ウツボカズラの育て方解説!4つの栽培ステップとコツとは

ウツボカズラ

夏になるとホームセンターなどで見かけるようになったウツボカズラ。「食虫植物」と聞いて、一番はじめに思い浮かべる方も多いかもしれません。 あの奇妙な形や独特な色が人気の植物です。今回はそんなウツボカズラの育て方のステップとそのコツをご紹介します。






目次

ウツボカズラの育て方解説!4つの栽培ステップとコツとは


1)ウツボカズラの紹介 

(1)ウツボカズラとは

ウツボカズラは東南アジアを中心とした、高温多湿なジャングルなどで自生するツル性の食虫植物です。特徴的なツボのような袋は、捕虫袋と呼ばれ、葉が変形したものです。捕虫袋の中に入っている液体は、ほとんどが水分ですが、消化液も含まれています。

甘い香りで虫を誘惑し、袋に落とし込みます。袋の中はツルツルしていて、虫は逃げることができず、徐々に消化され、養分として吸収されます。花言葉は、「甘い罠」「絡み付く視線」。まさにツル性食虫植物のウツボカズラの特徴を言い表していますね。

(2)科目・原産地

ウツボカズラ科の植物です。原産地は東南アジアを中心とした熱帯や、マダガスカル、北オーストラリアなどとされています。

(3)草丈・開花期

つるの長さは50~150㎝に生長します。開花期は6~7月で、小さな黄色い花を穂先にたくさん咲かせます。

(4)名前の由来

ウツボカズラは、和名です。矢を入れる「靫(ウツボ)」に似ている「つる性植物(カズラ)」である。ということが名前の由来となっています。

(5)栽培の難易度・耐寒性 

種類にもよりますが、栽培難易度は高いです。中級~上級者向けの植物と言えるでしょう。また、熱帯地方の植物ですので、耐寒性はありません。

2)種類の解説!ウツボカズラの6つの種類と特徴 

ウツボカズラは現在100種類以上の品種が確認されています。その中の代表的な品種をご紹介します。

(1)アラタ(ヒョウタンウツボカズラ)

フィリピン、スマトラ、マレー半島など、東南アジア全域に分布します。ひょうたん型のツボが細長く、真ん中が区部れているのが特徴です。乾燥に強く丈夫で、捕虫袋も比較的よくでき、栽培が簡単なことから、初心者の方にもオススメです。日本の園芸店で売られているウツボカズラのほとんどが、アラタと言っても過言ではないほど一般的です。突然変異が起こりやすいため、品種のバラエティーが豊富です。

(2)ビカルカラタ

ボルネオが原産地とされています。ツルの長さが15m程にまで成長する大型種です。捕虫袋の蓋の下に、牙のような2本の突起があるのが特徴です。

(3)ラフレシアナ

マレー半島やスマトラ島、ボルネオなど広い地域に自生しています。もともとウツボカズラという名前は、このラフレシアナに付けられた和名です。捕虫袋に点々模様があるのが特徴です。

(4)アンプラリア(ツボウツボカズラ)

東南アジア全域に自生しています。可愛らしい小さな丸みのあるツボのような捕虫袋を、株元にたくさん付けるのが特徴です。

(5)ローウィ―(シビンウツボ)

ボルネオ島に自生しています。捕虫袋が尿瓶に似ていることからシビンウツボという和名をもちます。この変わった袋が人気で、世界中で愛されている品種です。

(6)ブルケイ

フィリピンの固有種です。栽培が難しいとされる高山種の中では、栽培が簡単であるとされています。また、水槽栽培にも向いています。ずんぐりと膨らんだ真っ赤な捕虫袋が特徴です。

土を触る手

3)ウツボカズラを育てるのに用意する4つのグッズ 

(1)ウツボカズラの種または苗

(2)用土

水ゴケが適しています。もしくは、赤玉土小粒、軽石小粒、ピートモスを用意しましょう。

(3)

栽培したいウツボカズラより少し小さ目なものが適しています。大きすぎる鉢だと、糖度が乾きにくく、塩類の蓄積にも繋がってしまいます。捕虫袋を下に垂らすように育つため、高さのあるものが良いでしょう。

(4)ゴロ石

4)正しい手順を!4つの栽培ステップ 

(1)ステップ1: 土作り

水ゴケ以外の用土を使う場合は、腐植質で水はけの良い用土を使用しましょう。赤玉土小粒6、軽石小粒2、ピートモス2の割合で配合された用土を使います。

(2)ステップ2:植え付け

植え付けを行う鉢にゴロ石を1/3程度の高さまで入れます。株を抜いたら、もともと植わっていた土や水ゴケを落としましょう。黒く変色しているなど、弱っている根はハサミで取り除きます。その後根を水ゴケで包むように巻いて鉢に置き、ゴロ石の上や、株の周りにも水ゴケを敷き詰めましょう。

※種からの育て方は後程詳しくご紹介します。

(3)ステップ3:増やし方

挿し木で増やすことができます。6~8月の気温が高い時期が適しています。

(4)ステップ4: 植え替え

年に1回、5~6月に行い、水ゴケは新しい物を使いましょう。植え替え時も植え付けの手順は同じです。

水やり

5)重要!効果的に育てる7つのコツ 

(1)土の種類・鉢植え

ウツボカズラは通気性が良く、保湿性があり、弱酸性の土壌を好みます。また、根が弱いという弱点もあります。そういったことを踏まえ、初心者の方には水ゴケを使用することをオススメします。水ゴケは、水分不足を防ぐことができ、管理もしやすいので一番失敗が少ないです。

