パエリアやサフランライス等、外国料理の黄色い色付けに頻繁に使われるサフラン。とても高価なスパイスとして呼び名が高いですが、育て方に気を付ければ自宅でも栽培可能です。今回はそんなサフランの育て方・栽培のコツをご紹介します。
サフランの育て方解説!5つの栽培ステップとコツ
1)サフランの紹介
(1)サフランとは
クロッカスの仲間で、秋に花を咲かせる球根植物です。水に溶かすと鮮やかな黄色に発色する為、様々な料理の色付けに重宝されています。サフランライスが有名です。また大変高価なスパイスとされています。それは収穫率がとても低い為で、たった1グラムのサフランを採るのになんと160個もの花が必要になるのです。
(2)科目・原産地
アヤメ科クロッカス属です。西南アジアが原産地です。
(3)草丈・開花期
草丈は20センチから30センチ程です。開花期は10月から11月で、1つの株に最大で4つの花を付けます。花色は美しい紫色です。
(4)名前の由来
アラビア語の「ザアファラーン」に由来しています。
(5)期待できる効果・効能
開花後の赤い雌しべを摘み取って乾燥させ、料理の色付けや風味付け等のスパイスとして幅広く利用できます。
(6)栽培の難易度・耐寒性
栽培難易度は易しい方です。耐寒性がとても強いので、冬場に特別な防寒等も必要ありません。逆に高温多湿の状態には非常に弱い為、夏場の球根の扱いには注意が必要です。
2)種類の解説!サフランの3つの種類と特徴
(1)薬用サフラン
ここで扱うサフランは別名をこのように呼ばれ、他の2種と区別されています。香辛料として、また様々な薬効を持つ生薬として使用されています。
(2)花サフラン
一般にはクロッカスと呼ばれる、観賞用のサフランです。白・黄色・薄紫・紅紫・白地に藤色の絞りが入った物等、花色がとても豊富なのが特徴です。
(3)イヌサフラン
サフランと呼ばれ、外見もよく似てはいますが、実はイヌサフラン科イヌサフラン属で、全く別の分類の植物です。アルカロイドの一種、コルヒチンを含む毒草です。
3)グッズを整えよう!育てるのに用意する3つのグッズ
(1)鉢
こまめに置き場所を変えたりする為に、鉢植えでの栽培が適しています。鉢は5号から6号の物を使います。直径が15センチから18センチの物です。草丈が短めの為、高さの低い平鉢タイプを選んだ方が開花時に見栄えが良くなります。
(2)キッチンペーパー
収穫後の雌しべを乾かす時に使用すると便利です。市販の料理用の物で構いません。
(3)保存用ガラス瓶
雌しべを保存するのに使います。きちんと煮沸消毒をして清潔にした物を使いましょう。また十分に乾燥していないとカビが生えるので、中に入れる乾燥剤も準備すると万全です。
4)正しい手順を・・サフランの5つの栽培ステップ
(1)ステップ1:球根を植える
サフランの球根は7月から8月に出回ります。8月下旬から9月中旬に植え付けを行います。適切な時期を過ぎてから植えると、花が小さくなってしまうので注意してください。
(2)ステップ2:水やり
サフランの球根は多湿に弱いので、鉢植えの土の中に直接指を入れて中の状態を確認すると良いです。土の中まで乾いているなら、たっぷりと水を与えましょう。
(3)ステップ3:肥料を与える
球根の植え付け時に、元肥として緩効性の肥料を与えます。その後は花が咲き終わった11月に化成肥料を追加するか、11月と生育期の2月に分けて、液体肥料を与えるのが良いでしょう。
(4)ステップ4:収穫する
サフランの花が咲いたら、すぐに赤い雌しべを抜き取って乾燥させます。この時キッチンペーパーの上に置くと、水分を吸い取ってくれる為便利です。日陰においてじっくり乾燥させますが、乾燥した雌しべは糸くずのように細い為風に飛ばされやすいので注意しましょう。
(5)ステップ5:球根の掘り上げ
サフランは球根植物なので、花が終わった後に球根を掘り上げて保管して置けば、次のシーズンにまた植える事が出来ます。5月頃から葉も枯れ始めますので、その頃に球根を掘り上げます。葉を取り除き、ネット等に入れて風通しの良い場所に吊り下げて保存しましょう。くれぐれも高温多湿にならないよう注意してください。
5)効果的な栽培を!サフランを効果的に育てる8つのコツ
(1)土の種類・鉢植え
土は赤玉土小粒7:腐葉土3の割合で作り、更に牛糞や堆肥を肥料として加えましょう。肥沃な土にする事が立派に育てるコツです。
(2)球根の植え方
1鉢につき3から5個の球根を目安にして、均等に間隔をあけ、球根1個分から1.5個分位の深さに植えるのがコツです。植え方が浅いと、芽は沢山出ますが花付きが悪くなります。注意しましょう。
(3)剪定・日常の手入れ
特に日常的に剪定をする必要はありません。花が終わった後から球根の掘り上げまでに管理が必要になります。「季節ごとの手入れ」を参照してください。
