洋風の雰囲気を持つおしゃれな針葉樹コニファー。観葉植物として育てるのはやや難しいと言われていますが、葉色や樹形が美しく、一度は育ててみたい魅力的な植物です。育て方のポイントをご紹介しますので、一度挑戦してみてはいかがでしょうか。
コニファーの育て方解説!3つの栽培ステップとコツとは
1)コニファーの紹介
(1)コニファーとは
コニファーという言葉は、英語で「針葉樹」全体を意味しますが、園芸の分野においてはヨーロッパから入ってきた園芸用や観賞用の品種を指します。針葉樹特有のすがすがしい香りを持ち、庭木や観葉植物として人気があります。
(2)科目・原産地
コニファーは針葉樹の総称であり、マツ科、ヒノキ科、イチイ科に属する常緑低木~高木です。ヨーロッパ、アメリカ、カナダなどに広く分布しています。
(3)樹高・開花期
樹高は30cm~10mと様々です。開花期は4~9月で品種により異なりますが、観賞価値はありません。
(4)名前の由来
「球果のある」という意味を持つラテン語の形容詞 「conifer」を語源としています。
(5)期待できる効果・効能
樹木から発生する「フィトンチッド」という成分には精神をリラックスさせる効果があり、針葉樹のフィトンチッド放出量は広葉樹の数倍にもなることが知られています。フィトンチッドの効能としては、抗菌・防虫効果、消臭・脱臭効果、リフレッシュ作用などが有名ですが、他にも疲労回復作用、空気清浄作用、抗アレルギー作用などがあることもわかっています。更に湿度を一定に保つ効果もあり、観葉植物として部屋に置くことで様々な効能が得られます。
(6)栽培の難易度・耐寒性
寒さには強いのですが、高温多湿に弱く日本の気候には合わない品種もかなりあります。特に室内で育てる場合は、園芸初心者には難しいかもしれません。
2)種類の解説!コニファーの7つの種類と特徴
コニファーは、全世界で数万もの品種があると言われています。その中で日本の気候で生育できるのは200種ほど。以下に、代表的なコニファーをご紹介します。
(1)コニファー・ゴールドクレスト(ヒノキ科イトスギ属)
園芸種のコニファーの中で最も人気の高い品種です。寒さには強いのですが日本の気候に合わないため、すぐに枯れてしまうことが多いです。クリスマスツリーの木としても人気があります。
(2)コニファー・ウィルマ(ヒノキ科イトスギ属)
ゴールドクレストの小型の品種です。ゴールドクレスト同様人気が高いですが、日本の気候には適していません。
(3)コニファー・ブルーヘヴン(ヒノキ科ビャクシン属)
ブルー系の代表品種として知られています。庭のシンボルツリーとして人気がありますが、寒さに弱く管理の難しい品種です。
(4)コニファー・エレガンテシマ(ヒノキ科クロベ属)
コニファーの中では比較的育てやすい品種です。観葉植物よりも庭木として向いています。
(5)コニファー・ヨーロッパゴールド(ヒノキ科クロベ属)
季節ごとに葉の色が変化する品種です。耐寒性が比較的強いため、寒い地方でも栽培できます。日当りを好むので室内栽培には向きません。
(6)コニファー・パープルフェザー(ヒノキ科ヒノキ属)
冬期に葉が赤紫色に代わります。日本の気候に適しており、育てやすい品種です。
(7)ドイツトウヒ(マツ科トウヒ属)
クリスマスに飾るモミの木とよく似た外観をしています。室内での栽培には向きません。
3)グッズを整えよう!育てるのに用意するグッズ
観葉植物として販売されているコニファーは、購入後しばらくはそのまま楽しめるようになっていますので、購入直後は植え替えのための用土や植木鉢は必要ありません。ここでは、鉢植えのコニファーを購入する際に一緒に用意しておきたいものをご紹介します。
(1)肥料
緩効性肥料か固形油かすを用意します。緩効性肥料は600g入り1000円前後でホームセンターや園芸店で購入できる「マグァンプK」がおすすめです。固形油かすは500g400円前後でホームセンターや園芸店で購入できます。
(2)剪定ばさみ
コニファー類は金属を嫌う傾向があるので、セラミック製の剪定ばさみを用意しておくと安心です。3000円前後で、通販などで購入できます。
4)コニファーの3つの栽培ステップ
