子孫繁栄の象徴とも言われ、正月料理や祝い事の料理に欠かせないのが里芋です。粘り気があり、煮物にするととっても美味しい里芋ですが、値段が高くてとても毎日は買えないですよね。そこで今回は、ご家庭で出来る里芋の育て方をご紹介します。
里芋の育て方解説!5つの栽培ステップと効果的なコツとは
1)里芋の紹介
(1)里芋とは
里芋は東南アジアの熱帯が原産で、タロイモの仲間です。日本へは縄文時代に中国から伝わってきた歴史の古い作物です。高温多湿を好むため、夏の暑さにも負けずにどんどん成長するのが特徴です。
(2)科目・原産地
科目:サトイモ科サトイモ属
原産地:インド、ネパール、マレー半島などの東南アジア
(3)草丈・開花期
草丈:120cm~150cm
開花期:10月前後※品種により異なる
(4)名前の由来
山で採れる芋を「山芋(自然薯)」と呼ぶのに対し、里で栽培される芋を「里芋」と呼んだのが由来と言われています。
(5)期待できる効果・効能
脳の活性化、コレステロール値を下げる、血圧を下げる、胃腸の保護、老化防止、美肌・美容効果、むくみの改善、ダイエット効果、抜け毛予防など
2)種類の解説!里芋の5つの種類と特徴とは
(1) 石川早生
石川早生は子芋用の品種で、極早生種で生育が早いのが特徴です。育てやすく貯蔵性が高いため、家庭菜園などでも人気の高い品種です。形は小ぶりの丸型で、味は柔らかく粘り気があり美味しいです。
(2)土垂れ(どだれ)
子芋用の品種です。中生種で、育てやすく多収型が特徴です。きめが細かくて、粘りがあり煮崩れがしにくいため、調理では煮物に最適です。
(3)タケノコ芋(京芋)
親芋用の品種です。親芋のみが大きく育ち、子芋はほとんど出来ません。名前の通りに、地上部に芋がタケノコのように露出するのが特徴的です。
(4)赤目芋(セレベス)
親芋と子芋の両方を収穫する品種です。芽が赤く、親芋と子芋ともに大きく成長します。形の良い芋がたくさんとれ、他の里芋に比べてぬめりが少ないのが特徴です。煮崩れしにくく、煮物に最適です。
(5)八ツ頭
八ツ頭は、子芋がほとんど分球せずに、親芋と子芋が一体化して塊になるのが特徴です。まろやかな甘みと、芋特有のホクホクした食感が楽しめ、里芋の中でも最高の食味と言われています。また、赤がらで茎も食用になります。
3)里芋を育てる難易度・耐寒性とは
難易度:初心者~中級者向け。寒さなどに注意は必要ですが、栽培の手間がかからず、また病害虫にも強いため比較的育てるのは容易です。
耐寒性:弱い。熱帯原産の品種のため、寒さや乾燥には特に注意が必要です。
4)グッズを整えよう!栽培するのに用意する8つのグッズ
(1)グッズの名称
種芋、用土、元肥、肥料、ジョウロ、シャベル、鍬(畑で育てる場合)、プランター(プランターで育てる場合)など
(2)グッズを選ぶ基準
里芋を畑で育てるか、プランターで育てるかによって、選ぶグッズが多少異なります。
(3)初期費用
2、000円~3、000円程度※個人差があります
(4)入手方法
園芸店やホームセンター、インターネットなどで入手可能です。
5)栽培手順は?里芋の5つの栽培ステップ
(1)ステップ1:種芋・苗の植え付け時期
3月下旬~6月上旬まで。深さ5cm~6cmの溝を掘ったら、苗を上にして植えつけます。あまり深く植えすぎると発芽率が悪くなるため注意します。いくつか植えつける場合には、種芋の大きさを大小バラバラではなく、順に並べるようにします。
植え終わったら、5cm~10cm程度覆土します。また、苗から植える際には、ポットよりやや大きめの植穴を掘り、根鉢を崩さないように気をつけて植えましょう。植え付けを行う際には、元肥も一緒に施します。
(2)ステップ2:肥料
肥料は、化学肥料を使っている場合には農協のIB化成がお勧めです。IB化成は遅効性の肥料のため、半年程度は肥料の効果が続きます。
(3)ステップ3:乾燥対策
里芋は乾燥状態が続くと葉が萎えてしまいますので、夏場以降は藁や刈り草などを敷き、土壌中の湿度を高く保ち乾燥を防ぐと里芋が大きくしっかりと育ちます。
