シャキシャキとした小気味良い食感と、独特の香味を併せ持つ野菜、セロリ。苦手な方もいますが、好きな方は病みつきになる程好きなんですよね。一般家庭での栽培は簡単ではありませんが、コツさえつかめば新鮮なセロリをたっぷりと味わう事ができます。今回はそんなセロリの栽培のコツをご紹介します。
セロリの栽培方法!8つの栽培のコツと効果的なステップ
1)セロリの紹介
(1)セロリとは
別名オランダミツバともいい、日本には1800年頃オランダ船が運んで来ました。当時は独特の強い香りが敬遠され、一般には普及しなかったそうです。今のように一般的になったのは戦後のこと。食生活の洋風化により私達にも馴染み深い物になりました。
(2)科目・原産地
セリ科オランダミツバ属です。地中海沿岸が原産地です。
(3)草丈・開花期
草丈は30センチから75センチ程です。開花期は特に決まっていません。気温が10℃を下回ると花が咲いてしまいます。「しまいます」と言うのは、花が咲いたセロリは「とう」が立った状態で食用に向かないからです。
(4)名前の由来
セロリの学名は「Apium」と言い、ラテン語ですがケルト語の「水」に由来しています。セロリのみずみずしさから付いた名とされています。
(5)育てる難易度・耐寒性
セロリには耐寒性はあまり無く、かつ暑過ぎるのも苦手です。温度調節が難しい為、栽培難易度は普通からやや難しい、になります。
(6)期待できる効果・効能
セロリはカリウムを豊富に含んでいる為、体内の余分なナトリウムの排出に効果があります。その結果血圧を下げる効果が期待できます。葉には血液をサラサラにする成分や活性酸素を除去する成分が含まれていますし、更に特有の香りは気持ちをリラックスさせるだけではなく、何とがんの予防にも効果があると言われています。
2)種類はあるの?セロリの4つの種類と特徴
(1)コーネル619
日本で最も流通しているのがこの種類で、下記の栽培の項でもこの種類を扱います。スジが柔らかく香りもソフトな為馴染み易い種類です。サラダやスープに最適です。
(2)ユタ
アメリカで多く栽培・消費されている種類です。茎まで緑色な為「緑色種」と分類されます。肉厚で香りが強めなのが特徴です。この種類を日本で改良したものに「トップセラー」という品種もあります。
(3)ミニホワイト
茎が白く、見た目が三つ葉に似ているセロリです。白い色は水耕栽培で育てている為で、柔らかくスジが少なく、また香りも少なめなのでセロリが苦手な方でも食べ易い品種です。
(4)キンサイ
野生の種に近いとされる、東洋の在来種です。茎が細めで香りが強く、中華料理によく使われます。別名を「スープセロリ」といいます。
3)グッズを整えよう!栽培するのに必要な3つのグッズ
(1)育苗箱
種を苗まで育てるのに使います。セロリの種はいきなりプランターや畑に植えるには適さないので、まずは育苗箱で芽を出させる事になります。色々なタイプが売られていますが、育てる量によって選びましょう。500円くらいから売っています。
(2)育苗ポット
苗を植え付けに適した大きさになるまで育てる容器です。植木鉢と同じ形をしています。塩化ビニール製の「ポリポット」と土に還せる原料で作った「ジフィーポット」の2種類があります。ポリポットは何度でも使用できますが、ジフィーポットはそのまま土に植えればOK。再利用は出来ませんが苗の根などを傷つける失敗がないのでお勧めです。ジフィーポットの方が多少高めですがその価値はあります。
(3)プランター
セロリ用のプランターは60センチ程の標準タイプでよいですが、根が深く張るため深型の物を購入しましょう。ひとつにつき2~3株育てる事ができます。一般家庭の消費量ならばちょうど良い量でしょう。
4)正しい栽培手順を!セロリの6つの栽培ステップ
(1)ステップ1:種まき
セロリの育成に適した気温は、16℃から21℃と大変幅が狭いです。この気温からはみ出してしまうと生長に支障が出るので注意しましょう。よって種まきの時期も気温との相談になります。日本各地で時期に違いが出るので、気温に気を付けて種まきをしましょう。
(2)ステップ2:苗植え
セロリは、プランター植えでも畑植えでも、種から苗まで育苗箱や育苗ポットできちんと育ててから植えるのが一般的な手順になります。よく育った色つやの良いものを選んで植え付けます。この時、深く植え過ぎると株元が腐ってしまうので気を付けましょう。
(3)ステップ3:水やり
セロリはみずみずしい野菜ですので、水を沢山必要とします。種まき直後もそうですが、植え付けた後でも他の野菜より多めに水を与えてください。
(4)ステップ4:肥料
セロリは肥料も沢山必要とします。特にプランター栽培では追肥が重要になりますので、きちんと与えてください。畑植えの場合は植える前に、堆肥・油かす・鶏糞・化成肥料など多くの肥料を混ぜ込んでしっかりと耕しておきましょう。
(5)ステップ5:わき芽かきと下葉かき
セロリは生長スピードが早くなった頃から、わき芽や下葉が沢山生えて来ます。これらは本来の株の生長を損ねる為、見つけ次第かき取るのが基本になります。もちろんかき取ったわき芽・下葉は食べられますので、無駄にせず美味しくいただきましょう。
