花の少ない寒い季節でも、明るく華やかに庭を彩ってくれるシンビジウム。一見育てるのが難しそうですが、実は洋ランの中では丈夫で、また日本の気候にも合っているためとっても育てやすい花なんです。今回はそんなシンビジウムの育て方をご紹介します。
シンビジウムの育て方を解説!5つの栽培ステップとコツ
1)シンビジウムの紹介
(1)シンビジウムとは
常緑のランで、別名をシンビジュームといいます。世界に60~70種程度分布するランの中でも、東南アジアやヒマラヤに分布する種類を中心に交配されたものを園芸で一般的にシンビジウムと呼び、洋ランの一つに含まれています。
(2)科目・原産地
科目:ラン目ラン科
原産地:東南アジア
(3)草丈・開花期
草丈:60cm~1m
開花期:12月~3月
(4)名前の由来
ギリシャ語の「Kymbe(舟)」と、「eidos(形)」という2つの意味からきており、唇弁の形が正面から見ると丸くくぼんでいて、舟底の形に似ているところから名前がつけられたとされています。
(5)期待できる効果・効能
育毛効果(オイル)
(6)栽培の難易度・耐寒性
難易度:中級者向け
耐寒性:強い
2)種類の違いはあるの?シンビジウムの3つの種類と特徴
(1)小型種
花の大きさは5cm~6cm程度で、葉も短い品種群をいいます。大型種に、主にシュンランやキンリョウヘンなどの小型の品種をかけあわせて作られました。
(2)中型種
小型種と大型種の中間の性質を持つ品種群をいいます。他に花が垂れ下がった品種を、「キャスケードタイプ」といいます。
(3)大型種
花の大きさが10cm以上で、葉の長さは100cm以上のものを指します。主にインドを原産とするものから作られた種類です。
3)グッズを準備しよう!育てるのに用意するグッズ
(1)グッズの名称
用土・肥料・鉢・支柱・ジョウロ・シャベルなど
(2)選ぶ基準
地植えの場合は鉢は必要ありません。また、鉢植えの場合には根を真下に育てるため蘭鉢などの縦長鉢を選びましょう。
(3)初期費用
2、000円~3、000円前後
(4)入手方法
園芸店やホームセンター、インターネットなどで入手可能です。
4)正しい手順で栽培を!5つの栽培ステップとは
(1)ステップ1:苗植え時期
4月中旬~5月上旬頃にかけて苗を植え付けます。鉢植えで育てる場合には、まず鉢に鉢底石を2cm程度敷き、土を入れます。次に苗を置き、すきまを土で埋めながら割り箸などで土を突いて、根がはりやすいようにしましょう。また、霜と凍結の心配がない地域でなら地植えも可能です。庭土を苗より一回り大きく掘り起こしたら、腐葉土を混ぜ込んでから植え付けを行います。
(2)ステップ2:肥料
植え付けの際に、緩効性の化成肥料を土に混ぜておきましょう。また、花が咲き終わった3月下旬~9月までは、骨粉や油かすなどを1~2ヵ月に1回施しながら、薄めた液体肥料を2週間に1回与えましょう。
(3)ステップ3:芽かき
芽かきは9月頃に花を咲かせるために行います。1本の茎には1~3個程度の花芽を残し、残りの花芽と葉芽を全て取り除きましょう。芽かきの際、花芽と葉芽を間違えやすいので注意が必要です。
(4)ステップ4:増やし方
3月~4月に株分けかバックバルブ吹きで増やします。株分けは鉢から株を抜きだしたら、根を水に浸けて古い土を全て取り除きます。次にそれぞれの株にバルブが2~4個程度つくように、はさみやナイフで切り分けていきます。分けた株は5~6号鉢に植え付けます。バックバルブ吹きは、葉がなくなって1年以上たっているバルブを切り取って育てる方法です。切り取ったバルブは、5~6号鉢に植え付けましょう。
(5)ステップ5:植え替え
植え替えの適期は3月~4月です。植え付けから2~3年たった株は、見た目も窮屈になりますので、二回り大きな鉢に植え替えましょう。大きすぎる鉢は根が乾きにくく、また花つきも悪くなりますので、株の大きさに合った鉢を選びましょう。
5)ここが重要!シンビジウムを効果的に育てる8つのコツ
(1)土の種類・鉢植え
苗植え時の鉢植えのサイズは5~8号がおすすめです。
(2)苗の植え方
シンビジウムは日光を好むため、苗植えを行ったら5~10月にかけては屋外の日当たりのよい場所で育てましょう。ただし強い日差しに当たると、葉焼けして株が痛んでしまうので注意が必要です。7月~8月の間は半日陰や室内など、直射日光を避けた場所に移動させましょう。
(3)剪定・日常の手入れ
シンビジウムは比較的育てやすい洋ランとして知られていますが、日常の手入れを怠ると葉ばかりが茂り、花が咲かないことがあります。そのため、日頃から水やりや観察、芽かきなどの手入れを怠らないようにしましょう。
(4)肥料・水やり
シンビジウムは水をたくさん必要としますので、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えます。特に4月~9月末までの生育期は、水の吸い上げが活発なので頭からしっかりと水をかけてあげましょう。反対に秋~冬のつぼみのついていない時期は、1週間に2回程度まで水やりを減らします。花のつぼみが膨らみはじめたら、2~3日に1回水やりを行いましょう。
(5)季節ごとの手入れ
9月には芽かきを行い、また夏場は高温に注意しましょう。
(6)日当たり・置き場所
日当たりを好みますが、夏場の直射日光など強い日差しは避けて明るい日陰などに置きましょう。
(7)増やし方
株分けを行う際には、株を鉢から抜くときに、鉢を金づちで叩いて土ごと抜き出すと良いでしょう。また、新しく鉢に植え付ける際の土は、植え付け時と同じ土を用います。
(8)虫対策・健康的に育てるコツ
アブラムシやハダニ、カイガラムシやナメクジなどがつくことがあります。見つけ次第薬剤を散布して駆除するなりしましょう。
6)要注意・・育てる時に特に注意すべき3つのこと
(1)ガーデニング初心者は鉢植えで育てるのがおすすめ
シンビジウムは耐寒性に優れた品種が多いですが、時期によっては場所を移した方が良いこともあるため、鉢植えで育てることをおすすめします。特に地植えで育てる場合は鉢植えに比べて管理が難しいため、ガーデニング初心者や自信のない人は鉢植えで育てると良いでしょう。
(2)開花期と真夏は肥料を与えない
開花期の冬および、7月~8月の真夏には肥料を与えないようにしましょう。
(3)支柱立て
生育期に花茎が伸びてきたら支柱を立て、支柱に花茎を誘引させながら伸ばすようにしましょう。花茎を無理に曲げたりすると、折れてしまうことがあるので注意します。
※シンビジウムは、大きさの割に洋ランの中では育てやすい種類です。上手に育てれば綺麗な花を咲かせて、庭を華やかに彩ってくれます。
今回のまとめ
1)シンビジウムの紹介
2)種類の違いはあるの?シンビジウムの3つの種類と特徴
3)グッズを準備しよう!育てるのに用意するグッズ
4)正しい手順で栽培を!5つの栽培ステップとは
5)ここが重要!シンビジウムを効果的に育てる8つのコツ
6)要注意・・育てる時に特に注意すべき3つのこと