ヤーコンの栽培方法とは?8つの育て方のコツと注意点

採りたてのヤーコン

近年、あちこちでよく名前を聞くようになったヤーコン。古くから伝わってはいたのですが、その豊富な栄養量が判明したのはごく最近の事。今では健康食のひとつとして話題になっていますね。自宅栽培は簡単ではありませんが、コツをつかめば十分可能です。今回はそんなヤーコンの栽培のコツをご紹介します。






目次

ヤーコンの栽培方法とは?8つの育て方のコツと注意点


1)ヤーコンの紹介

(1)ヤーコンとは

サツマイモによく似た形状のヤーコン。日本へは昭和60年代に伝えられたのが始めだそうですが、当初は栄養成分などがよく分からなかった為に定着しなかったようです。脚光を浴びたのは研究が進み、葉や芋部に身体に良い成分が沢山含まれている事が判明した頃から。健康を求める人々の間で人気が高まり、広く栽培されるようになりました。

(2)科目・原産地

キク科スマランサス属です。南米、アンデス原産です。

(3)草丈・開花期

草丈は1、5メートルから2メートルとやや大きく、開花期は10月頃で、ヒマワリに良く似た黄色い花を咲かせます。

(4)名前の由来

ヤーコンは英名でも「yacon」と言います。これは「果物」という意味の言葉で、シャリシャリと甘みのある食感からこの名が付けられたそうです。

(5)育てる難易度・耐寒性

栽培難易度は中くらいです。生育に適した気温は15℃から23℃までで、25℃以上になると生育が悪くなってしまいます。同時に耐寒性も、一部の品種以外はあまりありません。

(6)期待できる効果・効能

ヤーコンにはフラクトオリゴ糖、ポリフェノール、食物繊維の3つの主な健康成分が含まれています。これらは主に腸内環境に働きかけたり、血糖値を下げたりする効果があります。

2)種類はあるの?ヤーコンの5つの種類と特徴

現在日本で栽培されているヤーコンは、ペルーから導入したもの2種と、日本で独自に開発した3種に分けられます。

(1)ペルーA

芋部分が大きい為、そのまま食用としてポピュラーに用いられる種です。

(2)ペルーB

ペルーAとは逆に芋部分が小さい為、主に加工用として栽培されています。

(3)サラダオカメ

ここからは日本で開発された品種です。芋の色が綺麗なオレンジ色をしており、オリゴフラクタンを最も多く含んでいる為人気が高いです。

(4)アンデスの雪

芋の色が真っ白なのでこの名が付きました。芋が裂けたり割れたりしにくいのも特徴で、色と合わせてとても綺麗なヤーコンです。

(5)サラダオトメ

こちらも白い色をしています。ヤーコンの中では耐寒性に優れており、寒冷地栽培も可能でまた貯蔵性も高いです。

Gardening tools on old wooden background

3)グッズを整えよう!栽培するのに必要な3つのグッズ

(1)プランターor鉢

畑に植えない場合に使います。強い夏の日差しを簡単に回避できるメリットがあります。深さが30センチ以上ある物を選びましょう。鉢は1つの株で10号鉢以上が必要です。倒れにくい構造の物を選びましょう。

(2)

収穫の際に地上の葉部分を刈り取るのに使います。切れ味の良いものがよいでしょう。

(3)スコップ

こちらも収穫時に、芋部分や根に傷がつかないように土に切り込みを入れ、広めに掘り上げる為に用います。ヤーコンは1つの株がかなり大きくなるので、大きめの物がほしいです。

4)正しい栽培方法を!ヤーコンの4つの栽培ステップ

(1)ステップ1:畑作り

ヤーコンは根の部分を主に利用しますから、よい土の畑作りは最重要項目になります。植え付ける2週間前までには畑の土をよく耕し、更にph調整のために苦土石灰を混ぜ込みます。1週間前には堆肥もよくすき込んで、ふわふわと水はけの良い、栄養豊富な土に仕上げましょう。

(2)ステップ2:苗植え

ヤーコンは地上部も大きく育つので、苗同士の間隔は50センチは必要です。また、畑に畝(うね)を切って植える方法が多く取られています。畝は間隔は1メートル、高さを10センチ程に作り、生長につれて高くして行きます。

(3)ステップ3:水やり・肥料

ヤーコンはとてもみずみずしい野菜ですが、あまり水をやりすぎると割れたり種芋部分ばかりが生長するというトラブルを起こします。土の渇き具合をよく見て水を与えましょう。逆に肥料は相当たっぷりと与えてください。追肥は牛糞堆肥を用い、月に一回は欠かさず行うと良いでしょう。

(4)ステップ4: 収穫

ヤーコンは植え付けから半年ほどで収穫できます。目安は霜が降りる前。霜が降りてしまうと芋部分が腐ってしまいますので、タイミングをよく見計らいましょう。なお、芋部分は折れやすいので注意して収穫してください。土を多めにつけた状態で掘り上げるのが失敗が少なくお勧めです。

土と肥料を触っている手

5)要チェック!効果的に栽培する8つのコツ

(1)土の種類・鉢植え 

ヤーコンは弱酸性の土を好む為、石灰での調整が必要になります。根も深く張るので、深い部分までしっかりと耕しましょう。プランターや鉢に植える場合にも、底が深くて倒れにくい物を選びましょう。

