ハエトリソウの育て方の5ステップと効果的なポイント解説

ハエトリソウ

ハエトリソウは食中植物の中でも愛好家の高い種類です。葉に収まりきらないサイズのミツハチなども、ぱくりとくわえこんで食べてしまう様子に感動する人が多いのでしょう。そんなハエトリソウの季節ごとの育て方のコツをお伝えします。






目次

1)ハエトリソウの紹介

(1)ハエトリソウとは

北米を原産地とする多年草です。踏みしめると水がにじみ出てくる程度の比較的乾いた場所で育ちます。寒さには丈夫で凍結しても平気です。その分暑さには弱く、特に日本の熱帯夜には負けてしまいます。真夏の気温を下げること、特に夜温度をさげるようにします。18℃~25℃で、年間を通じて元気に過ごします。

(2)科目・原産地

ドロセラ科・ディオネア属。原産地はアメリカ合衆国南東部。北アメリカのノース・カロライナ州、サウス・カロライナ州です。

(3)草丈・開花期

・草丈:地上5〜10センチ

・開花期:5月〜7月

多くは6月頃に白い5弁の花を咲かせます。開花時に、雨に当てないことに注意して人工授精をするとその夏の終わりごろには、黒い艶やかな1ミリほどの種子を手にすることができます。しかし、開花させ、種子を採ると、株自体は次第に衰弱していきます。花茎が伸び出したら切り捨てる方が株を維持することを優先させる場合には無難です。

(4)名前の由来

学名をディオネア・マスシプラ(Dionaea muscipula)といいます。ハエトリソウは和名です。英名を「ヴィーナス・フライトラップ」(Venus Flytrap)といい、捕虫葉の形容から女性器(venus)に見立てて名付けられたそうです。

(5)栽培の難易度・耐寒性・耐暑性

難易度:比較的簡単
耐寒性:普通 耐暑性:やや弱い

2)種類の違いはあるの?ハエトリソウの種類と特徴

ハエトリソウは現在、原産地の湿地帯で生息している種類に園芸用に品種改良をされた種類を合わせると、世界に100種類ほどが確認されています。例えば「ディオネア・マスシプラ オールドタイプ」は、古くから育てられている最もポピュラーな種類です。次に、「ディオネア・マスシプラ シャークティーズ」は有名なサメの映画を思わせる、鋭い葉の形がそのまま名前になっています。

他には「ディオネア・マスシプラ レッド・ピラーニャ」など、ハエトリソウにつけられる名前の多くに迫力があるのは、やはり、僅か0.5秒ほどといわれる一瞬のうちに生命を飲み込んでしまうからなのでしょう。また、ハエトリソウは、株の形状により2系統に大別され、葉が上向きに立ち上がって展開するものは「エレクタ系」、葉が地面に張りつくように平たく展開するものは「ロゼット系」と呼ばれます。

3)グッズを準備しよう!ハエトリソウを育てるのに必要となるグッズ7選

(1)グッズの名称

ハエトリソウ株、園芸バサミ、水苔(あるいは生水苔、鹿沼土+ピートモス)、砂利、軽石、素焼き鉢、白色受け皿

(2)選ぶ基準

ハエトリソウは種子での販売ではなく、一般的に春から夏にかけて鉢植えの形で、苗の状態で販売されています。鉢植えは、通気性に優れている素焼きの鉢がおすすめです。

(3)初期費用

2、000円ほど

(4)入手方法

ホームセンター、種苗を扱う園芸店、ネットショップ、苗交換会などで入手できます。

4)正しい手順で栽培を!ハエトリソウを育てる5つの栽培ステップとは

(1)ステップ1: 植え付け

5月から7月の開花時に雨に当てないことを心掛け、人工授精をします。こうすると夏の終わり頃、黒々とした1ミリほどのサイズをした種子を得ることができます。砂利を素焼きの鉢に8割くらい入れ、その砂利の上に刻んだ水苔を敷き、覆土はせずに撒きます。

受皿を置いて腰水(浅い皿に水をためておき、その中に鉢植えを置いて底面から吸水させること)にし、通気性がよく、日当たりの良い所に置いてあげると、約1月半で発芽します。小さな筒が2~3本出てきたら、小さなポットなどに数株をまとめて細い根たちを水苔で巻き、植えます。この後、平均4~5年で開花できる親株に成長します。ハエトリソウは小さい種類が多いので、植え付けは指先でやさしく丁寧に行うことを覚えましょう。

