初心者でも育てやすいワイルドストロベリーは、ヨーロッパでは縁起のいい植物として知られています。親株から増え広がるところから花言葉は「幸福な家庭」です。
今回は、初心者でも失敗しないワイルドストロベリーの育て方・栽培のコツをご紹介します。
ワイルドストロベリーの育て方!8つの栽培のコツと注意点
1)ワイルドストロベリーの紹介
(1)ワイルドストロベリーとは
ワイルドストロベリーは、ヨーロッパや西アジア、北米に広く分布する植物で、野イチゴの一種です。真冬や真夏以外は花をつけ実ができます。ヨーロッパやアメリカでは縁起のいい植物として知られています。
(2)科目・原産地
科目はバラ科オランダイチゴ属、原産地はヨーロッパ北部、北アメリカとされています。
(3)草丈・開花期
草丈は15~30cm。開花期はとても暑い時期と寒い時期を除く3~7月始めと9~10月です。
(4)名前の由来
属名の学名「Fragaria(フラガリア)」はラテン語の「fargare(薫る)」が語源となり、芳香を放つ果実にちなんでつけられました。和名は「蝦夷蛇莓(エゾヘビイチゴ)」ですが、ヘビイチゴの仲間ではありません。
(5)耐寒性・耐陰性・難易度
極寒の地でなければ1年中外で育てることができます。日陰でも育ちますが、花や実のつき方が悪くなります。またとても丈夫な植物なので、初心者でも大丈夫です。
(6)期待できる効果・効能
・美容と強壮
ビタミンCや鉄分を豊富に含んでいるので美容に良く、貧血にも効果があり、身体を強壮にすることが期待されます。また消化器系の不調にも効果を発揮します。
・内蔵機能の強化
根には利尿、整腸作用があり、また、肝臓や腎臓の機能を高めて体内の浄化を促す効果があります。
・消炎作用
胃腸の炎症や膀胱炎、リウマチ、関節炎などに効果を発揮します。また潰した果実は皮膚の炎症、火傷、湿疹などの治療にも利用されます。
・解熱効果
体を冷やす効能があり、風邪で熱を出したときにハーブティーにして飲むと解熱効果があると言われています。
2)ワイルドストロベリーの3つの種類と特徴
ワイルドストロベリーは大きく3つの系統に分けることができます。
(1)蝦夷蛇苺(エゾヘビイチゴ)
単に「ワイルドストロベリー」というと本種を指します。ランナーを伸ばして子株を増やします。直径2cmほどの白い花を咲かせた後、赤い実がなります。
(2)アルパイン系
ランナーの出ない品種で、花が多く、実がつきやすいという特徴があります。細長く白い実をつけるアルペンホワイトや黄みがかった実がなるアルペンイエローなどがあります。但し、アルペンホワイトはランナーが出ます。
(3)アレキサンドリア系
ランナーの出にくい品種で、たくさんの実をつけます。白い実をつけるホワイトアレキサンドリアや細長く赤い実をつけ、黄金色の葉がきれいなゴールデンアレキサンドリアなどがあります。
3)ワイルドストロベリーを育てるのに用意する3つのグッズ
(1)鉢
鉢植えの際は一周り大きな鉢を用意しましょう。ストロベリーポットは通気性を好むイチゴには最適の鉢です。また地植えもできます。
(2)培養土
風通しをよくするために粒子の粗い土が向いています。自作の場合は赤玉土6腐葉土4でいいでしょう。イチゴの専用土も売られています。
(3)肥料
植え付け時には肥料はいりませんが、生育期には月に一度与えましょう。リン酸を多く含む粒状肥料がいいようです。
ワイルドストロベリープチ栽培セットというものもあります。苗1ポット、テラコッタ鉢、培養土、鉢底ネット、肥料がついて、通販で2500円程です。
4)ワイルドストロベリーの4つの栽培ステップ
(1)ステップ1:植え付け・植え替え
苗の植え付け適期は4月~5月、9月~10月です。長期間植えっぱなしにしていると株が弱り、花付きも悪くなるので1~2年に1回植え替えます。植え替えの適期は4月~5月です。
(2)ステップ2:ランナーを切る
株が成長してくると、ランナーと呼ばれる茎が地面を這うように伸びていき、先端に子株を付けます。開花期に余分なランナーを付け根から切ることで、栄養が子株にとられず収穫を長く行うことができます。
(3)ステップ3:病害虫対策
灰色カビ病の予防のために、枯れ葉はこまめに取り除きましょう。また、日当たりと風通しのよい環境に置き、病気の発生とナメクジやアブラムシからの被害を防ぎましょう。
