認知症予防効果が紹介され人気急上昇中のローズマリー。アロマで集中力と記憶力アップ、味わってスッキリ美しく、見て癒される清楚な花。
まさに一粒で三度おいしい優れもの。ハーブ栽培初心者にもおススメでいいことづくめのローズマリーの育て方・栽培のコツをご紹介します。
ローズマリーの育て方解説!9つの栽培のコツと注意点
1)ローズマリーの紹介
(1)ローズマリーとは
学名:Rosmarinus Officinalis
常緑性の低木で松の葉型の細長い2cmほどの葉をたくさん付けています。葉の表面は濃い光沢のある緑色で裏面はマットな銀灰色、小さな花の色は薄紫やブルーをはじめ白、ピンクなどもあります。
最近になって一気に知名度が高くなった感のあるローズマリーですが、日本に渡って来たのはなんと江戸時代、1600年代後半だったという記録が残っています。
(2)科目・原産地
科目:シソ科マンネンロウ属
原産:地中海沿岸
(3)草丈・開花期
草丈は種類によって異なり、低いもので20cm位から高くなるものだと2m位まで伸びます。
メインの開花期は4月から6月ですが、種類によって早咲き・遅咲きもあり2月から10月くらいまでの開花が可能です。
(4)名前の由来
ラテン語で「雫」という意味の「ros」 と、「海」という意味の「marinus」から、「海の雫」という意味を持ちます。
これはローズマリーが地中海沿岸の海辺に好んで生育することと、淡いブルーの小さな花が海の色を連想させるためだと言われています。
(5)期待できる効果・効能
ドライでもフレッシュでも利用することが可能で、酸化防止作用や抗菌作用があるため欧米では特に肉料理に活用されています。
ローズマリーのエッセンシャルオイルを嗅ぐだけで認知症の予防に効果をもたらすという研究結果は記憶に新しいですが、ヨーロッパではずっと昔から記憶力と集中力を高めるハーブとして知られており、シェイクスピアのハムレットの中でもオフィーリアがローズマリーを捧げて記憶しておくための花だと言っているシーンがあるほどです。
2)ローズマリーの3つの種類と特徴
ローズマリーは3つの樹形タイプによって分類されています。
(1)立性
上の方に向かってほぼ垂直もしくは扇形に伸びて行き成長すると草丈2m位になる品種もあります。日本ではトスカナブルー、マリンブルー、マジョルカピンク等が代表的で、生垣にも利用されることが多いタイプです。
(2)匍匐(ほふく)性
草丈はおよそ20cmから30cmくらいで、殆ど上には伸びず地面を匍匐前進するように横に伸びて行きます。
垂れるように育てると美しいハンギングバスケットに最適なタイプで、サンタバーバラ、ハンティングカーペット、ダンシングウォーター等がグラウンドカバーとしてよく使用されています。
(3)半匍匐性
品種によりそれぞれ草丈は30cmから150cm位までと幅があり、横にも上にも伸びて行く用途が多いタイプです。
モーツアルト、コルシカン、ブルーラグーン等がポピュラーです。
3)ローズマリーを育てる難易度・耐寒性とは
耐寒性と耐乾燥性があるのでハーブの中では比較的育てやすく初心者にもおススメです。
ローズマリーはハーブといっても草ではなく小木に属するので、成長すれば幹も太く強くなり耐寒性も増しますが、東北地方以北と寒冷地では若い株なら特に鉢植えにして、霜と寒風の当たらないところで冬越しさせましょう。
3)ローズマリーを育てるのに用意する8つのグッズ
(1)種または苗
お好みの品種の種や苗を用意しましょう。 苗は、葉の色が濃く、節の間が詰まっている、がっしりとしたものを選びましょう。
(2)鉢またはプランター
大きさは、鉢の場合は5号以上の物。 プランターの場合は直径20センチ以上の物を選びましょう。
(3)鉢底網・鉢底石
(4)土
赤玉土と腐葉土を用意しましょう。 鉢植えにする場合は、「ハーブ用の土」がオススメです。 ローズマリーは、水はけがよければどんな土でもよく育ちますので、
