スーパーでよく見かける絹さや。えんどうを若い内に収穫したものですが、一々買っていると家計に響いてしまいますよね。そこで、絹さやを家でも比較的簡単に栽培出来る方法をご紹介します。風邪予防や美肌効果などもある絹さやをぜひ自家栽培してみましょう!
1)絹さやの紹介
(1)絹さやとは
絹さやとは、「えんどう」を若い状態で収穫したものをいいます。肥料の手間がさほどかからないことなどから、家庭菜園では人気が高いです。
一年草で、育てる地域の気温によって春まきと秋まきとに分かれます。また、つるがある品種とない品種とにも分かれていますので、地植えやプランターなど、育てたい環境によって品種を選ぶことができます。
花はそこまで大きくはありませんが、まるで大きさの違う2羽の蝶が互いに口づけし合っているかのような独特の形状をしています。花の色は紫や水色、白色などがあります。
(2)科目・原産地
科目:マメ科エンドウ属
原産地:中央アジア~中近東、地中海
(3)草丈・開花期
草丈:つるなし品種で50cm~100cm、つるあり品種で200cm
開花期:3月中旬~4月上旬
(4)名前の由来
絹さやの名前の由来は江戸時代とされています。当時の庶民は着物で生活しており、夜の秘め事の際に着物同士が擦れる音を「衣(絹)擦れ(きぬずれ)」と言いました。この衣擦れの音が、さやえんどうを収穫する際のさや同士が擦れ合う音と似ているため、絹さやと名づけられたと言われています。
(5)育てる難易度・耐寒性
難易度:普通~やや難しい・中級者向け
耐寒性:やや弱い・とくに12月~2月の間は防寒対策が必要
2)種類の違いはある?絹さやの4つの種類と特徴
絹さやは元々は「えんどう」という品種です。えんどうは収穫のタイミングによって呼び名が変わりますので、それを以下にご紹介します。
(1)絹さや
えんどうを若いさやの状態で収穫したものをいいます。この状態で収穫するとさやの食感はシャキシャキしており、味はほのかな甘みがあります。食べる時はさやの部分だけを楽しみます。
(2)スナップえんどう
中の豆が大きく育った状態で収穫されたものをいいます。さやと豆のどちらも食べることができます。一説ではえんどうの品種改良とも言われています。
(3)グリーンピース
未熟な豆の状態で収穫したものをいいます。みずみずしい豆の食感と、甘さを楽しむことができます。
(4)えんどう豆
豆が完熟した状態で収穫したものをいいます。グリーンピースと混同されることが多いですが、未熟な状態と完熟した状態という違いの他にも、食用としてのみに用いられるグリーンピースとは違い、えんどう豆は栽培や図鑑としての視点からも幅広く用いられています。
また、えんどう豆は種類よって薄いタイプのものもあります。食感はホクホクとして、味だけでなく香りも楽しめます。
3)グッズを整えよう!栽培するのに必要なグッズ7選
(1)グッズの名称
種・用土・肥料・鉢またはプランター・シャベル・ジョウロ・支柱立てなど
(2)選ぶ基準
絹さやは基本種から育てます。地植えで大きく育てるならつるありの品種、鉢やプランターで小さく育てるならつるなしの品種がおすすめです。育てる環境によって品種を選びましょう。
(3)初期費用
2、000円~4、000円前後
(4)入手方法
園芸店やホームセンター、インターネットなどで入手可能です
4)正しい栽培方法を!絹さやの4つの栽培STEP
(1)STEP1:種まき時期
種まき時期は、関東より南の地域なら10月~11月、関東より北の地域なら3月~4月が気候的に向いています。育苗ポットに種まき用の培養土を入れ、種を巻きます。この際に均等に間が空くように、4ヶ所ほど深さ1cm程度の穴を空けましょう。
種に土を被せたら、上から手で軽く押し固めます。その後たっぷりと水やりをしたら、発芽するまでの間は土が乾かないように水やりをし、日陰で管理しましょう。1週間程度で発芽しますので、草丈が10cmほどになったところでプランターや地面に植え替えましょう。
(2)STEP2:苗植え時期
地植えの場合には、予め土作りをすませておき、幅90cm~100cm、高さは10cmほどの畝を作りましょう。次に株同士の間隔が30cm程度空くように穴を掘ったら苗を植えていきます。鉢やプランターの場合には、10号鉢で1株、また幅60cmのプランターで2株が植える数の目安です。鉢やプランターに土を8割程度入れたら、苗がすっぽり入るくらいの穴を掘りって、苗を植えましょう。
(3)STEP3:肥料
苗植えの際に土へ肥料を混ぜたら、2月~3月にかけて緩効性化成肥料を株と株の間にばらまいて、土と混ぜあわせます。またその土を株元に寄せておきましょう。また、マメ科の植物は根に根粒菌を持っており、空気中の窒素を取り込むことができます。そのため肥料を与える際には窒素分の多い肥料は控えるようにしましょう。
(4)STEP4:収穫