(2)種の巻き方

ウツボカズラを種から育てるのは難しいので上級者向けです。何故なら、種の寿命が短く、2~6か月ほどで発芽力を失ってしまうのです。そのため、新鮮な種を選ぶ必要があります。入手したらすぐに種まきをしましょう。微粒の日向土と、粉にした乾燥水ゴケを混ぜた土に種を蒔き、水をかけます。サランラップなどを被せると湿度が高くなり、発芽率が上がります。1~6ヶ月で発芽しますので、本葉が数枚になったら、お好みの鉢に植え替えをしましょう。

(3)剪定・日常の手入れ

・剪定

枝が長く伸びて混み合うと捕虫袋が付きにくくなります。5月頃に剪定を行いましょう。下から5節ほど残して切り戻します。葉だけが伸びる場合も、適宜残して切り整えましょう。

・日常の手入れ

乾燥と低温が苦手なので、適した環境を保ってあげると良く成長します。気温28℃、湿度80%の状態が理想的です。

(4)肥料・水やり

・肥料

特に肥料を与える必要はありません。もし心配な場合は、4~10月の生育期間中に3ヶ月に1回の間隔で液体肥料を与えます。食虫植物は、栄養の少ない土地で本来育つため、捕虫能力を手に入れました。そのため捕虫活動は光合成の補助的なものなので、わざわざ虫を餌として与える必要はありません。むしろ、虫を餌として与えすぎると栄養過多で枯れてしまうので注意しましょう。

・水やり

乾燥が苦手なので、水ゴケが適度に湿っている状態を常に維持しましょう。水ゴケが乾いてきたら、水をあげます。ただし、与えすぎは根腐れなどを起こしますので注意しましょう。また、霧吹きで葉水も行い、葉や茎の部分も潤っているようにしましょう。

(5)日当たり・置き場所

ウツボカズラは元々、高温多湿のジャングルで自生しています。日当たりがよく、常に気温が15度以上になる場所で育てましょう。ただし、直射日光と寒さが苦手なので、外で育てる際には注意が必要です。

(6)季節ごとの手入れ

・春・秋

春から秋にかけて、ウツボカズラは生育期に入ります。この時期にお日様の光を十分に浴び、外の新鮮な空気に触れさせてあげると、丈夫な株に育ち、安心して冬を越すことができるようになりますよ。窓際など日当たりの良い場所で日光浴をさせてあげましょう。

・夏

ウツボカズラは直射日光に当たり続けると葉焼けを起こしてしまいます。特に夏の直射日光には注意が必要です。外で育てる場合は、半日陰の風通しが良い所に移動させましょう。

・冬

ウツボカズラは寒さに非常に弱い植物です。10℃以下になると株が弱り始めてしまいます。外で育てている場合は、気温が20℃を下回る頃から室内に取り込みましょう。室内で育てる場合も、15℃以上の環境を保ってあげましょう。昼間は日当たりの良い窓際に置き、冷え込む夜は段ボールやビニールなどを被せて保温してあげると安心です。また、乾燥にも注意が必要です。霧吹きで葉水をし、湿度を保ってあげましょう。

(7)増やし方

挿し木で増やしましょう。茎を先端から10㎝ほど切り取ります。水分の蒸発を抑えるために、葉を半分程度の長さに切り詰めしょう。そうすることで、根がない状態でもしおれにくくします。切り口を斜めに切り直し、湿らせた水ゴケを巻きましょう。根が出るまで鉢に入れて固定します。発根までには1カ月ほどかかります。乾かさないように注意して管理しましょう。

(8)虫対策・健康的に育てるコツ

・害虫

食虫植物というくらいなので、好んでつく害虫はあまりいません。しかし、まれにカイガラムシやナメクジが発生することがあります。カイガラムシは歯ブラシなどで削り落とし、ナメクジは早急に取り除きましょう。

・病気

ウツボカズラは病気にも強い植物ですが、多湿にしすぎることで発生するカビにより、炭そ病、褐色斑点病や 灰色カビ病などを引き起こす可能性があります。ホームセンターなどに売られている薬剤を散布して対策しましょう。健康的に育てるためには、適度な風通しが重要となります。場所選びや、適度な剪定など管理に気を付けてあげましょう。

girl sitting on the window

6)成長後の楽しみ・・ウツボカズラの成長後の効果的な用途 

(1)インテリアにする

下に垂れ下がるように生長する植物ですので、天井など高い所から吊るしてもとってもオシャレで可愛いですよ。

(2)食べる

ウツボカズラの食虫袋は、食べることもできるようです。

(3)薬として使う

ボルネオでは、茎を煮た汁を解熱剤として飲んだり、根を煮た汁を胃薬や下痢止めとして飲んだりしているそうです。また、煮出した後の根は湿布薬として使われています。

※食用や薬として使用する際は、素人判断は危険ですので注意が必要です。食虫植物だからと虫よけ効果を期待する方もいるかもしれませんが、虫よけ効果はありません。むしろ、虫を引き寄せてしまうこともありますので、ご注意くださいね。

7)ウツボカズラを育てる3つの魅力とは

(1)食虫植物である

なんといっても、「虫を食べる植物」という奇妙さが魅力ですよね。どのようにして食虫するのか、育てながらワクワクします。

(2)個性的な姿

あの個性的な姿は、観賞価値を高めるでしょう。

(3)種類が豊富

種類が豊富で、その個性も様々です。見た目や難易度など、自分に合ったウツボカズラを楽しめます。






今回のまとめ

1)ウツボカズラの紹介

2)種類の解説!ウツボカズラの6つの種類と特徴

3)ウツボカズラを育てるのに用意する4つのグッズ

4)正しい手順を!4つの栽培ステップ

5)重要!効果的に育てる7つのコツ

6)ウツボカズラを育てる時に特に注意すべき3つのこと

7)ウツボカズラの成長後の効果的な用途とは

8)ウツボカズラを育てる3つの魅力とは

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