いちじくの栽培方法とは?8つの育て方のコツや注意点

いちじくの美

近年ケーキ等にも使われるようになり、見かける機会が増えたいちじく。しかし育てている所はなかなか見かけませんね。難しそうに思われるかも知れませんが、栽培法は意外と簡単。しかも身体や美容に良い効果も沢山という嬉しい果実なのです。今回はそんないちじくの栽培のコツと注意点をご紹介します。






目次

いちじくの栽培方法とは?8つの育て方のコツや注意点


1)いちじくの紹介

(1)いちじくとは

いちじくは花がどこにも見当たらないまま実が付きます。しかし本当は実の内部に小さな花がびっしり咲いていて、その部分を味わうのです。雌雄異株ですが雌の樹だけでも実はなります。また近年は品種改良により、受粉させずとも甘い実になるように作られています。

(2)科目・原産地

クワ科イチジク属です。アラビア南部が原産地です。

(3)草丈・開花期

樹の高さは2メートルから4メートルにもなりますが、鉢植えでは1メートル前後で管理します。開花期=実のなる時期で、夏と秋になります。

(4)名前の由来

いちじくは漢語で「無花果」といいます。上記のように花が咲かずに実を付けるように見えることからです。これを熟字訓という日本特有の難しい読み方で読んだものが「いちじく」という名前です。別の説として、一日に一個ずつ実が熟すことから「一熟」、いちじくと呼ばれるようになったという物もあります。

(5)育てる難易度・耐寒性

栽培難易度は普通からやや易しいに分類されます。耐寒性はあまり無い為、北の寒い地域で育てるには屋内に簡単に取り込める鉢植えがお勧めです。

(6)期待できる効果・効能

まず何と言っても食物繊維が豊富で、便秘に効果抜群です。他にはビタミンやカルシウム、女性に嬉しい鉄分なども含んでいる為、健康と美容、双方に良いとされています。

2)種類はあるの?いちじくの3つの種類と特徴

いちじくには200種類を超える品種がありますが、実を付ける時期によって3つのタイプに分類されます。タイプ別に代表的な品種を紹介します。

(1)秋果専用品種

秋に取れる秋果のみがなる品種です。いちじくの中では耐寒性に優れた蓬莱柿(ほうらいし)、甘みの強いビオレー・ソリエス等があります。

(2)夏果専用品種

こちらは夏に取れる夏果の品種です。味がよく、樹の収まりが良いビオレー・ドーフィン、果実が特に大きいザ・キング等があります。ただしこの品種は収穫期が梅雨と重なる為、日本での栽培はやや難しいとされています。

(3)兼用品種

夏果と秋果、二度に渡って収穫の出来る品種です。日本で最も栽培されている昔ながらの味の桝井ドーフィン、小粒ですが味は良く、小さく仕立てられて管理が楽なブラウン・ターキー等があります。

3)グッズを整えよう!栽培するのに必要な3つのグッズ

(1)

いちじくを育てる鉢は、底の深い物が必要です。更にスリット鉢というものを使うと効果的です。このタイプの鉢は底部分に縦に何本かのスリットが入っていて、いちじくの根がサークリング現象という、根っこがとぐろを巻いてしまう状態を起こしにくくなります。最初の2~3年の間この鉢で癖をつけてあげると、その後どのような鉢に植えても根が落ち着くという優れものです。1500円から3000円くらいで売っています。

(2)枝切りハサミ

いちじくは果樹ですので、剪定の際普通の園芸ハサミでは不便な時もあります。枝切り用のハサミを用意しておくとよいでしょう。

(3)スポイト

いちじくの果実を早く収穫したい場合、お尻の部分に植物油を注ぐという方法があります。その時に重宝するのがこのスポイトです。

土をすくっている手

4)正しい栽培方法を!いちじくの4つの栽培ステップ

(1)ステップ1:植え付け

いちじくの休眠期である12月から3月に、苗を植え付けます。日光を好むので、日当たりの良い場所に植えましょう。樹自体は日光が無くとも育つのですが、日光に十分当てる事によって、実が美味しくなります。

