水面に美しい花を咲かせる涼しげな睡蓮。モネが絵画の題材として選んだことでも知られています。特徴的な睡蓮には幾つかの大切な栽培のコツがあります。
今回はそんな睡蓮の育て方・ステップ・栽培のコツ・注意点をご紹介します。
睡蓮の育て方解説!7つの栽培のコツ・注意点とは
1)睡蓮の紹介
(1)睡蓮とは
睡蓮は多年草の水生植物で亜熱帯に約40種類が分布しています。「耐寒性スイレン」と「熱帯性スイレン」の2つのタイプに分けることができます。水位が安定している池などに生育し地下茎から長い茎を伸ばし水面に葉や花を浮かべます。
葉は円形から広楕円形で円の中心付近に葉柄が付き、その部分に深い切れ込みが入ります。日本には「ヒツジグサ」の1種類のみ自生しており、日本全国の池や沼に広く分布しています。
(2)科目・原産地
スイレン属、スイレン科。原産地は世界の熱帯から亜熱帯地方です。
(3)草丈・開花期
草丈は15cm〜50cm。開花期は5月〜10月です。
(4)名前の由来
睡蓮は日が昇ると花を開き、夕方になると花を閉じることから、「睡」眠をする「蓮」で睡蓮と和名が付けられました。
(5)栽培の難易度とその理由
睡蓮は池や沼で咲いているイメージが強いので、育てるのが難しそうと思う人が多いですが、庭のない家庭でも睡蓮鉢で簡単に育てることができます。
2)睡蓮の3つの種類と特徴の違い
(1)ヒメスイレン
日本自生のヒツジソウと呼ばれるものを改良したもので寒さにも強く育てやすい睡蓮です。
(2)耐寒性スイレン
主に温帯地方に自生している品種を元に改良された種です。花は主に昼咲きで白、黄色、ピンク、赤などの花色があります。花の大きさは小さなもので3cm前後、大きなもので20cmほどになります。花は水面に浮かんで咲きます。寒さに一定の耐性があるので育てるのは難しくありません。
(3)熱帯性スイレン
主に熱帯地方の種類から改良された種です。花は昼咲きに加えて夜に咲かせるものもあります。花色は耐寒性種に比べて豊富で青や紫色の花を咲かせるものもあります。
花茎を水面より上に伸ばして花を咲かせるのが特長で、花の大きさも大きく立派なものが多いです。熱帯出身の種類なので寒さに弱く15度をきったあたりで枯死してしまいます。冬は室内での保温が必要となります。
3)睡蓮を育てるのに用意する2つのグッズ
(1)睡蓮鉢
睡蓮鉢は円形で口が広いものです。四角いと伸びた根が角を伝って外に出てきて傷んでしまうので必ず丸い鉢を用意しましょう。園芸店などで購入できます。
(2)タグプレート
何を植えたか分かるよう睡蓮鉢にタグをつけましょう。タグをつけていないと何を植えたのか分からなくなってしまいます。園芸店や100円ショップなどで購入できます。
4)睡蓮の4つの栽培のステップ・スケジュール
(1)ステップ1:土の用意
用土(荒木田土など粘土質で重めのもの)の一部に肥料として骨粉などを混ぜて土を準備します。骨粉を混ぜた土を鉢底から3分の1くらいのところまで入れます。
(2)ステップ2:株を植えつける
用意した用土に芽の先が土の上にでるように肥料の混ぜていない土で浅植えにします。新芽の伸びるスペースを考えて植え付けしましょう。すきまができないように割り箸や棒などで土をしっかりと固めます。
この時しっかり土を固めておかないと水に沈めた時にせっかく植えた株が浮いてきてしまいます。株が浮いてこないように表面に重石として小石を並べても良いです。
(3)ステップ3:睡蓮鉢にいれる
水をはった睡蓮鉢に植え付けた鉢を静かに沈めます。芽の先から水面まで15cmくらいが目安です。鉢底にレンガを敷くなどして高さを調節しましょう。
(4)ステップ4:水深を調節する
成長に応じて水深を深くし、最終的には耐寒性の場合は30cm、熱帯性は50cmの水深に調節します。
5)睡蓮を効果的に育てる7つのコツ
(1)池植え、鉢植えのコツ
