ラズベリーといえば、子供の頃、道端に生っている実を摘んでは食べていた、という思い出のある方も少なくないと思います。可憐な花を咲かせ、実はジャムやパイなど食用にすることも多いラズベリーを、今回はご家庭での育て方についてご紹介します。
ラズベリーを家庭で栽培しよう!育て方の8つのコツとは
1)ラズベリーの紹介
(1)ラズベリーとは
ラズベリーは木イチゴの仲間の低木性果樹で、日本でも多くの野生種が自生しています。食用として現在流通しているものの多くは栽培種なので、販売されているような甘酸っぱく美味しい品種は、野生下にはないものです。
(2)科目・原産地
科目:バラ目バラ科キイチゴ属
原産地:ヨーロッパ、北アメリカ
(3)草丈・開花期
草丈:1~1.5m
開花期:5月中旬~6月中旬、8月下旬~10月
(4)名前の由来
英語の「raspberry(ラスピベリー)」から来ています。「ベリー」は「小さい果実」を意味し、「ラスプ」は由来が二説あります。一説には、「ギリギリ」「ガリガリ」といった、ヤスリをかける音や、「ヤスリ」そのものを意味するという説。またもう一説は、ラズベリーで作ったお酒が「raspis(ラスピス)」と呼ばれており、そこから果実の名前になったとする説です。 イメージ的に、後者の説の方が有力のようです。
(5)栽培の難易度とその理由
ラズベリーは、耐寒性や耐暑性に優れているため、比較的初心者でも育てやすい品種です。
(6)期待できる効果・効能
ラズベリーにはビタミンC、ミネラルが豊富で、またルティンやクエン酸、エラグ酸、アントシアニンなどのポリフェノールも含まれています。そのため抗酸化作用に優れており、高血圧や高脂血症、糖尿病や動脈硬化、生活習慣病予防を始めとして、眼病予防や視覚機能改善、がんの予防や抑制その他多くの効果が期待されます。
2)種類の違いとは?ラズベリーの4つの種類と特徴の違い
(1)サマーフェスティバル
二季なり性。果実は赤色。6月中旬から7月中旬にかけて初夏なりで、秋なりは9月上旬から11月中旬に成熟します。
(2)インディアンサマー
二季なり性の直立樹形。果実は赤色。6月中旬から7月中旬にかけて初夏なりで、秋なりは9月上旬から11月中旬に成熟します。
(3)スキーナトップ
二季なり性。果実は赤色。楕円形が特徴的です。6月中旬から7月中旬にかけて初夏なりで、秋なりは9月上旬から11月中旬に成熟します。
(4)ファールゴールド
一季なり性で直立樹形。果実は黄色で、楕円形が特徴。6月下旬から7月中旬にかけて成熟します。
3)グッズを整えよう!育てるのに必要な8つのグッズ
(1)グッズの種類
用土、粒状肥料、植木鉢(植木鉢で栽培する場合)、シャベル、ジョウロ、剪定ばさみ、支柱、針金等
(2)グッズを選ぶ基準
用土は水はけのよいものを選びましょう。鉢植えは6~7号鉢あたりの大きさのものがお勧めです。
(3)初期費用
2,000円~3,000円程度
※個人差があります
(4)入手方法
園芸店やホームセンターで入手出来ます。
4)ラズベリーの5つの栽培ステップ・スケジュール
(1)ステップ1:植え付け時期
ラズベリーの栽培は、多くが購入した苗を、鉢植えや庭に植え付けることから始まります。苗は秋~早春にかけて販売されますので、その時期に植え付けを行います。
(2)ステップ2:鉢植えへの植え付け
ポットから苗を抜き出したら、根が傷まないよう注意しながら軽くほぐします。鉢植えに用土を入れたら、苗をそこへ植えつけましょう。その後、粒状肥料を置いたら、たっぷり水やりをします。
(3)ステップ3:庭への植え付け
直径40cm、深さ30cm程度の植え穴を掘ります。掘りあげた土に用意した用土を混合したら、そこへ粒状肥料をよく混合しましょう。それらの混合土を2/3程度まで植え穴に埋め戻したら、苗を植えつけます。その後で枝の1/3程度を切り戻して、支柱を立てて紐などで結び留めておきましょう。以上の作業が終わったら、最後にたっぷりと水やりを行いましょう。