(2)ステップ2:肥料・水やり

いちじくは肥料を多く必要とする品種です。植え付けの時から十分に肥沃な土にして植えましょう。また弱アルカリ性から中性の土壌が適しているので、毎年石灰を補充して土壌の酸度を調整してやる事が必要になります。水も好む為、鉢植えの場合は底から流れ出る位に与えて構いません。ただし土の水はけは良くしておくことです。

(3)ステップ3:剪定

いちじくは毎年剪定が必要です。適した時期は12月から2月で、品種により剪定の仕方が異なります。秋果専用品種は春から伸びる枝に実が付く為どこを切っても問題ありませんが、夏果専用、兼用品種は前年伸びた枝に実が付きます。よって実を付けさせたい枝は残さなければなりません。また摘心、芽かきといった作業も必要になります。

(4)ステップ4:収穫

いちじくの樹は2年目から収穫が可能になります。枝の下の方から実が熟して行くので、順次収穫します。この時、実を取った所から出る樹液には、皮膚に付くとかぶれる場合がある為注意してください。なお、いちじくの実のお尻の部分にオリーブオイル等の植物油をスポイト等で数滴注いでやると収穫を早める事ができます。

5)要チェック!効果的に栽培する8つのコツ

(1)土の種類・鉢植え 

植える場所に穴を掘り、その掘りあげた土5に対し、腐葉土3・赤玉土小粒2の割合で混ぜた土が良いです。鉢植えであれば赤玉土3・鹿沼土3・腐葉土3・砂1の割合が良いでしょう。更に土壌の酸度調整の為の石灰も、1株当たり・または1鉢当たり20グラム程しっかりと混ぜ込みます。肥料も同じ割合で200グラム程必要になります。

(2)苗の植え方 

いちじくは日本では花粉を媒介するイチジクコバチという蜂が存在しない為、実はなっても種を付ける事ができません。よって苗を買い求めるしか栽培の手段はありません。直径・深さ共に50センチの穴を掘り、用意した土で半分から3分の2程埋めます。その中に苗を入れ、更に土を入れてやります。支柱を立て、仕上げにたっぷりと水をあげましょう。

(3)剪定・日常の手入れ 

ステップ3の通り、品種によって違うやり方の剪定が必要になります。剪定した切り口に市販の殺菌剤を塗布すると、ダメージからの回復が早くなります。また、実の付いている時期は少しでも日光に当てるために、遮る場所に生えている葉は取ってしまいましょう。

(4)肥料・水やり 

主に化学肥料よりも堆肥等の有機物を与えるのが良いでしょう。植え付けの時に入れた肥料に加えて、12月に寒肥として油かすや粒上の肥料を1株あたり200グラム程、2月と10月にも粒状肥料を50グラム程施します。鉢植えにはゆっくりと効くタイプの化成肥料を与えます。なお8月付近には花芽分化の促進の為、肥料は一時ストップします。水は上記の通り好む為、特に鉢植えの場合乾きやすいので気を付けて与えます。夏場は更に注意が必要です。ただしくれぐれも水はけには気を配ってください。

(5)季節ごとの手入れ

5月中旬以降、新梢が伸び続けている状態では、40センチから50センチの所で摘心を行います。更に芽かきも必要になります。入り組んでいたり生長の悪い枝から伸びている芽をかきとります。1度にすべてやろうとはせず、3回程に分けて行うのがコツです。また鉢植えの場合は植え替えも必要です。根が詰まってくるので、1年おき位を目安に一回り大きな鉢に植え替えましょう。植え替え適期は11月から3月です。

(6)日当たり・置き場所 

ステップ1に書いた通り、日光に十分当たるようにしてください。ただし真夏は太陽光が強すぎる為、鉢植えは乾燥していない半日陰に移動してやるのが良いです。

(7)増やし方 

さし木で増やす事が出来ます。前年伸びた枝を2から3節に切って植えましょう。適期は3月から4月になります。

(8)虫対策・健康的に育てるコツ 

いちじくの害虫で特に気を付けたいのはカミキリムシです。幹に産卵し、7月から9月にかけて成虫になります。成虫は見つけ次第補殺し、薬剤を散布します。よく見ると幹に幼虫が居る穴があいているはずですので、その中に薬液を入れて退治すると良いでしょう。究極には不織布で覆ってしまえば、カミキリムシは近づく事ができません。新梢の伸長期によくやって来ますので、その時期だけでも覆ってやると効果的です。病気には比較的強いですが、雑草を生やしっ放しにしたり風通しが悪いと良くないので、よく気を配りましょう。

