暑い夏のシンボル、ひまわりの花。小学生位で宿題等の為に栽培した方も多いと思いますが、今になってから育てようとすると案外、育て方を思い出せないという方もいらっしゃるでしょう。今回はそんなひまわりの育て方・栽培のコツをご紹介します。
ひまわりの育て方を解説!7つの栽培ステップとコツとは
1)ひまわりの紹介
(1)ひまわりとは
ひまわりが日本に入って来たのは1666年頃と言われています。野生のひまわりはそれほど大きな花を付ける物ではありませんでしたが、幾多の品種改良により、現在のような大輪のひまわりが作られました。花だけでなく種を食べたり、油を採ったり等幅広い利用法があります。
(2)科目・原産地
キク科ヒマワリ属です。北アメリカが原産地です。
(3)草丈・開花期
草丈は大きい物だと3メートル程にもなり、夏場に大きな黄色い花を咲かせます。
(4)名前の由来
太陽の動きを追って花が向きを変える事からこの名が付きました。ただしこの現象は生長が盛んな若い頃だけであり、完全に生長したひまわりは太陽の動きを追いません。
(5)期待できる効果・効能
大輪のひまわりの花は、心を明るくしてくれます。また食用品種のひまわりの種には、葉酸やカリウム、ビタミンEといった栄養素が豊富で、免疫力を高めたり美肌効果がある等、嬉しい効能が沢山です。
(6)栽培の難易度・耐寒性
栽培難易度は簡単な方です。耐寒性はあまり無く、発芽温度が22℃と高めです。ですが時期にさえ気を付ければ北海道等でも十分育てられます。
2)種類の違いはあるの?ひまわりの4つの種類と特徴
ひまわりには品種が多く、実に100種類以上が存在しています。それらは大きく3つに分けられます。花を観賞して楽しむ「園芸用品種」、種を採取する「食用品種」、油を採るのに使う「油料用品種」です。代表的な品種を、どの種類に当てはまるかも併せてご紹介します。
(1)ロシア(園芸用・食用・油料用)
2メートル程の大きさに成長する、最もよく見かける品種です。鑑賞用にも食用にも油料用にも使える万能品種です。このページでもこの品種についての説明をしています。
(2)ソニア(園芸用)
濃いオレンジ色をしており、花のサイズが約10センチと小型でありながら、茎が丈夫で枝分かれしている為沢山の花をつける品種です。
(3)テディーベア(園芸用)
八重咲きの品種で、花弁が密に重なりあっている様子がぬいぐるみのように見えることからこの名が付きました。根張りが良い為、沢山の花が密集する姿を楽しむことが出来ます。
(4)小夏(園芸用)
草丈が約25センチと小さい為、世界最小のひまわりと呼ばれています。こんもりと咲く為、プランターや小鉢での栽培にぴったりです。花の持ちも良く、長期間楽しむ事が出来ます。
3)グッズを準備しよう!育てるのに用意する3つのグッズ
(1)支柱
ひまわりの花は大変重くなる為、太い茎でも支えきれずに折れたり倒れたりの危険があります。ある程度成長させたら横に支柱を立てて支えてやりましょう。細い棒状の物であれば何でも良いですが、無ければ園芸用品店に売っています。
(2)大型のふるい
収穫した種を花部分から外したり、殻やカスなどと選り分ける時に使います。こちらも園芸用品店にあるでしょう。
(3)軍手
ふるいと共に、種の取り外し時に怪我をしないように使用します。100円ショップ等どこでも売っています。
4)正しい手順で栽培を!7つの栽培ステップとは
(1)ステップ1:土の準備
地植えの方法の説明となります。日当たりと水はけの良い場所を選び、あらかじめよく耕します。ひまわりは深く根を張るので、30センチから50センチ位は耕す事が必要になります。よほど痩せた土でない限りどのような土でもよく育ちますが、確実に育てたい場合は特別に用土を配合して育てるのがお勧めです。用土の配合はコツの項で詳しく説明します。