(4)肥料・水やり
肥料を与える時期は上記の通りになりますが、成分に注意してください。窒素分が多い肥料はサフランの球根を弱らせてしまいます。窒素分が少なく、カリ分の多いものを選ぶのが良いでしょう。また冬から春にかけては水やりを控え、やや乾かし気味に管理して球根の堀り上げに備えます。
(5)季節ごとの手入れ
サフランはとにかく高温多湿に弱い為、基本的にはシーズン後球根を堀り上げますが、その心配が無い環境ならば数年間植えっ放しにしても問題はありません。ですが、3年から5年程植えていると球根が増えて鉢の中が窮屈になってしまう為、掘り上げて植え直しをしましょう。
また花が終わった後に新しい葉芽が生えて来るのですが、これは2個から3個を残してかき取ってしまってください。この葉芽はすべて新しい球根に育つ為、多すぎると元の球根が栄養を取られ過ぎて枯れてしまうのです。注意してください。
(6)日当たり・置き場所
サフランは高温は苦手ですが、日当たりの良い場所を好みます。日当たりが不足すると花付きが悪くなる為、適切な場所を選んで鉢植えをこまめに移動させましょう。風通しの良い日向が理想的です。
(7)増やし方
「季節ごとの手入れ」の項で書いた通り、サフランは花が終わった後に新しい葉芽を生やします。これらはすべて新しい球根になる為、葉芽の数だけ増える事になります。簡単で確実な増やし方です。
(8)虫対策・健康的に育てるコツ
とにかく高温多湿にならないよう、最大限の気配りをしてください。失敗するとネダニが発生する事があります。植え付け時に抗ネダニ剤を散布するのが効果的ですが、最も大切なのは高温多湿にしないようにする事です。また窒素分の多い肥料を与えると軟腐病という病気にかかりやすくなりますので、肥料の項に書いた通り、窒素分が少なくカリ分の多い肥料を選びましょう。
6)要注意!育てる時に特に注意すべきこと
(1)高温多湿を避ける
サフランを育てる際に最も重要なのは、高温多湿の環境を避ける事です。これは花の状態から、球根にして保管している時までずっと同じです。鉢植えの置き場所、球根の保管場所には常に気を配りましょう。
(2)生育温度の管理
サフランは日当たりを好みますが、最適な生育温度は5℃から15℃と低い方です。これも花期から球根時まで一貫しているので、特に注意を払ってください。風通しの良い所に配置するのがポイントになるでしょう。
7)サフランの成長後の効果的な3つの用途とは
(1)香辛料として
サフランの乾燥させた雌しべは、料理の色付けや風味付けに最も利用されます。着色する力が非常に強い為、使用量は少なめで良いでしょう。また使用前にアルミホイルに包んで、オーブンの余熱で乾燥させると風味と香りが更に増す為、お勧めします。風味が落ちてしまう為、保存する場合は1年程で使い切るようにしましょう。
(2)お茶として
トルコではサフランをお湯に入れて、他のハーブティーのようにサフランティーとして親しんでいるそうです。アンチエイジングや精神安定に効果があると言われています。
(3)生薬として
上記の精神安定効果や、鎮痛、通経作用等を目的に生薬として利用されます。またサフランに含まれるクロシンという成分には、大腸がん予防にも効果があるとする研究もあります。
以上のように多様な用途のあるサフランですが、大量摂取は危険です。一度に5グラム以上摂取すると重篤な副作用が発生します。また、妊娠中・授乳中の女性は注意してください。通常の料理の色付け・風味付け程度の使用量ならば問題ないですが、お茶等は避けるようにしましょう。
8)育てる魅力や楽しみとは
(1)手軽に楽しめる
球根植物であるサフランは、種蒔きから始める植物とは違い手軽に発芽させる事が出来ます。高温多湿に気を付けさえすれば、初心者でも失敗なく育てられるでしょう。
(2)美しい黄色の着色
サフランを使って着色した料理は、鮮やかな黄色が目にも鮮やかで大変食欲をそそります。夏など食欲が無い時にもお勧めです。1年程の保存が可能な為、一度栽培を始めれば切れ間なくスパイスとして利用できるようになります。
(3)高級感をお手軽に
とても高級なスパイスであるサフランですが、自分で育てていればぐっと安く手に入る上に、どんどん球根が増える為大変お得です。たっぷりと使ってその魅力を堪能しましょう。(ただし大量摂取には注意が必要です)
今回のまとめ
1)サフランの紹介
2)種類の解説!サフランの3つの種類と特徴
3)グッズを整えよう!サフランを育てるのに用意する3つのグッズ
4)サフランの5つの栽培ステップ
5)効果的な栽培を!サフランを効果的に育てる8つのコツ
6)要注意!育てる時に特に注意すべき2つのこと
7)サフランの成長後の効果的な3つの用途とは
8)育てる魅力や楽しみとは