収穫は花が咲いてから1ヶ月ほど経ったら行います。時期は5月~6月頃になります。実がまだ膨らんでいない、柔らかいさやの付け根辺りを1つずつ切り取っていきます。さやを収穫しないままでいるとスナップえんどうになります。
5)絹さやを効果的に栽培するコツ8選
(1)土の種類・土作り
地植えの場合には苗植えの前に予め土作りをしておきます。苦土石灰を1㎡あたりに150g程度を土に混ぜ合わせたら1週間ほど寝かせましょう。その後、堆肥を1㎡あたり2kg、また野菜用の緩効性化成肥料を100g程度土に混ぜてから畝を作ります。
鉢やプランターで育てる場合には、市販の野菜用培養土か、または赤玉土(小粒)7:腐葉土2:バーミキュライト1の配合で混ぜた土を使いましょう。
(2)苗の植え方
鉢やプランターに苗植えをする際には、株元に土を山型に寄せておくと、苗が倒れにくくなりますのでおすすめです。
(3)支柱立て・日常の手入れ
無事に越冬を終えたら、春にはドンドンつるを伸ばし始めます。2月~3月になったら支柱を株の近くに立て、ネットを張ってつるを伸ばしやすくしてあげましょう。1.5m支柱を30cm間隔で土に挿して、横向きの支柱を当ててクロスさせます。そこへネットを張れば支柱立ての完成です。
(4)水やり
湿度が苦手なので、水やりは乾燥気味にしましょう。鉢植えの場合は、土の表面が完全に乾いてからたっぷりと水やりをします。地植えの場合には、土の乾きが激しい時にだけ水やりをします。
(5)季節ごとの手入れ
絹さやは越冬した後で実を付けますので、冬場の防寒対策は万全に行いましょう。霜が当たらないように土の表面をワラや堆肥で覆います。とくに12月~2月にかけて防寒対策をしっかりと行いましょう。
(6)日当たり・置き場所
日光を好みますので、よく日が当たり、風当りの強くない場所で育てましょう。
(7)連作障害
マメ科の植物の場合、以前にマメ科を育てた土で同じように育てようとすると、連作障害を起こして病気にかかってしまいます。そのため基本はマメ科を育てた土では育てないようにして、どうしても同じ土で育てるときには必ず5年以上空けるようにしましょう。
(8)虫対策・健康的に育てるコツ
ハモグリバエ・アブラムシ・ウラナミシジミ・ヨトウムシなどの害虫がよく発生しますので、見つけ次第それぞれの害虫に効果的な野菜用の農薬を散布して駆除しましょう。
6)絹さやの収穫後の効果的な用途とは
(1)味を楽しむ
絹さやはシャキシャキの食感を楽しむことが出来ます。卵とじや胡麻和え、掻き揚げなどにして色々なレシピを試してみるのもいいでしょう。
(2)彩りを楽しむ
絹さやは、ただ味を楽しむだけでなく、彩りとしても料理を存分に盛り立ててくれます。ちらし寿司やサラダ、肉じゃがなど、料理の見栄えを飾るのにピッタリです。
7)絹さやにはどんな効果が期待できる?5大効能とは?
(1)風邪予防
絹さやにはたくさんのβカロテンが含まれており、体内ではビタミンAとして働きます。ビタミンAには風邪予防の効果があるため、風邪を引きやすい時季などには予防として摂取がおすすめです。
(2)美肌効果
絹さやに含まれるβカロテンには、風邪予防だけでなく皮膚や髪の健康を維持する働きもあるため、美肌にも効果的です。
(3)むくみ予防
絹さやには多くのカリウムが含まれています。このカリウムには体内の塩分濃度を調節して、余分な水分を排出してくれる利尿作用の効果があります。そのため体内に余分な水分が滞ることがなく、むくみ予防の効果が期待されています。
(4)便秘の改善
絹さやには食物繊維も豊富に含まれているため、お腹の中の働きを助けて便秘の改善に効果があるとされています。
(5)疲労回復
絹さやにはビタミンB群も豊富に含まれています。ビタミンB群にはさまざまな働きがありますが、主に新陳代謝を活発にして体内のエネルギーの働きをサポートしてくれます。そのため、疲労回復に効果があるとされています。
8)ここに注意!保存する場合のポイント
(1)常温・冷蔵保存
さやを水洗いしてきれいにしたら、水分をよくふき取ってからジップロックなどの袋に入れて保存します。常温でも保存可能ですが、周囲の気温で傷みやすくなることがあるため、出来るだけ冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。
(2)冷凍保存
冷凍保存の場合には、筋を取ってから熱湯で5秒~10秒ほど茹でて冷水で色止めをし、水分をしっかりふき取ります。次にサランラップで小分けにして包んだら、さらにジップロックなどの袋にまとめて入れて、空気を抜いてから冷凍保存しましょう。
まとめ
(1)絹さやはえんどうのさやを若いタイミングで収穫したものをいいます
(2)地植えの場合にはつるありの品種を、鉢やプランターで育てる場合にはつるなしの種類を選びましょう
(3)湿度を避け、乾燥気味に育てます。また冬の防寒対策もしっかりと行いましょう
(4)つるが伸び始めたら忘れずに支柱立てを行います
(5)風邪や美肌などたくさんの効果があるため、定期的に食事で摂取しましょう