(6)ステップ6:収穫
株が30センチから40センチに育てば収穫の時期です。もたもたしていて寒くなってしまうとすぐに「とう」が立って食べられなくなるので注意が必要です。株ごと根本からナイフで切って収穫します。余分な根は綺麗に切り取っておくと鮮度が長く保てます。
5)要チェック!セロリを効果的に栽培する8つのコツ
(1)土の種類・鉢植え
セロリを育てる土は肥沃な物にするのが望ましいです。赤玉土7:腐葉土2:バーミキュライト1の割合で配合した土がお勧めです。また酸性の土壌を嫌う為、鉢植えでも畑植えでも、石灰を混ぜ込んで中和しておきましょう。
(2)種のまき方
種はいきなりプランターや畑にまかず、まずは育苗箱を用意してその中にまきます。3センチから5センチの間隔で溝を作り、すじまきにします。土はうっすらと被せるか、被せなくてもいいです。たっぷりと水を与え、新聞紙等で覆って乾燥を防ぎましょう。発芽には10日から15日程かかります。本葉が2、3枚生えたら元気のある苗を選んで、育苗ポットに植え替えます。その後もこまめに水を与え、本葉が7から9枚になった所でプランター・畑に植え替えます。
(3)剪定・日常の手入れ
上記ステップの項に書いたわき芽・下葉かきが特に重要な手入れです。これらを残しておくと株全体が軟弱になってしまうので、こまめに行ってください。
(4)肥料・水やり
セロリは特に水と肥料を多く必要とする野菜です。水は多いかなと思う位与えて構いませんし、肥料は月に2回の追肥が必要です。油かすや化成肥料の他に、液肥も望ましいです。液肥の場合は10日に一度位のペースで与えましょう。
(5)季節ごとの手入れ
手入れとは少し違いますが、収穫期が近くなったら、株の風通しを良くする為にも外側から少しずつ葉をはぎ取って収穫して行く方法もお勧めです。セロリは収穫の適期を逃すと「す」が入ってしまいますが、初心者の方にはこのタイミングを見計らうのが難しいです。その点、はぎ取り方式ならば中の観察も出来る為、食べごろを逃してしまう事が少なくなります。
(6)日当たり・置き場所
上記の通り、セロリの育成に適した気温は16℃から21℃です。この気温に合わせて日当たりを調整してやるのが基本になります。夏場は半日陰に置いてください。畑植えであれば寒冷紗などで遮光するとよいでしょう。
(7)増やし方
セロリはさし木などでは増やせませんので、増やしたい時は花を咲かせて種を採取する事になります。ここで注意したいのは、セロリには連作障害があるという事です。つまり2年以上同じ所で育てられません。よって種を地面にこぼしてしまうと無駄になってしまうので、きちんと時期を見計らって種を採取してください。
(8)虫対策・健康的に育てるコツ
セロリにはアブラムシが付きやすいです。食べる物なので殺虫剤の使用は避け、粘着テープなどで絡めとるのがお勧めです。更に防虫ネットを使えば予防ができます。セロリを健康的に育てるには、なんと言っても温度管理が命です。日が当たりすぎていないか、または寒すぎないか、毎日注意を払ってあげてください。
6)収穫後の楽しみ・・!効果的な3つの用途とは
(1)生で食べる
最も簡単なセロリの食べ方です。綺麗に洗って大きさを揃えて切り、見栄えの良いコップに入れてディップサラダにすると楽しいですよ。この時ニンジンなども一緒にするとより彩りが豊かになり、目も楽しませてくれます。
(2)漬物にする
軽く浅漬けにすると香りが際立ち、良い副菜になります。カレーなど味の濃い料理に良く合います。ピクルスにするのも良いでしょう。
(3)スープやシチューに入れる
セロリは香味野菜としても使えますので、スープ・シチューの味に深みを加えてくれます。また肉の臭みも消してくれるので一石二鳥ですね。活用法の沢山あるセロリ、自分で育てたものであれば美味しさもひとしおですね。多く食べてもカロリーが低いのも嬉しいところです。独特の風味を心ゆくまで楽しみましょう。
7)注意!セロリを保存する場合の3つのポイント
(1)葉と茎は切り離す
セロリはそのままにしておくと、葉がどんどん水を吸い上げてしまう為、茎がしおれてしまいます。セロリを保存する際は必ず葉の部分と茎の部分を切り離しましょう。
(2)茎を立てて保存
葉と茎、それぞれを新聞紙でくるんでからビニール袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で保存しますが、この時茎は生えていた頃と同じように立てておくと長持ちします。
(3)葉は冷凍保存も可能
セロリの葉は冷凍保存が出来ます。細かく刻んでから冷凍しましょう。長持ちしますし、普段づかいの良い薬味になってくれます。
今回のまとめ
1)セロリの紹介
2)種類はあるの?セロリの4つの種類と特徴
3)グッズを整えよう!栽培するのに必要な3つのグッズ
4)正しい栽培手順を!セロリの6つの栽培ステップ
5)要チェック!セロリを効果的に栽培する8つのコツ
6)収穫後の楽しみ・・!効果的な3つの用途とは
7)注意!セロリを保存する場合の3つのポイント