あまり神経質にならなくても安心です。
(5)苦土石灰
(6)肥料
元肥として、緩効性の有機肥料を用意しましょう。
(7)土袋
土作りの時に使用します。大きめのビニールシートやバケツなどでも代用できます。
(8)シャベル
これらは、ホームセンターにて3000円前後で揃えることができます。 100円ショップの園芸コーナーも、土や肥料などの園芸グッズが充実しています。
費用を少しでも抑えたい方は、そちらもチェックしてみてくださいね。
5)ローズマリーの5つの栽培ステップ
(1)ステップ1:種蒔き
基本的に木本類は種から育てると成長に時間がかかるので、挿し木や株分けで増やす事が一般的です。しかし、自分で一手間かけて種から育てたハーブはやはり愛着が違いますからどうしても種から育てたいという場合は、発芽適温が20度前後なので関東地方であれば5月ごろか、9月ごろに蒔きます。
まず育苗ポットの鉢底に網を敷き、種蒔き用土を入れます。あらかじめ湿らせておいた種蒔き用土に種を数粒蒔いてから、土を5mmぐらい薄く被せましょう。
2週間ほどで発芽するので、それまでは乾燥させないように気を付けましょう。
(2)ステップ2: 植え付け
苗が10cm近くなったら、植木鉢に植え付けるか、庭に定植します。どちらの場合も水はけのよい土を選んで植えましょう。市販の苗を買った場合も同じ要領で植えつけましょう。
(3)ステップ3:剪定
成長が進み枝が伸びて混み合ってきたら、梅雨時期や冬前に剪定して通気を良くしてあげましょう。
(4)ステップ4:植え替え
鉢植えの場合、根詰まりしないように1~2年毎に植え替えをしましょう。地植えの場合は一度植えたらそのままにして移動は極力させないようにしましょう。
(5)ステップ5:増やし方
ローズマリーを増やしたいときは、挿し木で簡単にできます。種蒔きの時期と同じで春または秋に、新しい芽の出た枝を10cm程の長さで切り口が斜めになるように切ってください。
切った枝の下部3cm分位の葉っぱを全て取り除き挿し木用の雑菌の少ない土に挿すと1か月ほどで根が出てきます。この時発芽までは乾燥させすぎないように注意してください。
6)ローズマリーを効果的に育てる9つのコツ
(1)土の種類・鉢植え
水はけのよくない土での根腐れが大敵なので乾燥気味に管理するのに適した土と鉢選びが大切です。
乾燥しやすいテラコッタなどの鉢に、水はけのよい地中海沿岸地方の土壌に似た弱アルカリ性の土がベストです。市販の酸度調整済み培養土やハーブ専用土を使うのが最も手軽で安心です。
土の乾きにくいプラスチック製の鉢は、多湿に弱いローズマリーに向きませんから避けたほうが無難です。
(2)種のまき方
種を低温処理して蒔くと発芽しやすくなります。種を一晩水に浸してから水切りして、キッチンペーパーなどに包んで冷蔵庫で一晩やすませた後で蒔きましょう。
(3)日常の手入れ・植え替え
通気性を確保するためと、見た目を美しく保つための定期的な剪定以外は特に手入れは必要ありません。
・剪定
ローズマリーは乾燥を好みます。 風通しがよく、蒸れにくい環境を保ってあげるためにも、 繁茂してくる梅雨の時期の前には剪定をしてあげましょう。
イメージとしては、全体の1/4程度の枝を減らす程度です。
・植え替え
ローズマリーは生育旺盛で、根張りがよい植物です。 そのため、鉢やプランターで育てていると根詰まりしやすいです。
1~2年に一度の植え替えの目安となりますが、 鉢底から根が出るようになったら一回り大きな鉢に植え替えてあげましょう。
古い土は、水はけが悪いので、根に付いた土はよく落とし、 鉢植えの際の土も新しく清潔なものを使用しましょう。
(4)肥料・水やり
やせた土地に原生するハーブなので地植えなら肥料も水やりも必要ありません。鉢植えの場合は土が十分に乾いたら水をたっぷりとあげて、次の水遣りはまたすっかり乾くまで待ちましょう。
