福寿草は、名前の通り縁起の良い花として有名です。雪融けの間からひょっこりと顔をのぞかせる姿は愛らしく、春を知らせてくれます。
そんな縁起物で春を呼ぶ福寿草を、自分の家でも育てたいという人のために、福寿草の育て方についてご紹介していきます。
福寿草の育て方のコツって?栽培のステップとコツ8選
1)福寿草の紹介
(1)福寿草とは
北海道から本州の山野の北地に多く見られる多年草で、冬から春にかけて花を咲かせます。花はお椀型で可愛らしい姿をしており、黄金色の花弁は日本では縁起が良いとされています。
江戸時代から現代に至るまで、多数の園芸品種が作られており、品種によっては赤色や緑色の花を咲かせるものもあります。
また、福寿草の根にはアドニトキシンという成分が含まれていますが、この成分には強心作用があるため、古くから民間療法として利用されてきました。ただし少量でも効果が強く、一歩間違えると死に至る可能性もあるため、毒草に指定されています。
(2)科目・原産地
科目:キンポウゲ科フクジュソウ属
原産地:日本(北海道~本州)
(3)草丈・開花期
草丈:20cm~30cm
開花期:1月~4月
(4)名前の由来
旧暦の元日に花を咲かせるため、江戸時代から新年を祝う花として正月の床飾りに用いられていました。そこからめでたいという意味の「福寿草」の名がついたとされています。
ただし、正月に花を咲かせるのは品種改良されたものや盆栽の花などで、野生化の福寿草が咲くのは3月頃と言われています。
(5)期待できる効果・効能
根の部分は強心薬になります。
(6)栽培の難易度・耐寒性・耐影性
難易度:普通~難しい
耐寒性:普通
耐影性:やや強い
2)種類の違いはあるの?福寿草の5種類と特徴
(1)福寿海
一般的に福寿草といえばこの品種を指します。江戸時代から親しまれている品種で、丈夫で育てやすく、主に鉢植えや庭植えとして楽しまれています。
(2)エダウチフクジュソウ
北海道から九州にかけての広い範囲に自生している福寿草の一種です。萼片が花びらと同じ長さのものを指します。
(3)ミチノクフクジュソウ
萼片が花弁よりも短いことが特徴的な品種です。中国北部と朝鮮半島、および東北から九州の一部にかけて分布しています。
(4)シコクフクジュソウ
2001年に発見された、福寿草の中では新しい品種です。萼片が花弁の長さと同じくらいかやや短く、葉の両面が無毛なことが特徴です。四国と九州の一部に自生しています。
(5)中国白花フクジュソウ
中国の高山にある草原などに自生している品種です。福寿草の中でも草丈が15cm~30cmにまで生長する大型種で、真っ白な小花を咲かせるのが特徴です。
3)グッズを準備しよう!育てるのに用意するグッズ
(1)グッズの名称
苗・用土・肥料・鉢・ジョウロ・シャベルなど
(2)選ぶ基準
地植えの場合には鉢は不要です。福寿草の種は市販では売られていないため、基本は苗から育てます。
(3)初期費用
2、000円~3、000円前後
(4)入手方法
インターネットや園芸店、ホームセンターなどで入手出来ます。
4)正しい手順で栽培を!4つの栽培ステップとは
(1)ステップ1:苗植え時期
9月~11月が苗植えの適期です。鉢植えの場合には、赤玉土小粒または鹿沼土5:腐葉土3:軽石2を混ぜ合わせた土を用意します。そこに緩効性の化成肥料を混ぜ込んでおき、土を入れたら苗を植え付けます。
庭植えの場合には、落葉樹の根元などの明るい日陰の庭土に植え付けます、苗よりも一回り大きく土を掘り起こしたら、根を広げながら植え付けていきます。
また、庭土の水はけが悪い場合には、掘り起こした土に腐葉土と緩効性の肥料を混ぜ合わせておくと良いでしょう。
(2)ステップ2:肥料
植え付け時に緩効性の肥料を土に混ぜ込み、芽が出始めたら置き肥をしましょう。花が咲いてから地上部が枯れるまでは、1~2週間に一度液体肥料を施します。
