小さな花が重なり合って咲く姿がとても愛らしく、魅力的なライラック。その甘く優しい香りは香水の原料にもなっており、目でも匂いでも私たちを楽しませてくれます。地植えやガーデニングなど栽培方法もさまざまなライラックの育て方についてご紹介します。
ライラックの育て方を解説!5つの栽培のコツとステップ
1)ライラックの紹介
(1)ライラックとは
ライラックはモクセイ科の落葉低木で、和名をムラサキハシドイといいます。特徴として、紫や白色の小さな花を穂のようにまとめて咲かせます。また寒さにも強いため、北国でも育てられます。小ぶりの花弁は強い芳香を放ち、ガーデニングの人気も高い品種です。
(2)科目・原産地
科目:モクセイ科ハシドイ属
原産地:ヨーロッパ南東部
(3)草丈・開花期
草丈:1.5m~6m
開花期:4月~6月
(4)名前の由来
ライラックの由来は、英語の「Lilac」から来ています。ですが元々はペルシャ語の「lilak(青色)」が語源とされています。
(5)期待できる効果・効能
リラックス効果
(6)栽培の難易度・耐寒性
難易度:中級者向け
耐寒性:強い
2)種類の違いはあるの?ライラックの5つの種類と特徴
(1)ヒメライラック
中国原産の品種で、背丈が低いため地植えのみでなく、鉢でも育てやすく人気があります。
(2)ティンカーベル
ヒメライラックの仲間で、つぼみのときは薄紫色で、開花すると薄ピンク色に花色が変化するのが特徴的な品種です。愛らしい外見と、鉢植えで育てられるサイズで人気があります。
(3)マダムレモネイ
白い花弁と、強い香りが特徴的な品種です。八重咲きの大きな花はボリューム感たっぷりで、開花後にはうっとりするような甘い香りが魅力です。
(4)エスタースターレ
ピンク色の大きな円錐状の花が特徴的な品種で、高木のため地植えで育てられることが多いです。花色は、つぼみのときは薄紫色で、開花すると一重の花びらはピンク色に変化します。
(5)センセーション
縁が白色で、全体が濃い紫色をした一重の花を咲かせるのが特徴です。ライラックの中でも初めて作られた高木の複色品種です。
3)グッズを準備しよう!育てるのに用意するグッズ
(1)グッズの名称
用土・肥料・鉢・シャベル・ジョウロ・剪定バサミ
(2)選ぶ基準
地植えの場合には鉢は必要ありません。
(3)初期費用
4、000円前後
(4)入手方法
インターネットや園芸店、ホームセンターなどで入手可能です。
4)正しい手順で栽培を!5つの栽培ステップとは
(1)ステップ1:種まき時期
種まきは夏から秋にかけての気温が落ち着く時期か、冬から春にかけての温かくなる時期に行いましょう。予め種を水に一晩浸しておき、パーライト5:赤玉土(中粒)5を混ぜた土を小さなポットに入れて、水で湿らせておきます。次に種を重ならないように1粒ずつ土の上にまき、種が見える程度に土を被せましょう。日陰で土が乾燥しないよう注意しながら管理していきます。その後、新芽が出てきたら日の当たる場所へ移していき、本葉が3~4枚程度まで育ってきたら鉢や庭に植え替えましょう。
(2)ステップ2:苗植え時期
苗植えの適期は10月~3月にかけてです。ライラックは土が乾燥している方がよく育つため、植木鉢は苗木よりも一回り大きい素焼鉢がおすすめです。鉢の底に軽石を敷いたら、土を3分の1程度入れます。次に苗を中心に置き、周りに土を入れて、割り箸などの棒で土をつついて根と土をなじませましょう。その後はたっぷりと水をやり、直射日光を避けた明るい日陰で管理しましょう。
(3)ステップ3:肥料
最初の土作りのときに肥料を混ぜたら、鉢植えの場合は花が咲き終わった5月~6月に1回程度、地植えの場合は葉が枯れ落ちる1月~2月に1回程度有機質肥料を与えましょう。
(4)ステップ4:増やし方(挿し木・株分け・接ぎ木・取り木)
・挿し木
挿し木は3月~5月に行います。切り口を斜めに切り落としたら、赤玉土(小粒)やパーライト、鹿沼土などを鉢に用意して、そこに挿します。その後は土が乾かないよう水やりをして管理しましょう。十分に根が生えたら鉢や地面に植え直しますが、そこから花が咲くまでは2年~3年ほどかかります。
・株分け