(1)ステップ1:置き場所を決める
コニファーは日当りの良い場所を好むので、できるだけよく日が当たる場所に置くようにします。また、高温多湿に弱いので風通しのよい涼しい場所がベストです。できれば室内よりもベランダや玄関先のような室外の方が良いでしょう。
(2)ステップ2:剪定
樹形を整えるため、伸びすぎた部分をこまめに摘み取ります。暑さに弱いため、真夏は剪定を行わないようにしてください。
(3)ステップ3:植え替え
プラスティックの軽い鉢に植えたままでいると頭が重くなってバランスが悪くなるので、倒れそうになったら重い鉢に植え替えます。また、鉢の下から根が出ていたり根詰まりを起こしたりしていたら速やかに植え替えるようにします。
5)ここがポイント!コニファーを効果的に育てる7つのコツ
(1)土の種類・鉢植え
水はけのよい土を好みます。観葉植物用の用土が手軽でおすすめです。コニファーは移植にはあまり向かないため、地植えにする場合は植え場所をよく吟味する必要があります。鉢植えの場合、植え替えは2年に1度くらいの頻度で行います。植え替えの適期は3月か9月です。
(2)剪定・日常の手入れ
コニファーの剪定は、ハサミを使わずに手で葉っぱをちぎるのがポイントです。こまめに先端の伸びた部分を取り除き、樹形を美しく保ちましょう。3~4月の大きく刈り込んでも大丈夫な時期は、セラミック製の剪定ばさみを用います。
(3)肥料・水やり
鉢植えの場合は3月と6月に緩効性の化成肥料を与えます。庭植えは3月だけで大丈夫です。
(4)季節ごとの手入れ
夏の高温多湿に弱いので、暑い時期は蒸れないように注意します。また、乾燥にも弱いので水切れにも気をつけましょう。耐寒性は比較的強いですが、0℃以下になると耐えられない品種もあるので注意が必要です。
(5)日当たり・置き場所
日当りを好みますので、日がよく当たる場所に置きましょう。日光がよく当たる風通しの良い戸外がベストです。
(6)増やし方
挿し木で増やすことができます。先端から10cmほどを切り、水に2時間つけてから用土に挿します。適期は3月か10月です。
(7)虫対策・健康的に育てるコツ
コニファーは病害虫に比較的強い植物ですが、乾燥するとハダニやカイガラムシが発生することがあるので、見つけ次第薬剤を散布して駆除します。
6)コニファーを育てる時に特に注意すべき3つのこと
(1)高温多湿に弱い
高温多湿な日本の夏に適応しない品種が多いので、夏期の管理は注意が必要です。できるだけ、風通しの良い涼しい場所に置くようにしましょう。
(2)乾燥に弱い
水切れするとすぐに枯れてしまうので、用土が乾いたらたっぷり水を与えます。但し、水を与えすぎると根腐れを起こすので注意が必要です。
(3)剪定はこまめに
美しい樹形をキープするため、剪定はこまめに行いましょう。
7)おすすめ活用方法!コニファーの効果的な用途とは
(1)寄せ植えに
コニファーの幼木は寄せ植えの素材にぴったりです。宿根草と組み合わせると、一年中様々な表情が楽しめます。
(2)グラウンドカバーに
匍匐性のある品種はグラウンドカバーに向いています。但し、踏まれると弱ってしまうので、芝生と同じような場所には植えないでください。
(3)リースの材料として
品種によってはクリスマスのリースの素材として使うことができます。香りがいいためお部屋のインテリアとしても最適です。
8)コニファーを育てる3つの魅力とは
(1)自宅で森林浴ができる
針葉樹特有のさわやかな香りがあり、自宅に居ながらにして森林浴が楽しめます。
(2)おしゃれな雰囲気が楽しめる
ヨーロッパから入ってきた品種なので日本の樹木にはない洗練された雰囲気が楽しめます。
(3)クリスマスツリーとして使える
ゴールドクレストやドイツトウヒなどは、クリスマス時期に装飾を施してクリスマスツリーとして利用できます。
今回のまとめ
1)コニファーはフィトンチッドを発生させるので、自宅で森林浴ができる。
2)日本の気候には合わない品種も多い。
3)基本的に室内栽培は向かないものが多い。
4)金属を嫌うので剪定は手かセラミック製のはさみで。高温多湿に弱い。
5)乾燥に弱いが水をやりすぎると根腐れを起こす。挿し木で増やせる。病害虫には強い。