白色や薄紅色の美しい花が見事なヤマボウシ。シンボルツリーとして有名なヤマボウシは、花だけでなく可愛らしい実も大変魅力的な樹木です。そんなヤマボウシを自分の家で育ててみたいという方のために、今回はヤマボウシの育て方・栽培方法について紹介します。
ヤマボウシの育て方って?6つの栽培ステップとコツを紹介
1)ヤマボウシの紹介
(1)ヤマボウシとは
ヤマボウシはミズキ科の落葉高木で、庭先や街路樹で見かけることも多い、日本人には馴染みのある樹木です。ハナミズキと近い仲間で、梅雨の頃に真っ白い綺麗な花を咲かせます。
(2)科目・原産地
科目:ミズキ目ミズキ科
原産地:日本・中国・朝鮮半島
(3)草丈・開花期
草丈:10m~15m
開花期:5月~7月
(4)名前の由来
ヤマボウシの名前の由来は、中央の球形の頭状花序を僧侶(山法師)の頭に見立て、またそれより下の部分から出ている4枚の白色の総苞片を頭巾に見立て、比叡山延暦寺の「山法師」になぞられたものだとされています。
(5)期待できる効果・効能
滋養強壮・疲労回復・下痢・腹痛など
(6)栽培の難易度・耐寒性
難易度:初心者~中級者向け
耐寒性:普通
2)種類の違いはあるの?ヤマボウシの5つの種類と特徴
(1)ウルフアイ
葉と花に白く縁取り模様が入っているのが特徴的な品種で、別名を「班入りヤマボウシ」とも呼ばれています。その美しい姿から、シンボルツリーやホワイトガーデンなどに向いています。
(2)ミルキーウェイ
花弁がクリーム色から純白に変化するのが特徴的な品種で、通常のヤマボウシよりも花つきがよく、見応えのある大輪を咲かせます。中国産ヤマボウシの選別品種です。
(3)紅富士
別名を「ベニバナヤマボウシ」といいます。小ぶりで薄い赤色のついた総苞片が特徴的な品種で、また側枝がよく伸びる性質のため、そのまま手を入れないと盃型の樹形になります。
(4)ミスサトミ
濃いピンク色の花弁と、葉の緑色が美しいコントラストで人気の高い品種です。花つきが良く、また病害虫にも強い特徴があります。
(5)ビックアップル
他の品種に比べて大きな実をつけることから、ヤマボウシの中でも食用に適している品種です。春には美しい白い花を咲かせるため、観賞用としても人気が高いです。
3)グッズを準備しよう!育てるのに用意する6つのグッズ
(1)グッズの名称
用土・肥料・鉢(鉢植えで育てる場合)・シャベル・ジョウロ・保護材(癒合材)
(2)選ぶ基準
地植えで育てる場合には、鉢植えは必要ありません。また、用土は排水性と保水性の良いものを選びましょう。
(3)初期費用
2、000円~4、000円程度
※個人差があります
(4)入手方法
ホームセンターや園芸店、インターネットなどで入手可能です。
4)正しい手順で栽培を!6つの栽培ステップとは
(1)ステップ1:種まき
ヤマボウシは種から育てると、開花までに8年程度かかると言われています。秋に実を収穫する際に種を取り出したら、乾燥させないように注意しながら地面か鉢植えに種をまきます。日光が当たる場所に種をまく場合には、上から土を被せます。その後発芽するまでの間は、水を欠かさず与えましょう。
(2)ステップ2:苗植え
ヤマボウシをなるべく短期間で育てたい人には、市販の苗を購入して植え付けるのがおすすめです。購入した苗木の根鉢より大きめの植え穴を掘ったら、鉢の底に腐葉土と緩効性の化成肥料の順に入れて土と混ぜておきます。掘っておいた土を戻したら、苗木の根を少し崩して土に置きます。根鉢や苗の周りに土を行き渡らせたら、最初に掘った植え穴と同じ大きさに土を一周盛り、水を十分に与えましょう。その後は水が十分にひいたら、木の高さ合わせて支柱を立てて完了です。
(3)ステップ3:肥料
肥料は落葉の時期の冬場、油かすと骨粉を1:1の割合で混ぜたものを株元に施しましょう。鉢の場合には、その他に花の終わった時期と落葉直前に1回ずつ化成肥料を適量与えるようにします。。
(4)ステップ4:暫定
ヤマボウシは元々まとまりが良く定期的な暫定をあまり必要としません。ただし枯れた葉や、根元からひとつだけ勢いよく伸びてしまったような枝などは暫定しましょう。また、鉢植えで育てる場合にはあまり大きくならないように定期的に暫定を行うと良いでしょう。
