茎も短く、こんもりとダルマのような形になります。成長はやや遅い方です。
(3)斑入り系
葉に白色や淡黄色の斑が縞状に入る所が人気の品種です。花や葉の形は高性広葉系とほぼ同じです。
3)君子蘭の植え替えの2つのメリット・必要性
君子蘭は2年に1回程度のペースで植え替えが必要です。君子蘭の根は太くて多く、またとても成長が早い為、特に鉢植えの中でいっぱいになってしまう事が起こりがちだからです。植え替えするメリットを説明します。
(1)根腐れを防ぐ
根が鉢植えの中でパンパンに張った状態になると、根詰まりを起こし水や養分を十分に吸収する事が出来なくなります。根詰まりを起こした君子蘭は根腐れに至り、ついには枯れてしまいます。これを防ぎます。
(2)花付きを保つ
根詰まり状態になると全体の生育も不良になり、特に花が思うように付いてくれなくなります。植え替えをする事によってこれを避けたり、一度花が付かなくなった株の花を復活させる事が出来ます。長く栽培するには必須の作業なのです。
4)タイミングが重要!植え替えの適切な時期とは?
君子蘭の植え替えは花後の5月頃が最適です。と言うよりも、この時期以外に行うのはお勧めしません。初夏から夏頃は花芽を形成する大切な時期ですし、温度も高く植え替え後の株が弱りやすいのです。もし5月を逃してしまった場合は、根腐れを起こしている等の緊急事態でもない限りは1年先に延ばした方が賢明でしょう。その位の延期であれば影響は少ないです。
5)グッズを整えよう!植え替えに用意すべき5つのグッズ
(1)鉢
これまで使っていた物より一回り大きい鉢を用意します。
(2)土
君子蘭専用の培養土も売られていますが、自分で作る場合は、軽石中粒4・赤玉土中粒3・腐葉土3の割合で混ぜた物を用意します。中粒なのは水はけを良くする為です。小粒の用土は君子蘭には向いていません。
(3)鉢底用の石
更に水はけを良くする為に、鉢底の土の下に敷く為の石も用意します。ホームセンターで売っています。
(4)園芸用ハサミ
花茎や下葉の処理に使います。周辺の葉に傷を付けないよう丁寧に行う為に、小型の物が良いでしょう。
(5)割り箸
鉢と株(根)の間に隙間なく土を入れ込むのですが、割り箸があると細かい部分の作業に便利です。
6)君子蘭の植え替えの7つのステップ
(1)花茎を切る
まず花の終わった花茎を付け根から切り取ります。この時周りの葉を傷つけないように注意しましょう。
(2)株を抜く
鉢から株を引っこ抜きますが、根が張っている場合非常に抜きにくくなっています。この時は鉢の周りを叩いてやってから株を抜くと良いでしょう。
(3)根の整理
根に付いている古い土を落として、健康な白い根を残し、傷んでいる根を丁寧に取り除きます。君子蘭の場合、長い根を切り詰める事はしませんので注意です。
(4)下葉の処理
枯れている下葉も綺麗に切り取ります。やはり他の葉を傷つけないよう丁寧に行いましょう。
(5)植え込み
一回り大きな鉢に株を植えます。水はけを良くする為に、鉢の底に鉢底用の石を数センチ入れておきます。その上に土を少し入れてから、鉢の中央に根を巻き込むようにして株を入れるのがコツです。
(6)土のすき込み
鉢と株の間に、隙間が出来ないように丁寧に土を入れ込みます。細かい部分には割り箸を使って、奥までよく土を押し込むのが良いでしょう。
(7)水やり
仕上げにたっぷりと水を与えます。目安は鉢の底から水が流れ出す程たっぷり、です。
7)要注意!君子蘭の植え替えで特に注意すること
(1)根を折らない為の事前準備
君子蘭の根は太いですが大変折れやすいです。なので、植え替える直前には水やりを控えめにしましょう。そうする事で根が半乾きの状態でしなりやすくなり、植え替えても根の折れる被害が出にくくなります。
(2)元気な根に傷を付けない
傷んだ根やしわしわに枯れた根はすべて取り除きますが、この時の作業は細心の注意を持って行ってください。元気な根は白色をして生き生きとしていますが、これに決して傷をつけないように気をつけます。傷がつくとそこから腐ってしまったりします。もし傷んだ根がそれほど目立たないのであれば、無理に根本を崩さなくとも良いです。
8)君子蘭を健康的に栽培する4つのコツとは
(1)向きの調整
君子蘭は日の当たる方向に伸びる性質がありますので、鉢植えを置きっ放しにしておくと一方向に株全体が傾いてしまって不格好になります。週に一回程度で良いので鉢を回し、各方向から均等に日が当たるように調整してください。
(2)露光量の調節
君子蘭は元々半日陰で育つ植物ですので、日当たりが良すぎると葉焼けを起こしてしまいます。斑入りの物は特に弱いです。弱い光でも育つ植物ですから、夏場は50%程度日光を遮ってあげる位が丁度良いでしょう。
(3)花茎の処理
花が終わった後の花茎をそのままにしておくと、種が出来て株が弱ってしまいます。種採りを目的としないなら、花が枯れ始めた頃に花茎を付け根から切り落としておきましょう。
(4)各季節に適した気温や置き場所
君子蘭の基本の置き場所は、「直接日光は当たらないが明るい場所」です。暗すぎると花芽が付きにくくなったり、葉がひょろひょろになったりしますので注意です。春先と秋から冬にかけては室内の明るい日陰、初夏から夏の終わりまでは戸外の明るい日陰、真冬は日当たりの良い室内、というように適宜置き場所を変えて行くのが望ましいでしょう。
9)君子蘭の花言葉
君子蘭の花言葉は「貴い、情け深い、誠実」等です。君子の名にぴったりの素敵な言葉が揃っていますね。是非とも健康的で美しい自分だけの君子蘭を育ててみてはいかがでしょう。
今回のまとめ
1)君子蘭の紹介
2)君子蘭の3つの種類と特徴
3)君子蘭の植え替えの2つのメリット・必要性
4)タイミングが重要!植え替えの適切な時期とは?
5)植え替えに用意すべき5つのグッズとは?
6)君子蘭の植え替えの7つのステップ
7)君子蘭の植え替えで特に注意する2つのこと
8)君子蘭を健康的に栽培する4つのコツとは
9)君子蘭の花言葉