花菖蒲の育て方を解説!5つの栽培ステップとコツとは

花菖蒲

憂鬱な梅雨の時期に、雨の中でもしっかりと咲き誇る花菖蒲。様々な自治体の花として登録される等日本人に愛される花で、名所も沢山ありますが、育て方に気を配れば自宅でも美しい花を楽しむ事が可能です。今回はそんな花菖蒲の育て方・栽培のコツをご紹介します。






目次

花菖蒲の育て方を解説!5つの栽培ステップとコツとは


1)花菖蒲の紹介

(1)花菖蒲とは

梅雨の時期に咲く花は他にもありますが、一際華やかに咲いているのがこの花菖蒲です。すっと立ち上がったような花姿がとても美しく、見飽きるという事がありません。古くは江戸時代前後から多くの日本人の心を惹き付けてやまず、現在の数多くの改良品種の存在に至っています。

(2)科目・原産地

アヤメ科アヤメ属です。日本や朝鮮半島から東シベリア付近が原産地です。

(3)草丈・開花期

草丈は50センチから最大で1メートル程、開花期は6月から7月です。青や紫色の花色が有名ですが、白・ピンク・黄色・複色等の様々な花色が存在します。

(4)名前の由来

5月の端午の節句で菖蒲湯に使われる植物、菖蒲に葉が良く似ていて、更に花を咲かせる事から花菖蒲という名前が付きました。ちなみに菖蒲との品種的な繋がりは全くありません。菖蒲はサトイモ科です。

(5)期待できる効果・効能

美しい花色が目を楽しませてくれます。菖蒲にあるような入浴剤効果等は残念ながらありません。しかしそれを補ってなお余りある花の美しさが魅力です。

(6)栽培の難易度・耐寒性

栽培難易度は易しい方です。耐寒性はやや弱いです。

2)種類の違いはあるの?花菖蒲の5つの種類と特徴

花菖蒲は様々に品種改良され、今では何と5000種を超える種類があると言われています。それらはきちんと系統分けされています。花菖蒲の系統ごとの特徴を説明します。

(1)江戸系

他の日本の栽培品種の基礎になった種類です。江戸時代後期頃に作られました。色・形・大きさがバリエーション豊かで、特に「三英咲き」という大きな3枚の花びらを付ける品種が多く分類されます。病気に強く、育て易い種類とも言われています。

(2)伊勢系

伊勢(三重県)で作り出された種類です。江戸時代末期頃から記録が残っています。江戸系と同じ三英咲きですが、花びらの縁がちりめん状だったり波打っていたりしているという特徴があります。1952年、三重県の天然記念物に指定された事で全国に知れ渡りました。

(3)肥後系

肥後(熊本県)で江戸時代末期頃に改良された種類です。室内用に作られた為草丈が低く、風雨に弱いので室内で鉢植えにして楽しむのが良いでしょう。こちらは「六英咲き」という6枚の花びらを持つ大輪の咲き方が見事です。

(4)長井古種(長井系)

山形県長井市で保存されている種類です。江戸系より更に古くから栽培されていたという説があります。草丈が高く花が小さいという、改良前の原種の特徴を強く残す種類です。やや野性的ですが、清楚な美しさに溢れています。

(5)外国系

アメリカ等で作られた種類です。日本の発想では作られないような色彩の豊かさ、ボリュームのある花姿が際立っています。

3)グッズを準備しよう!育てるのに用意する3つのグッズ

(1)園芸用ハサミ

花がら摘みや株分けの時に使います。中型くらいの物が良いでしょう。園芸用品店で手に入ります。

(2)敷きワラ

地植えの場合の夏の乾燥対策に用います。園芸用品店にあります。

(3)ピンセット

害虫であるアヤメキバガの幼虫がついてしまった時に重宝します。株を傷つけずに幼虫だけを取り除く事が出来ます。ドラッグストア、100円ショップ等で売っています。

園芸用のハサミ

4)正しい手順で栽培を!5つの栽培ステップとは

(1)ステップ1:土作り

水はけが良く、かつ水の持ちもそこそこ良い土を好むという園芸家泣かせの難しいバランスを要求されますが、ここで丁寧に土を作っておけば問題も起きない良い株になります。鉢植えの場合は小粒赤玉土8:ピートモス2の割合で混ぜた土が良いでしょう。地植えの場合も水はけがよすぎると感じたら、ピートモスを混ぜてやると水持ちが良くなります。

(2)ステップ2:苗植え

種植えは弱々しい株になってしまう事が多い為、慣れた方でない限りは苗植えを選択した方が無難です。植え付けの適期は3月から7月か、9月から11月です。鉢植えは苗より一回り大きな鉢に、地植えは日当たりの良い場所を選んで植え付けましょう。

(3)ステップ3:肥料・水やり

植え付け時には肥料は必要無く、後程与える時期があります。(コツの項で詳しく書きます)水やりは見極めが難しく、湿らせ過ぎては根腐れを起こし、乾燥させ過ぎると株が弱ってしまいます。鉢植えの場合は土の表面をよく見て、乾いていたら水を与える目安とします。地植えの方は基本的に水やりをしなくて構いません。

(4)ステップ4:花がら摘み

花が咲き終わり枯れてしまったら、その都度花がらを摘み取ります。そのまま付けておくと種が付いて、株が栄養を取られて弱ってしまいますので注意してください。花の根元から刈り取って構いません。