Enjoying  family dinner

6)どんな活用方法がある?収穫後の効果的な用途とは

(1)生食する

良く冷やしてそのまま食べるのが一番簡単な食べ方です。いちじくの実は熟するのが早い為、生で食べる場合は収穫時期に気を配りましょう。熟し過ぎたいちじくは、ジャム作り等には最適ですが生で食べるには風味が劣ります。

(2)料理に使う

サラダやコンポート、煮込み料理等意外な物にまでいちじくは良く合います。欧米ではチーズと合わせた食べ方も親しまれているそうですよ。

(3)ジャムにして保存

ジャムを作る場合、少々熟し過ぎる位まで待ってから収穫すると良いです。いちじくはペクチンが多い為、他の果実のジャムよりも早く出来上がりお手軽です。またいちじく自体が甘い為砂糖は控えめになり、低カロリーに仕上がるのも嬉しい所。ただしその分、日持ちは短めになります。

(4)ドライフルーツに

こちらはあまり熟していない物を使う方が上手く行きます。お手軽なのがオーブンで焼いて水分を飛ばす方法。冷凍すれば保存も効きますので、いちじくが余ってしまった場合にお勧めです。

(5)果実酒に

いちじくの栄養素を壊す事なく楽しめる良い加工法です。2か月から3か月と、早い段階で飲めるようになるのも嬉しい所。肉料理の後に口をさっぱりさせたい時には特にお勧めです。いちじくには胃に良い成分も入っている為、消化も促進されて一石二鳥。

7)注意!保存する場合の3つのポイント

(1)冷蔵保存

収穫後の生のいちじくは常温ではすぐ傷んでしまいますので、冷蔵庫で保存するのが基本です。乾燥を防ぐために、ポリ袋に入れるのがポイントになります。また、重ねたり傷をつけてしまうと痛みが早くなるため気を付けてください。この方法で3日から4日程度保存できます。

(2)冷凍保存

シャーベット状になったいちじくも美味しいものです。よく洗って皮をむき、食べやすい大きさにしてフリーザーバック等に入れて冷凍しましょう。この方法では1か月から2か月程保存できます。

(3)その他

上記のジャムやドライフルーツ・果実酒等も長期保存方法としてお勧めです。沢山収穫したいちじく、無駄にせずに色々な方法で末永く楽しみましょう。

8)ここがオススメ!いちじくを栽培する魅力とは

(1)完熟した物を味わえる

一般的なスーパー等では、完熟したいちじくは販売されていません。樹上でしっかり完熟したいちじくを味わえるのは家庭栽培ならではの特権になります。

(2)昔ながらの味を懐かしむ

ご年配の方では、季節の味として子供の頃にいちじくを味わった方が多いそうです。現代と違って庭なども広く、いちじくの樹も普通にあったのでしょう。現代は狭い住宅事情から大きな樹を植えるのは難しいかも知れませんが、手軽な鉢植え等で歴史ある味に思いを馳せるのも一興でしょう。

(3)健康的に過ごせる

生食のいちじくは勿論、様々な方法で保存したいちじくには紹介の項で記した通り、健康・美容に良い効果が盛り沢山です。たっぷりと収穫して、毎日食べて健康的な生活を手に入れましょう。






今回のまとめ

1)いちじくの紹介

2)種類はあるの?いちじくの3つの種類と特徴

3)グッズを整えよう!栽培するのに必要な3つのグッズ

4)正しい栽培方法を!いちじくの4つの栽培ステップ

5)要チェック!効果的に栽培する8つのコツ

6)いちじくの収穫後の効果的な用途とは

7)注意!保存する場合の3つのポイント

8)ここがオススメ!いちじくを栽培する魅力とは

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