低木として植えれば目隠しになり、冬には白く可愛らしい花を咲かせて鑑賞も楽しめるヤツデ。品種ごとに並べて植えれば違った姿を楽しめて魅力的ですが、初心者でも簡単に育てられるのも大きな魅力の一つですよね。今回はヤツデの育て方についてご紹介します。
ヤツデの育て方を解説!栽培ステップと8つのコツとは
1)ヤツデの紹介
(1)ヤツデとは
日本では古くから親しまれているウコギ科の常緑低木で、自生の他に庭園や公園などにもよく植えられています。深い緑色の厚みのある葉は、通常7~9程度にさけ、表面には光沢があります。葉の縁には細かいギザギザがあり、その姿から別名「テングノハウチワ」とも言います。冬も落葉せずに葉が茂っており、また排気ガスや大気汚染にも強く元気に育ちます。
(2)科目・原産地
科目:セリ目ウコギ科
原産地:日本(本州の福島~沖縄)
(3)草丈・開花期
草丈:1.5m~3m
開花期:11月~12月
(4)名前の由来
ヤツデは葉が複数に大きく切れ込むところから名がついたとされています。漢字で書くと「八つ手」となり、「八つ」は数ではなく「多い」という意味をさします。
(5)期待できる効果・効能
薬草として咳を鎮める・リュウマチの改善
(6)栽培の難易度・耐寒性
難易度:初心者~中級者向け
耐寒性:やや弱い
2)種類の違いはあるの?ヤツデの6つの種類と特徴
(1)フクリンヤツデ
漢字で書くと「覆輪ヤツデ」といい、葉に白い斑がある品種です。
(2)キモンヤツデ
漢字で書くと「黄紋八手」といい、葉にクリーム色や黄色の斑が入った園芸品種です。
(3)リュウキュウヤツデ
主に南西諸島に分布しており、葉色や肉厚が薄く、裂ける葉も細いのが特徴的な品種です。
(4)タイワンヤツデ
その名の通り台湾に分布するヤツデです。
(5)ムニンヤツデ
小笠原諸島原産の品種です。
(6)ツムギシボリ
白砂子斑入りの人気の高い品種です。葉の縁に白い砂が散りばめられたように美しい姿ですが、真夏以降その模様が薄れてきます。
3)グッズを準備しよう!育てるのに用意するグッズ
(1)グッズの名称
用土・肥料・鉢・ジョウロ・シャベルなど
(2)選ぶ基準
地植えの場合には鉢は必要ありません。
(3)初期費用
2、000円~
(4)入手方法
園芸店やホームセンター、インターネットなど
4)正しい手順で栽培を!5つの栽培ステップとは
(1)ステップ1:種まき時期
3月~4月が種まきの適期です。育苗ポットに土を入れたら種を巻き、発芽するまでは日陰で管理しましょう。ある程度根付いたら、鉢か庭に植え付けます。
(2)ステップ2:苗植え時期
苗植えの適期は種まき時期と同様です。地植えの場合には4月~5月に行いましょう。出来るだけ根がしっかりと張った株を選んで、大きな葉を切り落としてから植え付けます。
(3)ステップ3:肥料
肥料は与えなくても育ちますが、与えれば新芽や新しい枝の生長が促されます。肥料を与える場合には、2月~3月に油粕と骨粉を混ぜたものを株元に一握り施しましょう。
(4)ステップ4:増やし方
ヤツデは種まきと挿し木で増やせます。種まきの場合は、花が咲いた後に種を回収します。挿し木は7月~8月が適期です。若い枝の先を10cm程度切り取ったら、下葉を全て取り除き、上についている葉を数枚だけ残します。残した葉は半分にカットして、根の負担を減らします。その後赤玉土などに枝を挿したら、十分に発根するまで土を乾かさないように管理します。根と本葉が生長したら植え替えを行います。
(5)ステップ5:植え替え
植え替えは2年に1度行います。適期は4月~6月頃で、根鉢を3分の1程度崩したら、植え付けと同じ方法で鉢や庭に植え替えましょう。またその際に、大きな葉は切り落として、根と葉の取り除くバランスを整えると良いでしょう。
5)ここが重要!ヤツデを効果的に育てる8つのコツ
(1)土の種類・鉢植え
ヤツデは湿り気のある土壌を好むため、水もちと通気性のよい土がおすすめです。地植えの場合は、腐葉土を1~2週間前に3割程度腐葉土を混ぜて寝かせておくようにします。また鉢植えの場合には、赤玉土(小粒)6:腐葉土4の割合で混ぜた土を使いましょう。
(2)種の巻き方
種を巻いた後は、発芽して十分に根が生えるまでの間は土を乾燥させないように注意しましょう。
(3)剪定・日常の手入れ
特に剪定の必要はありませんが、込み合った部分がある場合には、付け根から切り取りましょう。
(4)肥料・水やり
肥料は油粕と骨粉を混ぜたものの他に、鶏ふんをシャベル1~2杯程度でも大丈夫です。水やりは土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えましょう。地植えの場合には、適地であれば一度根付いてしまえば水を与える必要はありません。
(5)季節ごとの手入れ
ヤツデは冬の寒さにはやや弱いですが、特別な手入れは必要ありません。
(6)日当たり・置き場所
ヤツデは半日陰で湿り気のある環境を好みますので、直射日光を避けられる場所で育てましょう。
(7)増やし方
種まき用の種を回収した後は、乾燥させないよう、少し湿った川砂などを混ぜてビニールに入れて、冷蔵庫で保存すると良いでしょう。
(8)虫対策・健康的に育てるコツ
気温が高くなるとカイガラムシが発生しやすくなりますので、見つけ次第駆除しましょう。幼虫は薬剤で駆除し、成虫はブラシなどで擦り落とします。
6)要注意・・育てる時に特に注意すべき2つのこと
(1)乾燥と直射日光に注意
適度な湿り気があり、直射日光を避けた場所で育てましょう。鉢植えの場合には季節で移動させれば良いですが、地植えの場合には土壌の性質や日の当たる位置などを計算して植えるようにしましょう。
(2)半日陰で育てるのがベスト
ヤツデは直射日光に弱いですが、日が全く当たらない環境下では弱りやすく、ヒョロヒョロになってしまいます。明るい半日陰や、適度に日の当たる場所で育てましょう。
7)成長後の楽しみ!ヤツデの効果的な用途とは
ヤツデは冬でも大きな葉を茂らせることから、目隠し用の低木に利用出来たり、また「千客万来」の縁起を担いで玄関先に植えたりも出来ます。冬場に花を咲かせることから、霜と白い花との美しい冬景色を楽しむことも出来ますし、初心者でも育てやすいのでおすすめです。
今回のまとめ
1)ヤツデの紹介
2)種類の違いはあるの?ヤツデの6つの種類と特徴
3)グッズを準備しよう!育てるのに用意するグッズ
4)正しい手順で栽培を!5つの栽培ステップとは
5)ここが重要!ヤツデを効果的に育てる8つのコツ
6)要注意・・育てる時に特に注意すべき2つのこと
7)成長後の楽しみ!ヤツデの効果的な用途とは