シンボルツリーとして人気のある「シマトネリコ」。和風・洋風、どちらの雰囲気にも合うので近年良く見かけるようになりました。庭植えの他にも、室内のインテリアとして楽しんだり、その用途は多様です。今回はそんなシマトネリコの育て方をご紹介します。
シマトネリコの育て方解説!5つの栽培ステップとコツとは
1)シマトネリコの紹介
(1)シマトネリコとは
シマトネリコは亜熱帯の植物です。そのため日本ではもともと沖縄にしか自生していませんでしたが、最近では関東地方より北の地域でも栽培されています。「タイワンシオジ」という別名もあります。羽状複葉で、小さく艶やかな葉が涼しげな樹形をしており、その姿がとても美しいため、人気があります。雌雄別株で、雌のみが花を咲かせます。そのため、何年たっても花が咲かない場合は、雄の木である可能性が高いです。シンボルツリーや観葉植物として楽しまれる他、家具やバットなどの材料として使われています。シマトネリコの花言葉は、「偉大」「服従」「思慮分別」「高潔」「荘厳」などがあります。
(2)科目・原産地
シマトネリコはモクセイ科の常緑~半落葉中高木です。原産地は沖縄、台湾、中国、フィリピン、インドとされています。
(3)樹高・開花期
シマトネリコは樹高6m~15m程に生長します。5~7月に開花期を迎え、白色の小さな花を咲かせます。
(4)名前の由来
シマトネリコのシマは「島」を意味しており、沖縄などの南国諸島に自生する「トネリコ」というのが名前の由来です。トネリコとは、モクセイ科トネリコ属の植物で、シマトネリコの仲間の事です。トネリコの名前の由来は諸説あります。1つ目は、トネリコの枝や樹皮につくカイガラムシが分泌する白蝋(トネリ)を戸の溝や敷居の滑りを良くするために塗る作業、「トヌリキ(戸塗り木)」が転訛したという説。
2つ目は、写経を行う際に使う、樹皮を煮詰めて膠(ニカワ)状にし、そこに隅を混ぜて練ったもの、「トモネリコ(共練り濃)」が転訛したという説。この2つが濃厚のようです。また、別名のタイワンシオジの名前の由来は、「シオジ」というのがトネリコの事を意味しているので、台湾のトネリコという意味となります。
(5)期待できる効果・効能
・癒し効果
・空気浄化作用
(6)栽培の難易度・耐寒性・耐暑性
シマトネリコは中級者向けの植物です。寒さにはマイナス3℃まで耐えることができます。南国に自生する植物ですので、暑さには大変強いです。
2)先ずはグッズの準備を!栽培に必要な6つのグッズ
(1)シマトネリコの種または苗
苗は葉の色が深緑で光沢のある美しい物を選びましょう。
(2)用土
・地植え
腐葉土
・鉢植え
赤玉土(小粒)、腐葉土
(3)鉢(鉢植えにする場合)
苗ポットの一回りから二回りほど大きな鉢を用意します。不安な場合は園芸店の方に確認してみましょう。
(4)元肥
緩効性化成肥料(粒状)または有機質肥料を用意しましょう。
(5)苦土石灰(地植えにする場合)
(6)その他
シャベル、スコップ、園芸用手袋など
4)どんな手順が良い?シマトネリコの5つの栽培ステップ
(1)ステップ1:土づくり
・地植えの場合
植え付けの2週間ほど前に、苦土石灰を混ぜ込んで土壌を中和しておきましょう。その後、腐葉土や元肥を混ぜ込み、土作りをします。
・鉢植えの場合
自分で土づくりを行う場合は、赤玉土(小粒)7~6:腐葉土3~4の割合で配合しましょう。
(2)ステップ2:植え付け
・種から育てる場合
4~5月が植え付けの適期です。植え付けの仕方は後程ご紹介します。
・苗から育てる場合
4~5月が植え付けの適期です。
<庭植え>
株よりも一回り大きな植え穴を掘ります。そこへ苗を置き、掘って植えます。この時、深植えをすると根の発育が悪くなるため注意しましょう。
<鉢植え>
鉢底へ有機質肥料または緩効性化成肥料を施します。株よりも一回り大きな穴を掘って植えましょう。