(2)ステップ2:種まき
種は1か所に3粒ほどまき、後に元気の良い芽を残して間引きする方法を取ります。間隔は30センチから50センチ開けてください。種の上に土を1センチ程被せたらたっぷりと水を与えます。そのまま発芽まで、土を乾かさないようこまめに水を与えてください。
(3)ステップ3:間引き
双葉が完全に開いた頃に、元気の良い芽を1本残して、残りは間引きをします。この時芽同士が近いので、引っ張って抜くと他の芽も一緒に抜けたり根を傷つけてしまいます。小型のハサミを使って芽の付け根から丁寧に切る方法をお勧めします。根は残っても大丈夫です。
(4)ステップ4:水やり
根がしっかりと張るまでの間はたっぷりと水を与え続け、徐々に減らして行きますが、夏場には毎日の水やりが不可欠です。ひまわりは株元に日光を遮る物が何もない為、すぐに水切れを起こしてしまうからです。こまめに土の状態をチェックするのが良いでしょう。
(5)ステップ5:肥料
用土を配合する場合は緩行性の肥料を混ぜ込みますし、ひまわりは根の養分吸収力がとても強く、肥料を与えすぎると肥料焼けを起こしてしまうので注意が必要です。ですがあまりに養分が足りないと下の方の葉が黄色く枯れて来ます。こうなったら急いで追肥を行ってください。この場合は液体肥料の方が即効性があり良いでしょう。
(6)ステップ6:支柱立て
茎が長く伸びて来たら、折れや倒れ防止の為に支柱を立てて支えてやります。特に花部分が重くなるので、経過をよく見守り、頃合いを見て花の真下部分まで丁寧に結びつけるのが良いでしょう。ただしあまり強く縛ってしまうと茎がつぶれますので注意してください。
(7)ステップ7:種の収穫
花期が終わったら種を収穫しますが、まずは花が終わってから30日程度、植えたままの状態で自然に乾燥させます。そして収穫は必ず数日まとまって晴れた日に行ってください。前の日に雨が降った、等の湿った状態の物を収穫すると、ほぼカビにやられてしまう事になりますので注意です。収穫は花部分ごと切り取り、更に風通しの良い屋内で数日間の乾燥が必要です。毎日裏表をひっくり返す等して、しっかりとまんべんなく乾燥させなければなりません。十分に乾燥させたら花部分から種を取り外します。取り外し方はコツの項で詳しく説明します。
5)ここが重要!ひまわりを効果的に育てる8つのコツ
(1)土の種類・鉢植え
用土を配合して育てる場合は、小粒赤玉土7に対して腐葉土3程の割合で混ぜた土に、緩効性肥料を用土1リットル辺り2グラムから3グラム混ぜた物が適しています。ロシア品種は大きくなる為まず鉢植えにはしませんが、他の小さめの品種でも根はよく張るので、その場合鉢は深めの物が良いでしょう。
(2)種のまき方
ひまわりの発芽の適温は22℃です。地域によって差が出ますので、よく時期を見計らって種をまいてください。またステップの項でも書きましたが、この時期に乾燥は大敵です。特にしっかりと水を与えるようにしてください。
(3)剪定・日常の手入れ
他の品種で多少小さく仕立てたい場合等に剪定が必要になりますが、ロシア品種の場合は必要ありません。日常は病気や害虫の早期発見の為に葉の表・裏をよく観察してやると良いでしょう。
(4)肥料・水やり
植えたばかりの時期と夏場にはこまめな水やりが不可欠ですが、それ以外の期間は水のやり過ぎに注意しましょう。常に土の表面がじめじめしている程多湿にするのはやり過ぎです。肥料は月に一回、液体肥料か化成肥料で追肥をしますがこちらも与え過ぎには注意です。またチッソ分が多い肥料を与えてしまうと茎葉ばかりが元気になり、花が綺麗に咲きません。花期が近くなったら、リン酸の多い肥料に変えるのがコツです。
