チランジアの育て方まとめ!8つのポイントを解説

チランジア

表情豊かな葉の形状が人気のチランジア。雨・霧や、空気中の水分・微量要素を栄養分として育つため、エアプランツ(気生植物)と呼ばれます。ワイヤーで吊り下げたり、ガラスの容器に入れたりと用土不要で育てることができ、飾り方も楽しめます。チランジアの育て方を、原産地や種類とともに紹介します。






目次

1)チランジアを知ろう!5項目を紹介

(1)チランジアとは

チランジアの学名はTillandsiaといい、常緑多年草です。根からの養分吸収ではなく、雨水や霧などで株を濡らし、水分を吸収することで栄養素とするエアプランツの一種です。自宅での観賞用に加えて、モデルルーム、カフェや美容室などといった商業用のインテリアとして、日本で人気が続く植物です。

(2)科目・原産地

パイナップル科チランジア属。ブラジルやメキシコなど、北アメリカ南部から南アメリカにかけて分布します。中には根を不要として、この葉全体から空気中の水分と養分を吸収するチランジアもあります。

(3)草丈・開花期

中小サイズのチランジアがほとんどですが、世界には直径が80センチにもなるチランジア・ファシクラー

タや、高さが70センチに至るチランジア・テクトルムなどの品種が報告されています。最大級のチランジア・ヒルダエとなると、開花時には2メートルもの大きさを誇ることが報告されています。チランジアの花は、その種類によって、白や紫、ブルーやピンクなど様々な色の花を咲かせます。開花時期は、種類によって異なります。

(4)名前の由来

諸説ありますが、スウェーデンの医者・植物学者であるエリアス・ティルランツの名を女性形にし、Tillandsが、Tillandziaとなったという説が有力です。

(5)育てる難易度・耐寒性

育てやすさは、園芸の中級者向けです。他の植物のように用土や、夏場での朝夕の水やりなどを必要としないため、育てやすいように感じられがちですが、お皿などの上にただ放っておけば育つのかというと、事情は異なります。

というのは、チランジアは原産地各国の風土に合わせて進化を遂げてきた品種であるため、日本の室内や屋外環境で育てるには、年間を通じて湿度・温度に十分配慮した環境づくりが大事なのです。特に冬場の寒さには弱く、生命の危機となる7を下回らないよう注意します。10度以下になると成長が止まるので、室内の温かで日中は日差しが当たる場所で育てます。

2)種類の違いはある?チランジアの約800の種類と特徴

日本の園芸店で見かけることが多くなったチランジアですが、その種類は多く、800種類を超えるといわれています。例えばチランジア・スパニッシュモスは電線や、他の樹木に着生します。また、風に吹かれながら砂漠上を移動するような、ペルーの太平洋岸砂漠のチランジア・ラティフォリアやチランジア・プルプレアなど独特の生態をもつ種類もあります。

観賞用として人気が高いのは、チランジア・リンデニーです。別名をハナアナナスといい、丁寧に編み込まれたような美しいピンク色の苞から咲くパープルの小さな花は人々を魅了し続け、原産地はペルーやエクアドルです。その他には日本の園芸店で見かけることの多い、チランジア・オーサカーナ、チランジア・ブルボーサなどがあります。

3)グッズを整えよう!栽培するに必要なグッズ6選

グッズの名称・選ぶ基準・初期費用・入手方法は

(1)グッズの名称

剪定ばさみ・リン酸分の多い液体肥料・水苔・ディスプレイ用ワイヤーまたはプレートなど・霧吹き・ソーキング用ポットなど。

(2)選ぶ基準

・植物に与える液体肥料には、肥料の3要素と呼ばれる「チッ素」「リン酸」「カリ」が含まれています。チランジアを元気に育てるためには、この3要素の中でリン酸分が、他の2要素に比べて多く配分されている肥料を選びます。

・購入直後のチランジアをディスプレイする際に、園芸用の流木などに差し込み、水苔を株元に巻き付けるとうまく固定されます。

・成長に合わせてディスプレイのためのグッズを選び替えることも、楽しみながらチランジアと長く暮らすためのコツといえそうです。

(3)価格帯

2、000円程度

(4)入手方法

園芸店やホームセンター、インターネットなど。日本国内でのエアプランツの人気が続き、100円ショップでも取り扱い店舗が年々拡充しています。

tillandsia

4)チランジアを愛でる!覚えたい3つの片仮名用語

(1)ソーキング

ソーキングとは、以下で、より詳しく述べますが、くみ置いた水に株を浸しその水分を吸収させることです。エアプランツとしてチランジアを育てるために必要となる方法です。

(2)クランプ

クランプとは、親株から子株が出ていく成長を繰り返して、群生していくことです。子株たちは同時期に花を咲かせ、その華やかさは見事です。このクランプが見たくてチランジアを育てる人も数多くいます。

(3)トリコーム

多くの種類のチランジア全体を覆う、白く細かな毛状の突起をトリコームといいます。チランジアにはこのトリコームをもたない種類もあります。

5)チランジアを元気に育てるコツ6選

(1)育ちやすいチランジアを選ぶコツ 

葉の大元の部分(この部分を株元といいます)を手でやさしく触ったときに、スカスカでないチランジアを選ぶようにしましょう。また、実際に手で持ってみるとその軽さに驚かされることが多いのもチランジアの魅力ですが、重量はチランジアの生命力にも比例しています。