(5)ステップ5:植え替え

アヤメ科の植物は連作障害を起こす為、定期的に植え替えが必要になります。鉢植えでは毎年、地植えは2年から3年に1度の頻度で植え替えをしてください。適期は7月上旬になります。植え替え手順は、苗植えの時と同じになります。

5)ここが重要!花菖蒲を効果的に育てる8つのコツ

(1)土の種類・鉢植え

花菖蒲はステップ1で書いた配合に加え、弱酸性の土を好みます。他の多くの植物は石灰を入れてアルカリ性の土壌を作る事で生育が良くなりますが、花菖蒲には逆効果なので注意してください。鉢植えの土も同様です。

(2)苗の植え方

花菖蒲の苗はあまり深く植えてはいけません。根の部分が浅く隠れる程度の深さに植えるのが丁度良いでしょう。

(3)剪定・日常の手入れ

ステップ4に書いた通り適宜花がら摘みを行いますが、この時一緒に葉を取ったり傷つけてしまわないように注意します。葉は根に栄養を運んでいますので、切り取ってしまうと翌年の花付きが悪くなります。ただし茶色く枯れてしまった葉があれば取り除きましょう。

(4)肥料・水やり

元肥を行うと枯れてしまうデリケートな植物ですが、9月から10月頃に与える追肥は株を太らせる為に重要です。緩効性化成肥料か油かすを与えるのが良いでしょう。3月から4月と、7月にも1度ずつ同様の物を与えると生育が良くなります。ですが与え過ぎにはくれぐれも注意してください。水やりは夏場を特に気を付けてください。花菖蒲は乾燥を嫌います。地植えであれば敷きワラを敷いて乾燥を防ぐのも良い方法です。

(5)季節ごとの手入れ

ステップ5の植え替えが重要な作業になります。数を増やしたい場合はこの時一緒に株分けを行ってしまうと効率が良いです。(株分けの詳細は下記(7)で説明します)

(6)日当たり・置き場所

花菖蒲は日当たりを好みますが、乾燥は嫌います。夏場は特に注意を払いましょう。地植えは上記の敷きワラでの調節をし、鉢植えは風通しの良い明るい日陰に移動するのが望ましいです。しかしあまりに風が強すぎる場所では花や葉同士がこすれて痛む事があります。適度な場所を選びましょう。

(7)増やし方

株分けで増やします。上記(5)の植え替えと同じタイミングで行うのが良いです。まず根を傷つけないよう注意しながら株を掘り下げ、葉を30センチ程に切ります。根に付いた土をよく落としてから、株の中心を真っ二つに分け、茎を株元から3センチから5センチの辺りで切り落とします。その後1つの株に根が2本から3本付いている状態になるよう細かく分け、各自を苗植え時同様に植え付けて完了です。

(8)虫対策・健康的に育てるコツ

花菖蒲にはアヤメキバガとコガネムシが付き易いです。アヤメキバガは蛾の幼虫で、特に花芽を食べてしまうのが厄介です。葉や新芽の中に入り込んでいる事が多いので薬が効きにくい為、ピンセット等でつまんで取り除くのが良いでしょう。コガネムシの幼虫は根を食い荒らしてしまいます。土の中に生息しているので、株元に殺虫剤を散布して退治しましょう。特に乾燥させると発生し易くなります。このコガネムシの件以外にも、花菖蒲は乾燥を嫌います。健康的に育てるには土の乾き具合に常に気を配りましょう。

白い花菖蒲

6)要注意・・育てる時に特に注意すべきこと

(1)水加減に注意

水はけが良い事と水持ちが良い事、一見正反対の事のように見えますが、花菖蒲はこの両方を要求して来ます。バランスを常に取る事が大切になります。

(2)乾燥に注意

コツ(8)でも書いた通り、乾燥は害虫まで呼び込んでしまう花菖蒲の大敵です。土の状態をよく見過ぎる程見て損はありません。

(3)他の植物との兼ね合い

園芸植物には珍しく弱酸性の土壌を好む為、周りにアルカリ性を好む植物を植えたりしないよう注意が必要です。連作を避ける為移動させる事もあるでしょう。その際も以前に石灰を混ぜ込んだりした土地では無かったかどうかの確認が必要になります。

7)成長後の楽しみ!花菖蒲の効果的な用途とは

(1)美しい花を楽しむ

何と言っても花菖蒲の花は種類も多く、どれもがはっとする程の美しさを備えています。自宅の庭、または室内で手軽に楽しめるのは嬉しいですね。菖蒲園のような場所に行かなくても心休まるひと時を満喫できます。

(2)おすそ分けに

花菖蒲は株分けによりかなりの数に増やす事が出来ます。是非とも親しい友人等に広めてみてください。様々な美しさを持った花たちは、貴方の日頃の感謝の気持ちを存分に伝えてくれるでしょう。






今回のまとめ

1)花菖蒲の紹介

2)種類の違いはあるの?花菖蒲の5つの種類と特徴

3)グッズを準備しよう!育てるのに用意する3つのグッズ

4)正しい手順で栽培を!5つの栽培ステップとは

5)ここが重要!花菖蒲を効果的に育てる8つのコツ

6)要注意・・育てる時に特に注意すべきこと

7)成長後の楽しみ!花菖蒲の効果的な用途とは

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