(4)ステップ4:まし土(土寄せ)
里芋はまし土を行うと、上手に育てることが出来ます。まし土は発芽後、本葉が3~4枚程度になった頃と、その一か月後の2回行います。寄せる土の量は1回目が5cm、2回目は10cmが目安です。
(5)収穫時期
収穫時期の目安は、植えてから150~180日程度です。晩秋の10月中旬以降が収穫のタイミングです。10月中旬を過ぎたら一度試し掘りをし、芋の大きさを確認してみると良いでしょう。収穫は茎を根元からナイフで切り取り、スコップなどで株の周辺を広めに掘り下げます。芋を傷つけないように株ごと丁寧に掘り出したら、土を落としながら親芋と子芋に分けます。
6)重要ポイント!効果的に栽培する6つのコツ
(1)土・鉢植えのコツ
プランターで栽培する場合には、大型で深鉢のものを選びましょう。用土は市販の培養土でも大丈夫ですが、自分で用土を作る場合には、赤玉土:4堆肥:3.5腐葉土:2.5バーミキュライト1がお勧めです。
(2)日常の手入れのコツ
特別な手入れは必要ありませんが、周囲に草が生えてきたら除草を行いましょう。
(3)肥料・水やりのコツ
肥料:基本的には元肥をしてあれば、追肥は必要ありません。ただし、プランター栽培の場合には、生育に合わせて追肥を行いましょう。
水やり:里芋は高湿度を好むため、水はたっぷりと与えます。ただし、常に水が溜まった状態でも傷んだり腐ったりする原因になりますので、極端なあげすぎにも注意しましょう。
(4)日当たり・置き場所のコツ
里芋は多少の日陰があっても大丈夫ですが、基本的には日なたに置いて生育させましょう。
(5)虫対策・健康的に育てるコツ
里芋は基本的には丈夫なので病害虫が付かない作物ですが、まれに疫病やモザイク病、乾腐病や軟腐病にかかることがあります。これらの原因は主に連作によるものなので、一度里芋を育てた用土は使わないようにしましょう。
(6)収穫のコツ
目視で収穫のタイミングを計る場合は、地上部の葉の色が黄色く小さくなり始めたら試し堀りを行いましょう。
7)活用方法とは?里芋の収穫後の効果的な用途
(1)低カロリーの里芋でダイエット
里芋は芋の中でもカロリーが低いため、里芋を日々の食事に取り入れることで糖質制限が出来、ダイエット効果が期待出来ます。
(2)里芋のぬめりで美肌効果
めかぶや納豆と同じく、里芋にも「ムチン」というぬめりの元となる物質が含まれています。このムチンはダイエット効果の他、美肌を作る効果も期待されています。
8)保存の注意点!里芋を保存する場合のポイント
(1)風通しの良い冷暗所で保存
里芋は本来暖かい場所で採れる野菜ですので、冷蔵庫で保存してしまうと低温障害を起こして早く傷んでしまいます。そのため、保存する際には風通しの良い冷暗所で保存するようにしましょう。
(2)土がついたままで保存
里芋を保存する際に土を払い落としてしまうと、乾燥して品質の低下が早まってしまいます。ですので、保存するときは土がついた状態のままで新聞紙などにくるんで保存しましょう。
9)ここがオススメ・・里芋を栽培する魅力とは
(1)家庭菜園で上手に節約
里芋をスーパーで買おうとするとやや値段が張ってしまい、毎回購入するのは難しいですが、自分で育てればお金は一切かからないため節約の強い味方になります。
(2)いつでも健康的な生活が送れる
里芋にはダイエットや美容効果の他に、胃腸の調子を整えたり、便秘の改善など、様々な体に良い効果を得ることが出来ます。続けて里芋を食べることで、健康的な体作りをサポートしてくれるので非常に魅力的な植物です。
今回のまとめ
1)里芋の紹介
2)種類の解説!里芋の5つの種類と特徴とは
3)里芋を育てる難易度・耐寒性とは
4)グッズを整えよう!栽培するのに用意する8つのグッズ
5)栽培手順は?里芋の5つの栽培ステップ
6)重要ポイント!効果的に栽培する6つのコツ
7)活用方法とは?里芋の収穫後の効果的な用途
8)保存の注意点!里芋を保存する場合のポイント