(2)苗の植え方 

まず苗を植える為の穴を掘ります。そして苗より先に、穴に水を注ぐのがコツです。しっかり注いだ水が引いた後に苗を植え付けます。株元を軽く手で押さえて仕上げになります。

(3)剪定・日常の手入れ 

ヤーコンの地上部は最大で2メートル程まで生長します。そのままでもよいですが、強い風に倒されてしまう危険があるので、80センチから1メートル位に剪定してあげると丁度よく育ちます。

(4)肥料・水やり 

暑い夏には水切れを起こしてしまいやすいので、土の状態をよく見た上でしっかりと水を与えましょう。肥料はステップの項で書いた通り多めに与えますが、根に直接肥料が触れるとそこから枯れてしまいます。肥料を土によく混ぜてから、株元に寄せて置くのがコツになります。

(5)季節ごとの手入れ

ヤーコンは日当たりを好みますが、生育温度は23℃までなので夏場の暑さには弱いです。藁などを引いて日よけにしてやるとよいでしょう。

(6)日当たり・置き場所 

上記の通り日当たりを好みますが夏場には注意です。プランターや鉢に植えた場合は風通しの良い日陰に避難させるのがよいでしょう。

(7)増やし方 

地中のヤーコンは種芋である塊茎の部分と、食用にする塊根の部分に分かれています。塊根の部分は植えても芽は出ません。塊茎の部分を植えるとどんどん増えますので、適切な保存をして来年まで取っておきましょう。ただしヤーコンには連作障害がある為、同じ場所に作るのは2年から3年はあけてください。

(8)虫対策・健康的に育てるコツ 

ヤーコンは基本的に害虫に強いです。狭く植えてしまうとアブラムシが大量に発生する事がありますが、きちんと間隔をあけて広めに植えておけば発生しても放っておけばいなくなる程。少し手間は増えますが、無農薬栽培も出来る程の強さを持った野菜です。

6)ヤーコンの収穫後の効果的な2つの用途とは

(1)料理の食材として

ヤーコンは見た目はサツマイモのようですが、みずみずしくまるで梨のような歯ごたえと甘みをしています。よって他の芋類のように煮たり蒸したりといった料理よりも、生のままサラダにしたり、ほんの少し加熱する程度の料理に使うのが美味しくいただくコツです。

ただしアクが強めなので、皮をむいたらすぐに水か酢にさらしてください。しかし長時間水にさらしすぎると大事なオリゴ糖成分まで溶け出してしまう為、別の方法として皮をむいた後に電子レンジでほんの少し加熱する、というアクの抜き方もあります。

(2)ハーブティーとして

ヤーコンは茎や葉の部分も栄養豊富で、外国ではハーブの一種として扱われています。カテキンやカルシウム、ビタミンA、C、ミネラル等、身体に嬉しい成分が豊富に含まれている為、お茶として飲むのが手軽で最適です。

Newlyweds are facing are eating breakfast

7)注意!保存する場合の2つのポイント

(1)食用部分の保存

ヤーコンの食用部分を保存する場合は、濡れた新聞紙で包んだうえでビニール袋に入れ、更にダンボール箱等に入れて冷暗所に置きます。土がある場合は、埋めてしまうのが一番手っ取り早く良い方法です。ヤーコンの芋部分にはフラクトオリゴ糖がたっぷり含まれていますが、高温の場所に置くと早くに分解されてしまいます。

分解される過程で甘みが増すのですが、長期保存をした場合はその甘みが抜けてしまいます。ヤーコンは早く食べる分と保存しておく分にしっかりと分け、保存する方は低温での保存を徹底しましょう。

(2)種芋としての保存

種芋部分は収穫後の畝に埋めて、雨や霜をよける為にビニールシートをかけて保存します。雪の降る地域では食用部分と同様、冷暗所に保存してください。

8)ここがオススメ!ヤーコンを栽培する4つの魅力とは

(1)捨てるところがない

ヤーコンは芋部分だけでなく葉も茎も利用できる優れた野菜です。少し手間をかけて育てるだけで、身体に良い効果をいくつも得られます。

(2)低カロリーで甘さが味わえる

ヤーコンは優しい甘さが楽しめますが、甘さの元であるフラクトオリゴ糖は何ととても低カロリー。特にカロリーを気にする方や、中高年の方にお勧めの食材です。

(3)虫歯にならない

フラクトオリゴ糖は虫歯になりにくい糖分である事が、研究により判明しています。甘いものが好きな子供にも大変お勧めと言えるでしょう。カルシウムの吸収率をアップさせるという効果もあります。

(4)丈夫な植物

ヤーコンは少しの害虫や雑草になら負けない程の底力のある強い野菜です。温度管理はやや気を使いますが、コツをつかめば毎年嬉しい収穫が待っています。自分が育てた野菜で健康になれたら、こんな嬉しい事はありませんね。丈夫なヤーコンを沢山食べて、いつまでも若々しく元気に暮らしてみませんか。






今回のまとめ

1)ヤーコンの紹介

2)種類はあるの?ヤーコンの5つの種類と特徴

3)グッズを整えよう!栽培するのに必要な3つのグッズ

4)正しい栽培方法を!ヤーコンの4つの栽培ステップ

5)要チェック!効果的に栽培する8つのコツ

6)ヤーコンの収穫後の効果的な2つの用途とは

7)注意!保存する場合の2つのポイント

8)ここがオススメ!ヤーコンを栽培する4つの魅力とは

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