爽やかな酸味で料理やお菓子作りに欠かせないレモン。寒さに弱く、家庭で育てるのは難しいと思われがちですが最近は、鉢植えでも楽しめる品種が増えています。
今回はレモンの育て方・ステップ・栽培のコツ・注意点をお伝えします。
レモンの育て方解説!失敗しない栽培の7つのコツ
1)レモンの紹介
(1)レモンとは
柑橘類の中でも酸味が強くそのまま食べるのには向かないものを「香酸柑橘」といいますがレモンはその代表格で、強い酸味と香りが特徴です。
日本で販売されているものの多くは輸入品であり、残留農薬を心配する声もあります。
(2)科目・原産地
レモンは、ミカン科ミカン属の常緑低木です。インド東部のヒマラヤが原産で、アラビア人がスペインに伝え、その後ヨーロッパ全土に広まったと言われています。
(3)草丈・開花期
レモンの樹高は2~4mほどになります。四季咲き性があり、5~6月、7~8月、9~10月の3回開花します。
(4)名前の由来
かんきつ類の果実を意味するアラビア語「ライムン(laimun)」やペルシャ語の「リムン(limun)」が
ラテン語で「limo」、フランス語やスペイン語で「limon」となり、英語の「レモン(lemon)」になったといわれています。
(5)簡潔な効能
ビタミンCの含有量が柑橘類の中でもトップクラスなので、風邪の予防や美肌効果が期待できます。また、クエン酸を多く含むので疲労回復や二日酔いにも効果があります。
2)レモンの3つの種類と特徴
レモンには様々な種類がありますが家庭でも育てやすい品種は以下の3つです。
(1)リスボン
日本のスーパーなどで販売されているレモンの主流がこの品種です。寒さに強く、日本国内でも育てやすいといわれているレモンです。
(2)ユーレカ
レモンの枝にはトゲがあるのですが、この品種にはトゲが少なく、鋭いトゲが苦手な方におすすめの品種です。種が少なめで果汁が多いのが特徴ですが、耐寒性は劣ります。
(3)ビラフランカ
トゲなしレモンとも呼ばれるほどトゲの少ない品種。トゲで怪我をする心配がないので、小さいお子さんがいる家庭に向いています。
3)レモンを育てる難易度・耐寒性とは
インド周辺が原産地であるレモンは、降水量が少ない温暖な気候を好みます。耐寒性の弱い植物ですが、最低気温が3℃までなら耐えられると言われており、
瀬戸内地方よりも西の平地であれば、地植えも可能です。また「リスボン」のような寒さに強い品種であれば、冬の管理さえ気をつければ関東地方以西の平地でも鉢植えでの栽培が可能で、比較的育てやすい果樹と言えます。
4)レモンを育てるのに用意する6つのグッズ
レモンは苗を購入して育てるのが一般的です。苗とともに揃えておきたいものを以下にご紹介します。
(1)植木鉢
苗を植え替える鉢は、最低でも8号鉢(直径24cm)を用意してください。鉢が大きければレモンの実も大きく実るので、大きく育てたい場合は鉢も最初から大きなものを選びましょう。
実がなると頭が重くなるので、転倒しないよう丈夫で重い鉢がお勧めです。ホームセンターや園芸店で販売されている素焼きの植木鉢などが向いています。
安いものであれば500円前後で購入できます。
(2)用土
肥料の入った果樹用の土がネット通販などでも買えるので土がよくわからない場合はそのような果樹専用土をお勧めします。
14Lで1000円程度で販売されています。水はけがよくそれでいて水持ちの良い土が適しているので、自作する場合は赤玉土小粒7~8、腐葉土3~2の割合で配合してください。
(3)鉢底石
水はけを良くするために、鉢に土を入れる前に底に鉢底石を入れます。鉢底石は園芸店やホームセンターで販売されていて
5L入りで300~500円程度で手に入ります。
(4)肥料
油粕や堆肥等の有機性の肥料が必要です。また、速効性の化成肥料も用意しておきましょう。発酵油粕が700gで500円前後、即効性の液体肥料は1200mlで1000円前後で
ホームセンターや園芸店で手に入れることができます。
(5)剪定ばさみ
鉢植えの場合、枝を切ってバランスの良い樹形に仕立てる必要があります。枝を切るため、切れ味のよい剪定ばさみを購入します。
安いものだと1000円程度からありますが、ネット通販などよりは、園芸店などで実物を確認して購入することをお勧めします。
(6)移植用のスコップ
移植を行う際に細かく張った根を傷つけないためにも移植用のスコップを使うようにしましょう。園芸店やホームセンターで手に入りますが、100円均一ショップでも取り扱っていることがあります。
5)レモンの4つの栽培ステップ
(1)ステップ1:植え替え