そのため同じサイズが店頭で複数販売されている場合には、すべてを持ち上げてみて一番重量のあるチランジアを選びます。また、葉の色については、葉の先端が茶色がかっているものや、色味がくすんだものは避けて、きれいな色を保っているチランジアを選びます。

(2)日常の手入れ 

乾燥に強くないチランジアも多いので、特に秋から冬にかけての葉水には気を配り、こまめに行います。

(3)肥料・水やり ・ソーキング

肥料は、液体肥料のスプレーでの散布(ただし冬場以外)を行います。水やりは、霧吹きでの葉水、あるいは水を張った容器に30秒から1分沈める方法で行います。チランジアにつきやすいハダニは高温と乾燥が好物です。霧吹きでのこの定期的な葉水は、多湿に弱いハダニの発生を事前に防ぐ効果もあります。加えて、季節により、月に1回から3回のソーキングが必要です。

(4)季節ごとの手入れ

3月中旬から10月までは、半日陰の明るい窓辺、あるいは屋外など、風通しのよい環境に置いてやります。梅雨の時期に屋外で育てている場合には、雨よけを施します。夏が近づき、雨の後に直射日光が強く当たると、トリコールを持たないチランジアは葉焼けを起こしてしまう場合があるので、雨後は毎回、気に掛けてやりましょう。

夏にはひと月に、2、3回ほどのペースで、約6時間のソーキングを行いましょう。ソーキングにはカルキが抜けた水を使用します。じょうろに汲んで一晩寝かせた水道水が適します。ソーキングは、チランジアの気孔が開く夜間に行います。6時間経過後は、成長点にたまった水をしっかりと切ってやることが大事です。チッソ:リン酸:カリウムの植物の3大栄養素の各割合が、6:10:5あるいは、5:10:5などの、リン酸の多い液体肥料を月に一度霧吹きで散布してやります。

秋からは空気が乾燥し始めます。チランジアは湿地で育つ性質のものもあり、乾燥に強い植物ではありません。この時期にはスプレーでの葉水をこまめに行い、暖房で室内が乾燥する場合は、なるべく湿度を保つようにします。ソーキングは月に1~2回。約6時間行います。規定濃度にした肥料の散布は月に1度が適当です。

冬場は7を下回ってしまうと凍死の可能性が高まります。また、低温時に水をやりすぎると枯れたり、芯が腐る場合があるので、水やりは週1回程度に控え、午前中に行います。冬場のソーキングは温かな場所で行い、回数は月に1度に留め、3時間で終了させます。冬場、肥料は施しません。

(5)日当たり・置き場所 

チランジアは、乾燥にやや強く、暑さにもやや強い観葉植物です。四季がある日本では、明るく、暖かい場所での育て方を心掛けましょう。秋から冬は、明るく温かな窓辺を置き場としましょう。連れて歩きたくなる魅力を備えたチランジアですが、車の中や、温度変化の大きな置き場所は避けるようにします。

(6)虫対策・健康的に育てるコツ

チランジアは、害虫がつきやすい植物ではありませんが、以下のハダニとコナカイガラムシには特に注意をします。ただ、購入時は、園芸店で他の植物から移った害虫がついてくる場合があります。購入を決めたチランジは、よく観察しましょう。害虫の取り除き方は、自宅で水に漬け込んで取り除くのが容易な方法です。また、育てている途中でハダニがついた場合には、流水で洗って、葉からすべて落とします。

秋になり、枯葉の内側に、葉から栄養を吸汁するコナカイガラムシが発生することがあります。冬に向けて室内に取り込むタイミングによく観察し、体調2、3mmのフワフワとした綿のような姿のコナカイガラムシを発見した場合にはすぐに除去しましょう。

7)その他チランジアに関するQ&A

Q1)園芸初心者の私にもチランジアを育てることができますか?

大丈夫です。ソーキングという、あなたにとってはおそらく聞き慣れない水やりの一種の方法や、液体肥料の選び方、それから害虫対策など、いくつかの育て方のポイントを掴めば、初めて植物を育てる方でも元気なチランジアが育てられます。

Q2)チランジアの素敵な飾り方にはどんな方法がありますか?

チランジアは、その軽さが特徴です。これほど軽いのに、土に根を張らずに成長していく様子に魅了される愛好家は多くいます。エアプランツを多く、大事に扱う園芸店によっては、チランジアを飾るためのモビールを販売しています。軽さのあるチランジアをモビールの各置き場において、ふうわりふうわりと揺れ動く様子を楽しむ飾り方は、おすすめしたいディスプレイの1つです。






まとめ

【1】チランジアは雨・霧や空気から栄養分を吸収して育つ植物であるため、エアプランツと呼ばれます。

【2】乾燥と高温にはやや強い植物ですが、冬場には7を下回らない温かさが必要です。

【3】チランジアは原産地の環境に近づけることで、開花やクランプの様子を楽しむことができます。

【4】チランジアは害虫がつきやすい植物ではありませんが、ハダニとコナカイガラムシには注意をしましょう。

【5】世界には800を超えるチランジアが生息しています。

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