田土のような粘土質の土を好みます。市販の荒木田土か水生植物用土を用います。荒木田土がない場合は赤玉土や黒土を水で練ったものを使います。
(2)日常の手入れのコツ
植え付けてから花が咲くまでの成長期は葉が多く茂ります。葉が多くなりすぎると株元に日光が当たらず花芽が育たず花が咲かなくなってしまいます。葉が多すぎる場合は、株元から間引きをしましょう。枯れた葉や黄色い葉はそのままにしておくと水が腐ってしまうので夏場はこまめに取り除きましょう。
(3)肥料・水やりのコツ
骨粉や固形の油かすなど有機質の緩効性肥料を元肥として、根本から離れたところに埋め込みます。肥料は根本に当たると傷んでしまうので注意しましょう。
耐寒性の場合は夏場以外は植え付けてから9月の間に3〜4回、元肥と同様の肥料を株元から離して施します。熱帯性は6月〜9月は4〜6週ごとに1回くらい元肥を株元から離して施します。生育の衰える休眠期は必要ありません。
水に沈めて育てるので水やりはいりません。水は水道水で大丈夫です。水が不足すると枯れてしまうので水が減ったらその都度足しましょう。開花期は特に水を吸うので注意が必要です。水が濁ると日光が株に当たらくなるので、藻が生えたり水が濁ったら新しい水に入れ替えましょう。
(4)日当たり・置き場所のコツ
日光を好み、日光が当たるほど成長が早くなり花付きが良くなるので日当たりの良い場所に置きましょう。
(5)増やし方のコツ
株分けで増やすことができます。3年に1度、耐寒性は3〜4月、熱帯性は5〜7月の植え替えの時期に株分けします。1株に1芽つくように、伸びた根をナイフなどえ切り離すと株分けできます。株分けしたら乾燥しないように注意して株を植え付けましょう。
(6)虫対策・健康的に育てるコツ
ヨトウムシは葉を食べる害虫です。見つけたらすぐに駆除しましょう。アブラムシは葉や花茎に発生しやすく養分を吸汁してしまうので大量発生する前に薬剤などで駆除しましょう。睡蓮と一緒に金魚やメダカを飼っている場合は薬剤で死んでしまうことがあるので魚毒性の表記のない薬剤を選びましょう。
(7)季節による注意
耐寒性であれば水が凍りつく程度であれば植えたままでも越冬できます。熱帯性は寒さに弱いので水温を冬の間も10〜15度の温かい状態に保つようにしましょう。
水温が下がりすぎると休眠期から目覚めず翌年花を咲かせない可能性があります。鉢を気温の変化が少ない玄関や物置などに入れて、ヒーターなどを活用しながら水温を保つようにしましょう。
6)睡蓮の成長後の効果的な2つの用途とは
(1)可愛いメダカと一緒に
睡蓮鉢で育てる場合、メダカを一緒に育てることができます。メダカは丈夫で強いので戸外でも問題なく飼育することができます。睡蓮の葉がメダカの隠れ家となり日光を凌ぐ場所になります。
メダカを鉢に入れることでボウフラや藻を食べて防いでくれる効果もあるんです。睡蓮の花と一緒に眺めるメダカの姿はとっても風流ですよ。
(2)ブリキの缶に入れてお洒落に
池や沼がなくても、玄関やベランダでも気軽に栽培できる睡蓮。睡蓮鉢に入れるのが一般的ですが、ブリキの缶やアジアンテイストの器に入れてインテリアの一部として楽しめます。自分なりにアレンジして楽しく睡蓮を育ててみましょう。
7)睡蓮を育てる魅力とは
水生植物の睡蓮は、土植えの植物とは違って水辺で涼しげな姿を楽しむことができます。メダカや金魚を育てる楽しみもありますね。
また、熱帯性スイレンには素晴らしい芳香を持つ品種も多く、青や紫など熱帯らしいトロピカルな色のものもあります。睡蓮の花言葉は「純粋な心」。純粋な心を表す睡蓮の花を眺めて疲れた心を癒してみてはいかがでしょう。
今回のまとめ
1)睡蓮の紹介
2)睡蓮の3つの種類と特徴の違い
3)睡蓮を育てるのに用意をする2つのグッズ
4)睡蓮の4つの栽培ステップ
5)睡蓮を効果的に育てる7つのコツ
6)睡蓮の成長後の効果的な2つの用途とは
7)睡蓮を育てる魅力とは