土産物店などでよく見かけるまりも。コロコロした丸い形が可愛らしいですね。北海道旅行に行った方からお土産にもらう事も多いのではないでしょうか。しかしつい忘れて放って置いたり、育て方が分からなくて枯らしてしまった、という悲しい話もよく聞きます。今回はそんなまりもの育て方・栽培のコツをご紹介します。
まりもの育て方解説!3つの栽培ステップと8つのコツとは
1)まりもの紹介
(1)まりもとは
様々な国・場所の湖に生息する植物です。丸い姿が特徴ですが、実はあの姿は細長い「藻」(も)が一本一本、湖の水流により絡みあって球状になっているのです。日本の物は特別天然記念物に指定されており、また各国の物も絶滅危惧種として認定を受けているので、丸くなったまりもの採取は禁じられています。土産物店などで売られているまりもは、藻状の物を採取して人工的に丸めた物になります。
(2)科目・原産地
アオミソウ科マリモ属です。原産地ははっきりしていませんが、近年の研究によると北半球のマリモすべてが日本の北海道阿寒湖原産ではないかとされています。
(3)草丈・開花期
自然の状態ですと最大では30センチ程の大きさになりますが、個人で育てている場合はそこまで大きくなりません。藻の一種なので花は咲かず、細胞分裂で増えて行きます。
(4)名前の由来
毬(まり)のような姿をした藻だということから、まりもと名付けられました。
(5)期待できる効果・効能
まりもの深い緑色、丸くて可愛らしい形などは現代人の疲れた目をよくなごませてくれます。
(6)栽培の難易度・耐寒性
まりもの栽培難易度はとても易しいです。また耐寒性も、阿寒湖は冬場には分厚い氷に覆われる程寒い為、非常に強いです。その代わり暑さに弱く、35℃を超えると枯れてしまいます。
2)種類の違いは?まりもの2つの種類と特徴
まりもには、かつてチシママリモ、フトヒメマリモ、カラフトマリモ、トロマリモ、フジマリモ等の多様な種類があるとされていましたが、近年の研究によりすべて同じマリモであると位置づけられました。現在分類されているのは2種類のみです。
(1)マリモ
一般的にまりもと言うとこちらの種を指し、このページでもこちらの種を扱っています。柔らかそうに見えますが藻の一種であるため実はかなり硬く、触るとチクチクした感触があります。
(2)タテヤママリモ
富山県で発見され、その後北海道から九州まで全国で確認されている種類です。元はマリモと同じ物だと思われて来ましたが、近年のDNA分析の成果により、違う種である事が確認されました。
3)グッズを整えよう!育てるのに用意する4つのグッズ
(1)水
特別なミネラルウォーター等は必要としません。ご家庭の水道水で十分です。
(2)入れ物
まりもが窮屈にならないように少し大きめのガラス瓶が良いでしょう。中に色々飾り付けるなら更に大きい物が必要になります。
(3)ハサミ
小ぶりでよく切れる物を用意しましょう。園芸用ハサミでなく普通のハサミで十分です。部分的に枯れた所を切り取る為に使います。
(4)茶こしなど
水を取り替える時に誤ってまりもを排水溝に流してしまった、という事故がたまに聞かれます。茶こしのような細かい網目の物でまりもを受けるようにすれば安全でしょう。100円ショップの物で十分です。ただし目がしっかりと細かい物を選びましょう。荒い物だとまりもがバラバラになってしまう危険があります。
4)正しい手順を!3つの栽培ステップ
(1)ステップ1: 購入
自分で藻を採取して丸めるのはまず難しいので(特に阿寒湖の物は決して採ってはいけませんし、他の生息地の物も厳重に管理されています)普通に土産物店や通販などで丸くしてある物を買い求める事になります。この時、偽物には注意してください。キーホルダー等取り出せない状態の物に入っているまりもは、スポンジ等で出来た模造品である可能性が高いです。きちんとフタが開くタイプの瓶に入っている物を選びましょう。
(2)ステップ2: 手入れ
まりもの手入れは、何と言っても水の取り替えにつきます。最低でも夏場は2週間に1回、冬場は1か月に1回は水を替えてください。これより短い期間でも、水が汚れたように見えたら替えましょう。
(3)ステップ3:鑑賞
まりもを大きくする手段もありますがかなりの上級者向けですので、きちんと水を取り替えたら後はのんびりと鑑賞しましょう。植物なので光合成をしますが、前述の通り暑さに弱く35℃以上になると枯れてしまう為、直射日光の当たる窓辺等暑い所に置くのはやめましょう。屋内の自然な光で十分です。
5)ここがポイント!まりもを効果的に育てる8つのコツ
(1)水の種類・入れ物