ポット苗を購入したら、まず鉢に植え替えます。植え付けは3月下旬から4月上旬頃に行うようにしましょう。
(2)ステップ2:剪定
鉢植えの場合、幹を中心にして3本の枝をメインに仕立てます。まずは第一段階として、植え付けた後に、鉢と同じくらいの高さのところで幹を切ります。
翌年以降、横から出てきた枝の先端を剪定していきます。
(3)ステップ3:摘果
植え付けて3~4年すると、花をつけるようになります。この時受粉は必要ありません。
レモンは春から秋まで花を咲かせて実を付けますが、実があまり多いと樹の負担が大きくなってしまうので7月以降に咲いた花から実った実は全て摘み取り、春咲の果実だけ残します。
(4)ステップ4:収穫
春に咲いた花から実った実は、10~11月以降になると熟してきます。
樹の上で完全に黄色くしてしまうと香りが弱まるので、ほんのり色づき始めたところで収穫し、追熟させるといいでしょう。
9月頃の青いレモンなら、よりフレッシュな香りが楽しめます。
6)レモンを効果的に育てる7つのコツ
(1)土・鉢植えのコツ
水はけの良い有機物の多い用土を好むので、腐葉土を2~3割ブレンドします。鉢は、100円均一ショップで購入できるようなプラスチック製の軽いものよりは
重量のあるものにしておいた方が、枝が増えて重くなった時に倒れる心配がありません。
(2)肥料・水やりのコツ
水は、鉢土の表面が乾いたらたっぷり与えるようにします。レモンは肥料を多く必要とするので、肥料切れを起こさないようにすることが大切です。
寒肥として油粕などを2月頃に施し、更に6月、9月、11月に追肥をします。樹が弱っているようであれば、速効性の液肥を施します。
(3)日当たり・置き場所のコツ
日の当たる環境を好むので、できるだけ日当たりのいい場所に置いてください。
(4)増やし方のコツ
接ぎ木で増やすことができます。また、レモンは比較的よく発根するので挿し木も可能です。
(5)季節ごとの育て方のコツ
季節ごとに行う世話が決まっているので、スケジュールに従って手入れをしていきます。肥料の時期、剪定、摘果時期などを予めカレンダーに書き込んでおくといいでしょう。
冬場は特に、3℃以下にならない環境に置くようにしてください。
(6)虫対策・健康的に育てるコツ
害虫としては、アオムシ、アブラムシ、カイガラムシ、ハダニに気をつけてください。特に、アゲハチョウの幼虫であるアオムシがつきやすいので、見つけ次第取り除くようにしないと、葉っぱを食い荒らされてしまいます。
葉や果実がこすれあってできた傷から発生するカイヨウ病にも注意。確実に予防したいなら殺菌剤を散布します。
(7)収穫のコツ
樹になった状態で熟させるのではなく、青くて香りのいい時期に収穫し室内で追熟させるのが理想的です。
7)レモンの収穫後の効果的な3つの用途とは
(1)料理に
紅茶を飲む時にレモンを一切れ浮かべたいとか、揚げ物にレモンのスライスを添えたいという時などに、気軽に収穫して使えます。
(2)美容効果のある食材として
レモンは美肌効果があるといわれるビタミンCを豊富に含みます。ジュースに入れたりドレッシングに使ったりしてたっぷり摂取したいものです。
但し、ビタミンCは熱に弱い性質があるので、ジャムにしたりなど熱をかけると量が減ってしまいます。
(3)美容に
レモンの皮をすりおろし、歯磨き粉として使うと歯が白くなるといわれています。また、レモンを風呂に浮かべたレモン風呂はお肌をスベスベにしてくれます。
8)レモンを保存する場合のポイント
(1)長持ちさせたいなら冷蔵庫へ
乾燥防止のためにポリ袋に入れて冷蔵庫に入れると5~6℃くらいなら1か月程度持ちます。
(2)切り口はラップで保護
カットした場合は切り口をラップで保護して冷蔵庫へ。できるだけ早めに使い切ってください。
9)レモンを育てる魅力とは
(1)無農薬のレモンが手に入る
レモンは料理やお菓子に欠かせないものですが、市販されているものは輸入品が多く残留農薬が心配です。自分で育てたレモンなら、農薬を心配することなく皮も丸ごと使う事ができます。
(2)香りのよい花を楽しめる
レモンは実だけでなく花もとても良い香りがします。美しく、香りのよい花を楽しむ喜びがあります。
今回のまとめ
1)レモンの紹介
2)レモンの3つの種類と特徴
3)レモンを育てる難易度・耐寒性とは
4)レモンを育てるのに用意する6つのグッズ
5)レモンの4つの栽培ステップ
6)レモンを効果的に育てる7つのコツ
7)レモンの収穫後の効果的な3つの用途とは
8)レモンを保存する場合のポイント
9)レモンを育てる魅力とは