(4)ステップ4:収穫
実が赤く熟してきたら収穫時期です。実はそのまま食べてもジャムにしてもおいしいですよ。また葉も乾燥させてハーブティに使えます。
5)ワイルドストロベリーを効果的に育てる8つのコツ
(1)鉢植え・地植えのコツ
鉢は一回り大きめのものを選びましょう。実が土に触れると病気が発生しますので、花の向きが外側になるように植え付けます。一度ワイルドストロベリーを育てた場所に植え付けると連作障害が出ますので、地植えの場合は新しい場所に植えましょう。
(2)種の蒔き方
種まきの適期は4月~5月。種をまいたら土をかぶせず、発芽まで乾かさないように管理します。発芽後は混みあった部分を間引きます。本葉が5~6枚に育った頃に植え付けます。
(3)日常の手入れのコツ
開花期に余分なランナーを切って、栄養が花や実にいくようにしましょう。また枯れ葉はこまめに取り除きましょう。
(4)水やり・肥料のコツ
土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えましょう。ただし、常に土が湿っているような状態は避けましょう。また、花や実が傷まないよう、水は株元から与えましょう。肥料は春と秋に葉の色や成長の様子を見ながら月1回程度。ゆっくり効くタイプの固形、粒状肥料を与えます。
(5)日当たり・置き場所のコツ
日当たりと風通しの良い環境が適しています。半日陰の場所でも栽培は可能ですが、花つき・実つきが悪くなります。日当たりや風通しの悪い環境では病気が出やすいので気をつけましょう。
(6)増やし方のコツ
ランナーから出てくる子株を切り離して株分けをします。適期は9月~10月で葉を3~4枚付けた子株が適しています。
(7)虫対策・健康的に育てるコツ
日当たりと風通しをよくし、灰色カビ病やウドンコ病の発生を防ぎましょう。ナメクジは見つけ次第駆除するか、ナメクジ用の誘殺剤を用います。アブラムシはほおって置くとどんどん増えるので数が少ないうちに手で取るか、薬剤を散布して駆除します。
(8)収穫のコツ
実の少し上に枝がついています。そのヘタの下から摘み取ってください。実をおいしく甘くするためには、結実した後は水を控えめにし、葉が少ししおれてきた頃にたっぷりと水やりをします。
6)栽培する上で特に注意すべき4つのこと
(1)水切れしないように注意する
水切れと同時に過湿にも注意しましょう。
(2)育てる場所は日当たりのよい場所を選ぶ
(3)月に1回肥料を与える
与えすぎは葉だけを茂らせることになるのでほどほどに。
(4)枯葉はこまめに取り除く
7)ワイルドストロベリーを保存する場合のポイント
(1)ジャムにする方法
ジャムにする場合は完熟実を収穫し、冷凍してためておきます。しかしあまり長い間冷凍すると味が落ちることがあります。果実酒を作る時はワイルドストロベリー200gに対してグラニュー糖40g、ホワイトリカーまたはブランデー350gくらいの割合です。
(2)シロップにする方法
手軽にシロップにする方法もあります。ヨーグルトにかけたり、炭酸水で割ったりして楽しみましょう。
(3)ハーブティにする方法
葉は、十分に乾燥させてハーブティーに使いましょう。生乾きのうちは毒素を持つとも言われます。
8)他にはない!ワイルドストロベリーを育てる魅力とは
(1)丈夫で育てやすい
「ワイルド」というくらいですから、丈夫で手がかからないことが一番の魅力。初心者でも楽しく育てることができます。
(2)実を収穫できる時期が長い
ワイルドストロベリーは四季なり性なので、真夏と真冬以外は常に花が咲いて実をつけてくれます。嬉しいですね。
(3)暮らしをすてきに演出
あの「ウエッジウッド」のデザインにもなっているワイルドストロベリー。白い花と鉢からこぼれ落ちそうな小さい赤い実はなんとも言えずキュート。窓辺からその姿が見えるだけで毎日を幸せな気分にしてくれます。
今回のまとめ
1)ワイルドストロベリーの紹介
2)ワイルドストロベリーの3つの種類と特徴
3)ワイルドストロベリーを育てるのに用意する3つのグッズ
4)ワイルドストロベリーの4つの栽培ステップ
5)ワイルドストロベリーを効果的に育てる8つのコツ
6)栽培する上で特に注意すべき4つのこと
7)ワイルドストロベリーを保存する場合のポイント
8)他にはない!ワイルドストロベリーを育てる魅力とは