(3)ステップ3:お手入れ
・剪定
11月と3月の2回、剪定を行いましょう。真夏や真冬の剪定は、株が弱ってしまう原因となるので避けます。
・肥料
春から秋にかけて追肥を行いましょう。
・水やり
土の表面が乾いたら水やりをしましょう。
(4)ステップ4:増やす
種まき・挿し木で増やすことができます。
(5)ステップ5:植え替え
鉢植えの場合は、2年に1度、4~6月に植え替えを行いましょう。ただし、下の方の葉っぱが急に変色し、鉢底から根が出ている場合は根詰まりを起こしている可能性があります。そのような状態の時には、2年と言わず毎年植え替えを行いましょう。
<植え替え方法>
鉢と土の間にスコップや割り箸などを差し入れ、根元を持ち、そっと抜き取りましょう。この時、けして無理に引っこ抜いてはいけません。抜き取れたら付いている土を半分ほど落とし、茶色く元気のない根は切り取ります。ここまでできたら、一回り大きな鉢へ植え付けを行いましょう。ただし、今以上に生長させたくない場合は、同じ大きさの鉢に植え替えてくださいね。
5)ここがポイント!効果的に育てる8つのコツ
(1)土の種類・鉢植え
シマトネリコは、水はけの良い土壌を好みます。根腐れを防ぐためにも土作りの際には注意しましょう。寒い地域では庭での地植えにすると冬を越すことが難しいため、鉢植えにすることをオススメします。冬の間は室内に移動させ、観葉植物として楽しみましょう。
(2)種の巻き方
種蒔きポットに腐葉土を入れ、種に覆土します。その後、そっと優しく水やりをしましょう。無事に発芽し、本葉が出るまで生長したら、元気な株を残して間引きし、お好みの場所へ植え替えをしましょう。種は20℃が発芽の適温です。寒い時期の種まきや植え付けは、発根がしっかりできずに発芽しなかったり、枯れてしまう可能性があるので避けるようにしましょう。
(3)剪定
シマトネリコはとても生育旺盛な植物です。葉の量が多すぎたり、枝が混み合った状態にしておくと、病害虫の原因となります。適度に剪定を行って、風通しを良くしておきましょう。鉢植えなどで大きくしたくないという場合は、上に伸びようとする若い芽を切りましょう。そうすることで成長を抑えることができます。剪定の際は清潔なハサミを使い、剪定後は、切断面に癒合剤を塗って細菌の侵入を防ぎましょう。ちなみに癒合剤は木工用ボンドでも代用可能ですよ。
(4)肥料・水やり
・肥料
追肥を行う際、鉢植えの場合は液体肥料を使用することをオススメします。また、冬場は必要ありません。
・水やり
水やりのし過ぎは根腐れの原因となるので避けなければなりませんが、水切れには非常に弱い植物です。水不足ははがかれ特に夏場は乾きやすいので注意が必要です。「水やりのし過ぎ」とは、水の量ではなく、頻度のことを指します。土の表面が乾いていることを確認してから、1回の水やりでたっぷりのお水をあげるようにしましょう、
(5)季節ごとの手入れ
・夏
シマトネリコは、太陽の光が大好きですが、真夏の直射日光は苦手です。葉焼けの原因となります。鉢植えの場合は、直射日光の当たらない日当たりの良い場所に移動させましょう。また、土が乾燥するのも早いので、水切れには気を付けます。水やりの時間帯も、朝方または夕方に行うようにしましょう。お水がガラスの役割をし、太陽の光で葉や茎を焼いてしまうからです。
・冬
マイナス3℃以下になる寒い地域では、室内に避難させましょう。水やりは土が乾いているのをちゃんと確認してから行いましょう。
(6)日当たり・置き場所
先ほどもお話ししましたが、地植えや鉢を屋外で育てる場合には、真夏の直射日光が当たらない日当たりの良い場所を選びましょう。半日陰の場所でも良いです。室内で育てる場合には、窓際など明るい場所に置きましょう。春や秋の午前中に、時々外で日光浴させてあげると日照不足が解消されますよ。
(7)増やし方
・種で増やす