株分けは3月~5月にかけてか、9月~11月に行います。鉢から株を抜いたら、大きくなった株の根についた土を取り除いていきます。土を取り除いたら、根を傷つけないように手で株を分けます。株を分けられない場合にはハサミなどを使って切り分けましょう。分けた株を苗植えと同じように植えつけたら完成です。
・接ぎ木
接ぎ木の適期は3月~5月です。ライラックを接ぎ穂にした接ぎ木を行う際には、イボタの木を台木に使うのが一般的です。株元から5cm程度のところでイボタの木を切り落としたら、切り口に数cmの切れ目を垂直方向に入れます。ライラックの枝は、差し込む先の表皮を削り取り中の組織を出した状態にして、イボタの木へ挿し込みましょう。次に接ぎ木部分をテープで巻いて固定したら、接ぎ木をしている部分が隠れるまで10cm程度土を高めに盛ります。根を出しやすい環境にしてあげると生長がよくなります。
・取り木
取り木は3月~5月に行います。上下にカッターで1cm程度の切れ込みを1周入れたら、手で丁寧に皮を剥ぎとります。次に表皮がなくなった部分に、湿らせた水ゴケをたくさん巻き、ビニールやラップなどではがれないようにフタをしましょう。紐でビニールやラップの上下を縛り、湿らせた状態を約2ヶ月保つと根が出てきます。その後根の下の枝を切り取り、新しい株として植えましょう。
(5)ステップ5:植え替え
ライラックは根の生長が早く、根詰まりを起こしやすいです。2年~3年に1度、10月~3月頃に植え替えを行いましょう。一回りか二回り大きな鉢に新しく土を入れ植え替えます。このとき枝の高さや量が3分の1ほどになるよう剪定して、根への負担を減らしてあげましょう。
5)ここが重要!ライラックを効果的に育てる8つのコツ
(1)土の種類・鉢植え
鉢植えで育てる際に、自分で土を用意する場合は赤玉土(小粒)6~7:腐葉土3:黒土もしくはパーライト1の割合で混ぜ、そこに化成肥料を少量加えた混合土がおすすめです。
(2)苗の植え方
苗植えは、1月~2月の真冬の期間には避けるようにしましょう。
(3)剪定・日常の手入れ
剪定は5月~6月にかけて行います。枯れたり伸びすぎている枝を切って、形を整えたり根への負担を減らしてあげましょう。ただし切り過ぎると生長力が弱まってしまうため気をつけましょう。
(4)肥料・水やり
ライラックは加湿を嫌うため、鉢植えの場合は土が乾燥したらたっぷりと水をやります。地植えの場合には水やりは必要ありませんが、最初の1ヶ月は夏場は株元にワラや腐葉土を敷き、乾燥を防ぐようにしましょう。
(5)季節ごとの手入れ
ライラックは寒さに強いため冬場でも特に手入れは必要ありませんが、暑さには弱いため関東以南で植える場合は鉢植えで育てるようにしましょう。
(6)日当たり・置き場所
ライラックは暑さが苦手なので、半日陰のように適度に日の光が入る場所に置きましょう。
(7)増やし方
株分けを行う際に、鉢から抜いた株の土を落とすときは根を傷つけないように優しく手で取り除きましょう。また土が硬い場合には、マイナスドライバーなどを使いくずします。
(8)虫対策・健康的に育てるコツ
アブラムシやカイガラムシ、テッポウムシなどがつくことがあります。見つけ次第早めに薬剤を散布して駆除しますが、カイガラムシの幼虫は薬剤が効きにくいためブラシで擦り落としましょう。
6)要注意・・育てる時に特に注意すべき2つのこと
(1)直射日光に注意する
ライラックは夏の暑さや湿気で弱ってしまいますので、夏場には特に管理に注意しましょう。
(2)剪定のし過ぎには注意
ライラックは芽吹く力がそれほど強くありません。そのため、枝を切り過ぎてしまうと弱って枯れてしまうことがあります。特に枝が伸びすぎていなければ、無理に剪定をしないようにしましょう。
※ライラックの可愛らしい花は観賞用として楽しめます。特に寒い地域でも元気に育ってくれますので、北国でも地植えで育てることが出来ます。
今回のまとめ
1)ライラックの紹介
2)種類の違いはあるの?ライラックの5つの種類と特徴
3)グッズを準備しよう!育てるのに用意するグッズ
4)正しい手順で栽培を!5つの栽培ステップとは
5)ここが重要!ライラックを効果的に育てる8つのコツ
6)要注意・・育てる時に特に注意すべき2つのこと