水は水道水がベストです。綺麗なミネラルウォーター等を使ってあげたいと思うかも知れませんが、水道水に含まれるリンやカリウム、窒素などがまりもとの相性が良いようです。入れ物はまりもがのびのびと出来る大きさのガラス瓶であれば大丈夫です。フタは時々開けてあげる、あるいはしなくても良いでしょう。
(2)種のまき方
まりもには種が存在しません。前述した通り藻ですので、細胞分裂で増える事になります。とは言っても一般家庭で普通に育てている分には、目に見える程の増殖はあまり見られません。湖のまりもも1年で10ミリ生長するかしないかだそうです。
(3)日常の手入れ
栽培の項のステップ2で書いた通り、水の取り替えが要になります。この時、水は全替えではなく半分や3分の1ほど元の水を残した方がまりもが落ち着くようです。更に、まりも自体を水(水道水)で洗ってあげるのも効果的です。この時注意するのは、力を入れ過ぎたり水流を強くし過ぎたりしない事です。まりもは大きくなって来ると中心部が空洞化する為、簡単にバラバラになってしまいます。バラバラになったまりもを修復するのは困難ですので、あくまで優しく洗ってあげてください。
(4)肥料
まりもには肥料は必要ありません。どうしてもという場合は液肥などを使いますが、水が汚れてしまいかえって逆効果かも知れません。まりもには自分で光合成をする力があるので、その力を信じてあげましょう。
(5)特別な手入れ
まりもの一部分だけが茶色くなってしまった場合、その部分は枯れています。まりもは藻の集合体なので、枯れた部分だけを取り除けばまだ十分生きる事ができます。この場合手で千切ると失敗しやすいので、小さめのハサミを使うのがお勧めです。
(6)日当たり・置き場所
他の項でも書いた通り、まりもは暑さに弱く、35℃が限界です。もっとも、実際には限界よりやや低い程度の温度でもかなり苦しいです。30℃までが限界だと思ってもよいでしょう。よって夏の暑い時期や長期の旅行に出かける時などには冷蔵庫に入れるのもひとつの手です。寒さには強いので安心して入れておけます。ただし冷蔵庫内では光合成が出来ない為、あまりに長期に入れっ放しにするのはやめましょう。
(7)増やし方
大きくなったまりもを2つに分けるという増やし方もありますが、あまりお勧めしません。失敗して球状の物がほどけ、バラバラになってしまうともう一度丸めるのは難しいです。もっとまりもがほしくなった場合は、普通に追加で購入する方が無難でしょう。
(8)虫対策・健康的に育てるコツ
まりもに発生しやすい害虫は、蚊の幼虫であるボウフラや、ミズミミズです。どちらも水をきちんと替えていれば発生を防ぐことが出来ますので気を付けましょう。
6)要注意・・育てる時に特に注意すべき3つのこと
(1)水を替え過ぎない
上記で水の取り替えが要だとは書きましたが、2、3日と置かず水を替えるというのはやり過ぎですので注意してください。まりもが水に馴染めず弱ってしまいます。
(2)金魚と一緒に飼わない
水草のつもりで金魚と一緒に飼ったら素敵に見えると思った…ら、何と金魚がまりもを食べてしまった、という例が多く報告されています。まりもはまりも単体で飼ってあげてください。
(3)砂を入れる場合
ガラス瓶の底に砂を入れたい場合、砂をよく洗ってから入れるようにしてください。また栄養を含んだ土などは必要ありません。そういった土を使うと、他の藻が発生してしまうのでかえってよくないそうです。
7)成長後の楽しみ!効果的な3つの用途とは
(1)緑色に癒される
植物の緑色は私達の眼を癒してくれますが、まりもの深い緑色、水の中でゆらゆらする様子は特に癒しの効果が高いです。机の脇にちょこんと置くことも出来るので、ちょっとした合間にまりもを眺めてリフレッシュしましょう。
(2)飾り方を変えて楽しむ
100円ショップで売っている貝殻やビー玉などを入れて飾り付けるとよいアクセントになり、まりも単体よりも見栄えがします。大きなビンならかなり飾ることができますし、センスの見せどころです。ただし、水替えの度に飾りもきちんと洗うようにしてください。
(3)プレゼントにする
普通に土産物店で買って来た状態でもいいですし、上記のように自分のセンスで飾り付けた状態のまりもを人に贈るのも楽しみになります。その際は育てる注意事項を忘れずに教えてあげてくださいね。可愛らしいまりもを多くの方と一緒に楽しみたいものですね。
今回のまとめ
1)まりもの紹介
2)種類の違いは?まりもの2つの種類と特徴
3)グッズを整えよう!育てるのに用意する4つのグッズ
4)正しい手順を!3つの栽培ステップ
5)ここがポイント!まりもを効果的に育てる8つのコツ
6)要注意・・育てる時に特に注意すべき3つのこと
7)成長後の楽しみ!効果的な3つの用途とは