(3)ステップ3:増やし方
種まきと株分けで増やせますが、基本的には株分けで増やすのがおすすめです。適期は植え付けと同じです。苗が大きく育ったら、清潔なハサミなどで切り分けていきましょう。
この時に根についている芽を確認し、1株に5芽ほどつくようにしておきます。後は植え付けと同じように新しい鉢と土を用意して植え付けていきます。
(4)ステップ4:植え替え
福寿草の植え替えは、休眠期である9月~10月頃が適期です。庭植えの場合は特に植え替えは必要ありません。
鉢植えの場合には、2年に1回程度植え替えを行うことで、根詰まりを防いだり、土の状態を改善できます。
これまでより一回り大きな鉢を用意したら、そこへ新たに植え付けていきます。この時に、長く伸びた根は切ることなくそのまま植えましょう。
5)要チェック!福寿草を効果的に育てる8つのコツ
(1)土の種類・鉢植え
土は水はけがよく、有機質で重めの土がおすすめです。また、鉢植えで育てる場合には、鉢は根が太くて大きいため深めのものを用意しましょう。
(2)苗の植え方
根は水の吸収力が弱いため、ポットから取り出す際に根鉢を崩して、よく広げてから植え付けましょう。
(3)剪定・日常の手入れ
開花後に種がつくと、株の栄養が取られてしまいます。また、枯れた花は病気の発生原因にもなりますので、花が終わったら付け根から摘み取る花柄摘みを行いましょう。
(4)肥料・水やり
福寿草の根は、水を吸収する力が弱く、また乾燥を嫌います。土の表面が乾き始めたら、たっぷりと水を与えましょう。ただし、花に水がかかると傷んでしまうため、株元にそっと水を与えるようにします。
花が枯れて休眠期に入った後も、乾燥させないように水やりは続けましょう。根腐れを防ぐために、冬の間は夕方には水やりをしないように気を付けましょう。
(5)季節ごとの手入れ
冬は水やりを怠りがちになってしまいますが、休眠期でも水を与えるように気をつけます。そのほか霜対策などの手入れは特に必要ありません。
(6)日当たり・置き場所
福寿草は日光を好みますが、直射日光が当たると弱ってしまいます。野生化では落葉樹の根元などに咲き、木漏れ日の光だけで元気に育ちますので、明るい日陰で育てるのが理想的です。
(7)増やし方
ハサミなどで株を切り分ける際には、できるだけ長い根がそれぞれの株につくようにして、株を細かく分け過ぎないように注意しましょう。
(8)虫対策・健康的に育てるコツ
ナメクジが発生するおそれがありますので、見つけ次第薬剤で駆除していきます。
6)ここに注意!育てる時に特に注意すべき2つのこと
(1)毒があるため食べない
福寿草の根には毒がありますので、決して食べないようにしましょう。とはいえ、根の部分を触る程度では問題はありませんので、必要以上に怖がらなくても大丈夫です。
庭でペットを放し飼いにする際などには、誤って食べてしまわないように気をつけましょう。
(2)根をしっかり育てること
「根を育てれば繁殖する」といわれるほど、福寿草は根をしっかりと育てることが大切です。
水を吸収しにくく、乾燥を嫌う性質もありますので、水やりには少々コツが必要ですが、毎日観察しながらしっかりと育てていきましょう。
※福寿草は盆栽として育てれば、正月には飾り物として用いることができます。
また、日本では縁起の良い花としても有名なので、庭に咲いているとなんとなく福を呼び寄せてくれるような気がしてガーデニングを楽しめます。
今回のまとめ
1)種は市販されていないため、基本的には苗から育てていく
2)寒さにはある程度強いが、夏の直射日光には弱いため、明るい日陰で育てる
3)根が水を吸収しにくいため、水やりはしっかりと行い、休眠期にも水を切らさないようにする
4)花が終わった後には必ず花柄摘みを行う
5)植え替えは鉢植えの場合には2年に1回は必ず行う