花が咲いたら、その後サヤ上の実が付きます。その実は初秋には茶色く熟すので、収穫しましょう。その種を翌年の4~5月に種蒔きをして増やします。
・挿し木
シマトネリコを挿し木で増やすのは、初心者には少々難易度が高いです。発根しにくいので、たくさん挿し木をしましょう。4~5月に行います。若い枝を切り取ります。その後、1~2時間ほど水の入ったバケツなどに入れ、水あげをしましょう。長さを10㎝ほどに切り揃え、花を2、3枚残して他は取り除きましょう。土は肥料が入っていないものを用意し、5㎝ほどまで挿します。その後水やりをして完了です。挿し木中は、半日陰に置き、水切れを起こさないよう気を付けて管理しましょう。
(8)虫対策・健康的に育てるコツ
基本的には病害虫の心配が少なく、管理しやすい植物です。まれに被害にあうこともるので、代表的な害虫と病気、その対策をご紹介します。
1:害虫
・ハダニ
ハダニは葉の裏側に付いて、葉の汁を吸います。そのため観葉植物の命ともいえる葉の色が悪くなってしまいます。発見次第、害虫用の殺虫剤で駆除しましょう。
・カイガラムシ
カイガラムシも葉や茎の養分を吸います。株が弱って生育不良を起こし枯れてしまう場合があるます。発見したらすぐに使い古しの歯磨きなどでこそげ落としましょう。また、殺虫剤を使用するとさらに効果があります。
・イモムシ
イモムシは春先に新芽に付いて食べてしまいます。発見次第取り除きましょう。
・カブトムシ、クワガタ
シマトネリコは「カブトムシを呼ぶ木」とも言われています。屋外で育てている場合、夏場にカブトムシやクワガタが樹液を吸いに来るかもしれません。発見したら取り除きましょう。
2:病気
「炭疽病」や「褐斑病」など、カビによる病気に感染することがあります。葉に斑点ができ、その部分は光合成をできず、枯れていきます。範囲が拡大していくと株自体が枯れてしまう恐れがありますので、発見したらすぐに痛んだ葉を取り除いて廃棄し、それぞれの病状に効果のある薬を散布しましょう。葉を取り除いた時のハサミなどの道具は、きちんと殺菌消毒を行いましょう。そうすることで2次被害を防ぐことができます。また、剪定などで高温多湿の状態にしないように気を付けることで予防になりますよ。
6)要注意!育てる時に特に注意すべき3つのこと
(1)水やりに注意
水のやり過ぎは根腐れの原因となり、水不足は葉枯れの原因となります。土の表面が乾いたことを確認したら、たっぷりのお水をあげましょう。
(2)真夏の直射日光は避ける
真夏の直射日光は葉焼けの原因となりますので注意しましょう。もし葉焼けを起こしてしまったら、枝を少しだけ切ってみてください。枝の中が緑色をしていれば、葉焼けではなく、葉が変色を起こしているだけです。また、枯れてしまったのではないかと心配なときは、手で枝を折ってみましょう。枯れている時はポキッと折れますが、枯れていない時はグニャリと折り曲がるだけなので試してみてください。
(3)冬は室内へ
マイナス3℃を下回る寒冷地では、室内へ避難させましょう。外に置いたままは葉が枯れる原因となります。
7)楽しさ満載!シマトネリコの成長後の効果的な用途とは
(1)種を収穫してシマトネリコを増やす
自分で育てたシマトネリコから種を収穫し、またその種であらたなシマトネリコが誕生したらとても嬉しいですよね。
(2)カブトムシを集めて捕獲し育てる
お子さんがいるご家庭では大喜びされちゃうかも?
(3)寄せ植えのセンタープランツにする
シマトネリコの周りにお花を植えても可愛いですよ。
今回のまとめ
1)シマトネリコの紹介
2)種類の解説!シマトネリコの種類と特徴
3)先ずはグッズの準備を!栽培に必要な6つのグッズ
4)どんな手順が良い?シマトネリコの5つの栽培ステップ
5)ここがポイント!効果的に育てる8つのコツ
6)要注意!育てる時に特に注意すべき3つのこと
7)楽しさ満載!シマトネリコの成長後の効果的な用途とは