(2)ステップ2: 水やり

湿地帯が原産地です。鉢の中は、常に湿らせておくことが大切です。腰水での管理もできます。

(3)ステップ3:日当たり

ハエトリソウは日照を好む植物です。真夏以外は、直射日光の当たる場所に置いてあげましょう。

(4)ステップ4: 肥料

肥料は与えなくても構いません。

(5)ステップ5:植え替え

ハエトリソウの成長期は3月から11月です。けれども植え替えは、12月から2月の休眠期の時期に行います。他の多くの植物は、成長が活発な夏から秋の時期の植え替えが理想的であることとは異なるので注意します。この植え替えにも、観葉植物用の培養土ではなく、用土よりも通気性と保湿性に優れた、植え付け時にも使用した水苔を使用します。

植え替えの方法:ハエトリソウを鉢から出し、根の周囲の土を3分の1くらい落とします。そして、この細い根の周りを、水を吸わせた水苔で包みます。植え替え先の素焼き鉢に、軽石を4分の1入れ、ハエトリソウを入れて隙間があれば水苔を詰めます。最後の作業として、水をたっぷりかけます。このとき、5秒ほどで水がさあっと鉢底から流れ出切れば、水苔の量も適当だということになります。

ハエトリグサ

5)要チェック!ハエトリソウを元気に育てる7つのコツ

(1)土の種類・鉢植え

ハエトリソウを元気に育てるためには観葉植物用の用土ではなく、水苔を使用します。鉢植えは通気性に優れているため、素焼きの鉢がおすすめです。植え付けは春から秋に掛けての成長期ではなく、12月から2月の休眠期間に行います。

(2)日常の手入れ

用土が腐ってしまうと、ハエトリソウの細い根はやられてしまいます。日常的に鉢の中の通気性に気を配りましょう。

(3)肥料・水やり

肥料は特に必要としません。もともと湿地帯に育つ植物なので、用土は常に湿らせておくことが重要です。腰水での管理もできます。

(4)季節ごとの手入れ

ハエトリソウは18℃から25℃の環境を整えてあげると、年間を通して元気に育ちます。ただ、夏の直射日光に弱いので、6月から9月は人工的に50%の遮光を施してやります。また、コンクリートの上に受け皿を置いて腰水をしてしまうと、吸い上げた水分が熱すぎて枯れてしまいます。真夏の高温による水温の異常上昇を緩和してやることが大切です。

地表から50センチほどの高さで、台などの上に置き、ある程度風通しのある場所を選んで白い受け皿を使用すると、かなりよい状態で夏の暑さに耐えます。冬の寒さには普通に耐えます。霜が降りない置き場所を選ぶとより、無難です。12月から2月の休眠の時期に植え替えを行いましょう。

(5)日当たり・置き場所

ハエトリソウは日光が大好きな植物です。真夏以外は、直射日光の当たる場所に置いてあげましょう。

(6)増やし方

ハエトリソウを増やすのには実生と株分けの方法があります。実生で成株まで大きくするのには時間が掛かるために、株分けで殖やす方が容易です。冬の休眠時間の植え替えと同時に、子株を外して、新たに植えてやります。
このとき、根元を持ってゆっくりと子株を外しましょう。
親株が小さい時は、無理に分けない方がいいでしょう。株分けは12月頃から翌年3月いっぱいまでに行うのが理想的です。

(7)虫対策・健康的に育てるコツ

枯れ葉や黒くなった捕虫器官をハサミなどでこまめに除去してやりましょう。
雑菌や害虫の発生予防になります。また、ハエトリソウは捕虫葉の開閉にとてもパワーを使います。葉を一度閉じることに大きなエネルギーを消耗するので、指で触って開閉を幾度も繰り返させると枯れてしまうので注意します。

6)その他ハエトリソウ関するQ&A

【Q1】ハエトリソウという名前ですが、育成中は虫を与え続けなければならないのでしょうか?

いいえ。ハエトリソウ、ハエトリグサとの和名を持っていますが、虫を与えなくても育ちます。

【Q2】ハエトリソウの愛好家の方々の集いがあると以前、テレビで聞いたことがあるのですが、現在も活動しているのでしょうか?

はい、活動しています。食虫植物愛好家の方々の集う会で、「日本食中植物愛好会:JCPS」といいます。現在も定期的に集い、即売会などをされている場合もあります。






まとめ

【1】ハエトリソウはアメリカ合衆国南東部を原産地として自生している食虫植物です

【2】ハエトリソウは植え付け・植え替えに、用土ではなく、通気性や通水性が優れているので水苔を使います

【3】ハエトリソウは捕虫葉の開閉にパワーを使い、消耗します。指で触って開閉を頻繁にさせると枯れる原因になります

【4】食中植物愛好家の集まる会(日本食中植物愛好会:JCPS)が盛況であるなど、現在、ハエトリソウの人気はうなぎのぼりです

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