常に湿った状態での管理や窒素肥料などの与えすぎは花が咲きづらくなる原因となります。
(5)日当たり・置き場所
鉢植えの場合は日当たりと通気性の良い場所においてあげましょう。また、多少日当たりが悪くてもジメジメしていない場所であれば大丈夫です。地植えの場合は日当たりが良く排水性の良い土壌を選んで植えましょう。
(6)増やし方のコツ
ローズマリーは挿し木で簡単に増やせます。 花の咲き終わった春や秋に行いましょう。 新しい芽を付けた茎を5㎝程に切ります。
切り口を日陰で乾燥させましょう。 その後、下の方の葉を取り除いてから綺麗な用土に挿します。 発根するまでは乾燥させないように注意しましょう。
切り口の乾燥や、綺麗な用土を使う理由は、細菌や病原菌などの感染を防ぐためです。
(7)季節ごとの対策
・夏
暑さには強い植物でも、過湿状態には弱いです。 葉の密集しないためにも、剪定をまめに行いましょう。 また、水のやり過ぎにも注意が必要です。 土が乾いているのを確認してからあげましょう。
・冬
冬は日照不足に気を付けなければいけません。 夏に生い茂った葉をそのままにしてしまうと、 下の方は十分に日に当たることができず生育不良の原因となります。
冬前にも剪定をしてあげましょう。 また、寒さに強い植物ですが、 霜で株が傷んで枯れてしまうことがあるので注意が必要です。
(8)虫対策・健康的に育てるコツ
ローズマリーは、自身が防虫効果を持っているため、虫がつくことはあまりありません。 しかし、まれに「カイガラムシ」や「アブラムシ」などの被害に合うこともあります。
食用を目的に育てている場合、薬剤を使用することはあまり得策ではありません。 見つけ次第、手や割り箸などで地道に駆除する必要があります。
予防するためにも、葉の剪定をしっかりして、虫が住みにくい環境を作りましょう。病気の心配もほとんどありませんが、根に腐敗病や葉の白化が発生することがあります。
水の与えすぎや、土が固すぎることが原因です。 適度な水やりと、土は柔らかくしておくことを心がけ、病気を予防しましょう。
(9)収穫のコツ
収穫をする時は、脇芽を残して切り取りましょう。 そうすることで新しい芽が再び出てきます。 また、夏の晴れた日の午後は収穫のベストタイミングです
通常よりも香りがとてもよく、成分も豊富に含んでいますので格別ですね。
7)ローズマリーを育てる時に特に注意すべき4つのこと
(1)水をやりすぎないこと
ローズマリーにとって水のやりすぎは乾燥しすぎよりも致命的です。土が乾くのを待ってから水をやり、やや乾燥気味に管理すること。
(2)通気性への注意
株全体の通気性を良く保ち蒸れないように管理しましょう。梅雨時の蒸れは枯れる原因にもなりますから普段より思い切った剪定がローズマリーのためになります。
(3)鉢植えは定期的に植え替えること
成長が早いので鉢植えの場合、根詰まりしないように1〜2年に1度は植え替えることが必要です。植え替えに適した時期は休眠する冬です。
(4)地植えの場合は移植を避けること
ローズマリーは植え替えられるのを嫌いますから、成長した時の大きさを想定したうえ十分なスペースに定植して移動を極力避けるようにすること。
地植えの場合、株と株の間隔が近すぎても蒸れて枯れる原因になるので、立性なら少なくても40cm位間隔をあけて植えましょう。匍匐性は特に横にかなり広がるので各品種についての説明を読んで間隔に余裕を持たせて植えること。
8)ローズマリーの成長後の効果的な用途・楽しみ方
(1)ガーデニング
オーナメントとして庭で楽しむことができます。
狭い場所やブロック・コンクリートなどに囲まれた土質の良くない場所の生垣として立ち性のローズマリーを植えると通るたびにいい香りがして日常的にアロマ効果を得られます。