(5)ステップ5:増やし方
ヤマボウシは接ぎ木で増やします。接ぎ木の適期は2月~3月と、6月~9月です。台木は葉を切り取っておき、また穂木(つぎ足す木)も葉を落として1本の棒状にします。棒の長さは10cm前後が良いでしょう。次にナイフで台木に斜めに切りこみを入れたら、穂木の先端はくさび状に切ります。その後切り込みを入れた台木に穂木を差し込んで、接いだ部分に接ぎ木テープを巻いて固定しましょう。しっかりと固定したら、台木の上の不要部分を切り落とし、切り落とした台木と穂木の切り口に保護材を塗ったら完了です。
(6)ステップ6:植え替え
植え替えは落葉期に行うのが適していますが、寒さが最も厳しい1月~2月中旬の間は避けて行いましょう。水はけの良い土を選んで、山高になるように植えつけます。根が乾燥しないように、根元を藁や腐葉土で覆うようにすると良いでしょう。
5)ここが重要!ヤマボウシを効果的に育てる8つのコツ
(1)土の種類・鉢植え
用土は赤玉土と腐葉土を混ぜた土が良いでしょう。割合としては、赤玉土が7、腐葉土が3程度がおすすめです。
(2)種の巻き方
ヤマボウシは秋に実を収穫し、種を取り出してすぐに蒔くと、翌年の4月ごろには発芽します。
(3)剪定・日常の手入れ
暫定を行った場合は、切った切り口から雑菌が入るのを防ぐために、切り口に保護材(癒合材)を塗りましょう。
(4)肥料・水やり
ヤマボウシは乾燥を好むため、水やりは与えすぎないように注意しましょう。鉢植えの場合には春と秋には定期的に水を与え、冬はほとんど水やりを行いません。また梅雨の時期にも多湿になるため水やりは行わないように気をつけましょう。また、地植えの場合には水やりは必要ありません。自然の雨で十分です。
(5)季節ごとの手入れ
ヤマボウシは暑さにも寒さにも強い植物のため、季節ごとの特別な手入れは必要ありません。
(6)日当たり・置き場所
ヤマボウシは日当たりを好みますので、よく日の当たる場所に置くのがおすすめです。また、半日陰でも育ちますが、十分な成長には足りないため、大きく育てたい場合は日当たりの良い場所で育てましょう。
(7)増やし方
接ぎ木を行う際には、2年~3年育ったヤマボウシを台木に使用します。また、2月~3月に行う場合は、前年度に伸びた充実した枝を使用するのが良いでしょう。6月~9月に行う場合には、新梢を使用します。
(8)虫対策・健康的に育てるコツ
比較的虫が付きにくいヤマボウシですが、稀にテッポウムシが付くことがあります。発見した場合には、食害される前であれば薬剤で除去できますが、既に葉が食われている場合には枝ごと切り落とす必要があります。
6)要注意・・育てる時に特に注意すべきこと
(1)日々の観察が大事
ヤマボウシは暑さにも寒さにも強く、また水やりもあまり必要がない植物のため、ついつい放置してしまうことがあります。知らない間にうどんこ病になっていたり、また枝が重なり合い過ぎてしまわないように、手入れは必要なくとも日々きちんと観察は行いましょう。
(2)多湿に注意
ヤマボウシは乾燥には強いですが、反面多湿には弱い植物です。特に梅雨の時期などは管理に注意しましょう。
7)成長後の楽しみ!ヤマボウシの効果的な用途とは
(1)観賞を楽しむ
ヤマボウシは品種ごとに様々な美しい姿を楽しむことが出来ます。花が咲く時期や、実が鈴なりについている姿を自分の庭で楽しみながら鑑賞出来るのでおすすめです。
(2)ジャムや果実酒にして楽しむ
ヤマボウシの実は、収穫後にジャムや果実酒などに加工して楽しむことが出来ます。美しいヤマボウシの花を眺めながら、目からも体内からもヤマボウシの魅力をたっぷりと味わえるためおすすめです。
今回のまとめ
1)ヤマボウシの紹介
2)種類の違いはあるの?ヤマボウシの5つの種類と特徴
3)グッズを準備しよう!育てるのに用意する6つのグッズ
4)正しい手順で栽培を!6つの栽培ステップとは
5)ここが重要!ヤマボウシを効果的に育てる8つのコツ
6)要注意・・育てる時に特に注意すべきこと
7)成長後の楽しみ!ヤマボウシの効果的な用途とは