(4)ステップ4:肥料
肥料の種類は「マイガーデンベジフル」がお勧めです。鉢植えの場合は、表土に1株あたりにつき3g程度置きますが、庭植えの場合は、1株あたり50g程度置くようにしましょう。
(5)ステップ5:収穫時期
収穫シーズンは、6月中旬~10月中旬辺りにかけてです。果実をつまんで引っ張り、花托から果実が簡単に離れたら収穫には最適の頃合いです。収穫し終えた果実は、中が空洞になっているため、つぶさないように注意しましょう。
5)ここがポイント!ラズベリーを効果的に育てる8つのコツ
(1)土・鉢植えのコツ
用土は赤玉土小粒、腐葉土、川砂を6:3:1がお勧めです。鉢植えはあんどん仕立てにしましょう。
(2)日常の手入れのコツ
普段は特別な手入れは必要ありませんが、5月~6月にかけてと、8月~9月にかけて、追肥を行うようにしましょう。
(3)肥料・水やりのコツ
水やりは、鉢植えの場合は、4月~7月までは1日1回、8月~9月は1日2回、また10月~3月まではの期間は、表土が乾いたタイミングで水やりを行いましょう。
(4)日当たり・置き場所のコツ
日当たりの良い場所で育てましょう。ただし直射日光が当たり過ぎるよりは、半日陰の環境の方がお勧めです。
(5)増やし方のコツ
ラズベリーは、4月~5月頃になると、たくさんのサッカーが出てきます。それをつけ根から切り取り採取して、新しい鉢に植えつければ繁殖は容易にできます。
(6)虫対策・健康的に育てるコツ
ラズベリーは病害虫が付きにくいため、対策はほとんど必要ありません。ただし地域によってはマメコガネの葉の食害だったり、ハダニ類の害などが見られますので、発見次第防虫ネットでの対策や、マルチングを施すなど、害虫にあった対処を施しましょう。
(7)季節による注意
夏には冷涼な空気を好むため、直射日光は避けましょう。また、乾燥のし過ぎにも注意します。
(8)収穫のコツ
鉢植えで育てる場合には、収穫は40~50果を目安にしましょう。
6)どんな使い方ができる?収穫後の効果的な3つの用途とは
(1)生食
ラズベリーは、収穫後生のままで食べることが出来ます。そのため、調理の手間も要りません。
(2)洋菓子
タルトやケーキ、ジャムなど特に洋菓子のジャンルで幅広く活用出来ます。
(3)ソース
洋菓子以外にも、肉料理の油っこさを消すためにソースとして利用されることもあります。ラズベリーはもっぱら食用に用いられますが、その活用方法は多岐にわたります。
7)保存方法に注意!ラズベリーを保存する場合のポイント
(1)保存方法
ラズベリーは傷みやすいので、風が当たらないように袋に入れて、冷蔵庫で保管します。2~3日のうちに食べるようにしましょう。また、大量に収穫した場合には、冷凍庫で保管することも出来ます。
(2)保存のポイント
冷凍保存する場合には、粒同士が重ならないよう、トレイなどに広げて冷凍します。凍ったら、保存袋などに入れて冷凍しておきましょう。
8)ここが魅力的!ラズベリーを育てる魅力とは
(1)ズバリ経済的
ラズベリーは、スーパーなどで買い求めるとそれなりに高く値が付いてしまいます。それをご家庭で育てることで、いつでもタダで収穫することが出来るため、大変経済的です。
(2)観賞用としても楽しめる
ラズベリーの花は小ぶりですが、白くてとても可憐な花を付けます。そして実は大変可愛らしく、赤く輝く実によっては、まるで宝石のようにも見えます。食用にせずとも、十分に観賞用としても楽しむことが出来ます。
今回のまとめ
1)ラズベリーの紹介
2)種類の違いとは?ラズベリーの4つの種類と特徴の違い
3)グッズを整えよう!育てるのに必要な8つのグッズ
4)ラズベリーの5つの栽培ステップ・スケジュール
5)ここがポイント!ラズベリーを効果的に育てる8つのコツ
6)どんな使い方ができる?収穫後の効果的な3つの用途とは
7)保存方法に注意!ラズベリーを保存する場合のポイント
8)ここが魅力的!ラズベリーを育てる魅力とは