岩が多く土質の良くない庭ならロックガーデン風に匍匐(ほふく)性のローズマリーを這わせたり、垂れ下がるように植えてお庭のスキマスペースの充実利用や雑草防止のグラウンドカバーとして活躍してくれること間違いなしです。
(2)クッキング
香草として風味を楽しむことができます。
料理(フレッシュハーブ、ドライハーブ)をマリネ、煮込み料理、バーベキューの香付けなどに使って肉や魚の臭みを消したり鮮度を長持ちさせるのに利用しましょう。
ヨーロッパでは一般家庭で日常的に使われているハーブの代表格です。
ハーブオイルやハーブビネガーを作って、ピザやサラダなどに振りかけるとあっという間に本格的イタリアンな味わいになります。
乾燥させた葉を砕いてあら塩と混ぜてハーブソルトを作って、特にチキン、ラム、ポテト等の料理に振りかけるとお手軽に風味アップします。
(3)ヘルス%ビューティー
体の調子を整えるための効果を美味しく楽しむハーティーを作りましょう。市販のデトックスのハーブティーにもローズマリーが入っているものもあるので、自家製ローズマリーデットクスハーブティーでカラダの中からキレイになりましょう。
利尿効果があるのでむくみもとれます。
デトックスウォーターの香りづけに剪定した芽を使いましょう。レモンの輪切りなどと組み合わせるととってもフレッシュでヘルシーな美味しい水のできあがりです。
プチ断食の最中の水分補給や、ダイエット中のカロリーオフのお洒落なドリンクとして飲みましょう。
(4)アロマ
匂いを楽しむことができます。
バスタブに浮かべてリラックス&エナジーアップしましょう。ローズマリーの香が前向きで明るい気分にさせてくれるだけで無く、血行を良くしてくれるので肩こりの緩和にも効果的です。
剪定した枝は捨てずに芳香剤として利用できます。10cm程の長さに切って干したものを靴箱やクローゼットに芳香剤代わりに置きましょう。
乾燥させた枝を御香のように焚いて集中力・記憶力がアップするルームフレグランスにするというちょっと変わった使い方もできます。
(5)クラフト
ナチュラルクラフトの材料として活用し飾って楽しむことができるのも他の一年草のハーブではできない裏ワザ。
ローズマリーの茎は曲げたり扱いやすいので、芳香のある可愛いリースを手軽に作ることができます。花や葉を乾燥させてポプリに混ぜても香が引き締まります。
※注意点
香草として適量が料理等に使用されている分には問題ありませんが、ここでは今回触れていないローズマリーのエッセンシャルオイルをご使用の場合は、乳幼児、高齢、妊娠中、高血圧症、癲癇、心臓疾患の方は注意が必要です。
9)ローズマリーを育てる魅力とは
(1)花・葉・茎のすべてを利用できるので剪定のために切ってしまった部分も活用できるところ。剪定時に勿体無いとか、こんなに切って可愛そう…と思わずに済むでしょう。
(2)1年を通して花、葉、茎のいづれかを収穫し続けることができます。
(3)ローズマリーの清楚で可愛らしい花は開花期間を長く楽しむことができます。
(4)挿し木で増やしやすいので、すぐにたくさん収穫できるようになり活用の幅が広がります。ドライハーブにしたり、リースを作ってプレゼントしたりできるようになるのも早いですよ。
(5)そしてなんといっても効能や用途が上記8)で解説した通り数え切れないほどあるところです。マルチプレイヤーのローズマリーは毎日の生活に欠かせません。
今回のまとめ
1)ローズマリーの紹介
2)ローズマリーの3つの種類と特徴
3)ローズマリーを育てる難易度・耐寒性とは
4)ローズマリーを育てるのに用意する5つのグッズ
5)ローズマリーの5つの栽培ステップ
6)ローズマリーを効果的に育てる6つのコツ
7)ローズマリーを育てる時に特に注意すべき4つのこと
8)ローズマリーの成長後の効果的な5つの用途・楽しみ方とは
9)ローズマリーを育てる魅力とは