(5)季節ごとの手入れ
ひまわりの根は深く張る為丈夫そうに思えますが、実は植え替え等で触れられるとあっさり枯れてしまう程弱いです。一年草ですから、最初から植え替えをしなくて済む場所に植えるのがポイントになります。また支柱をしっかり立てる事を忘れずに行いましょう。
(6)日当たり・置き場所
ひまわりはとにかく日当たりを好みます。たっぷりと当たる場所に植えましょう。また風通しも重要なポイントです。風通しが悪いと病害虫が発生しやすくなります。
(7)増やし方
開花後に種を取り、また翌年植える事で増やします。一本のひまわりからかなりの種が採れます。花部分をよく乾燥させてから種を取り外しますが、この時大型のふるいがあると作業が早いです。ふるいの目に花部分をこすりつけるようにして種を採ります。怪我をしないように軍手をするとベストです。その後ふるいでカス等を取り除き、食用にする場合はザルに入れ流水でよく洗浄し、再びよく乾かします。とにかくよく乾かさないとすぐにカビが生えてしまうのがひまわりの種です。注意してください。
(8)虫対策・健康的に育てるコツ
ひまわりの代表的な病害虫はべと病とナメクジです。べと病は風通しが悪いと発生しやすくなります。殺菌剤を散布して対処しますが、発生させないよう気を配るのが一番です。ナメクジは塩水をじょうろでまくようにすると良いでしょう。こちらも風通しが悪いと出現率が上がります。
ひまわりを健康的に育てるには、とにかく日当たりと風通しが肝になりますので、最初に植える時の場所選びが最も重要と言えるでしょう。
6)要注意・・育てる時に特に注意すべきこと
(1)周辺の作物に注意
ひまわりは土から養分を吸収する力がとても強い植物です。なので近くに植えた他の植物の分まで養分を取ってしまう事がままあります。あまり近くに他の植物を植えないか、肥料が少なくてもよく育つような物を植えるのが良いでしょう。
(2)鳥害に注意
ひまわりには芽の時期と種が出来た時との2回、鳥との戦いが待っています。芽や種を食べられてしまいます。大規模に育てている所では劇薬をまく等して対応する事もあるそうですが、素人には真似出来ません。鳥避け風船等も売っていますが、あまり効果は期待できないようです。結局、こまめに見張りに行く等の原始的な対処法が必要になります。
7)成長後の楽しみ!ひまわりの効果的な用途とは
(1)美しい花を楽しむ
ひまわりの鮮やかな黄色の花は、眺めていると気分が高揚してくるのが分かります。黄色にはやる気を出させる効果があります。暑い夏でも、美しいひまわり達を眺めれば気持ちがリフレッシュされる事でしょう。また小学生の頃に授業の一環としてひまわりを栽培された方も多いと思います。自分の子供時代を思い出しながら、子供達に育て方を教えてやるのも楽しいものです。
(2)収穫した種を楽しむ
ひまわりの種は次の年にまく他に、ロシア種であれば食用にも適しています。よく乾燥させた物をタッパー等の密封できる容器に入れて保存しましょう。長期に渡って保存するならばタッパーごと冷蔵庫に入れても良いです。クッキーの飾りにしたり、ちょっとしたおつまみとして他のナッツのように食べるのもお勧めです。上記のように健康効果や美肌効果も期待できますので、お酒を飲むのがより楽しくなりますね。
今回のまとめ
1)ひまわりの紹介
2)種類の違いはあるの?ひまわりの4つの種類と特徴
3)グッズを準備しよう!育てるのに用意する3つのグッズ
4)正しい手順で栽培を!7つの栽培ステップとは
5)ここが重要!ひまわりを効果的に育てる8つのコツ
6)要注意・・育てる時に特に注意すべきこと
7)成長後の楽しみ!ひまわりの効果的な用途とは