きくらげの栽培方法を知ろう!5つの育て方のコツと注意点

きくらげ

中華料理によく入っている、独特の歯ごたえが癖になる食材、きくらげ。名前から海の生物なのだと思っている方もいると思いますが、実はキノコの仲間で森に生えています。個人で栽培するのは少々手間がかかりますが、コツをつかめば沢山の収穫が見込めます。今回はそんなきくらげの栽培・育て方のコツをご紹介します。






目次

きくらげの栽培方法を知ろう!5つの育て方のコツと注意点


1)きくらげの紹介

(1)きくらげとは

きくらげは広葉樹の幹や切り株、枯れ木の背面等に自生するキノコの一種です。コリコリとした独特の食感が人気で、特に中華料理には欠かせない食材となっています。

(2)科目・原産地

キクラゲ科キクラゲ属です。原産地は不明とされていますが、日本では平安時代から既に利用していた記録が残っているそうです。

(3)大きさ・収穫期

直径は2センチから6センチ程の範囲でばらつきがあります。春から秋にかけてが収穫期です。

(4)名前の由来

木に生える、クラゲのような食感のする食材という意味できくらげと呼ばれています。漢字では「木耳」と書きます。形が人の耳介に似ているからです。

(5)育てる難易度・耐寒性

栽培難易度はやや高めです。簡単なキット等も売られていますが、それでも失敗する事も少なくないそうです。また栽培の適温が18℃から28℃である為、耐寒性はほとんどありません。

(6)期待できる効果・効能

きくらげに多く含まれる食物繊維には便秘の解消、ビタミンDには免疫力のアップ、鉄分で貧血解消といった数多くの効能があります。

2)種類はあるの?きくらげの5つの種類と特徴

(1)キクラゲ

湿った場所、湿り気を特に好みます。様々な広葉樹の倒れた木や枯れ木、切り株などに自然発生します。大元の「きくらげ」はこの種類の事になるのですが、実はこの種類は乾燥保存が出来ません。その為流通が難しく、下記のアラゲキクラゲが一般的にきくらげと呼ばれ市場に出回っています。

(2)アラゲキクラゲ

スーパー等で見かけるきくらげはほとんどがこの種類になります。特に乾燥物はこちら以外にありません。(この後の育て方の項でも、こちらの種類を紹介しています)キクラゲよりやや大きく、手の平サイズにまで育つ事もあります。キクラゲより遅い時期に発生します。最大の特徴は表面に灰色の微毛が密生している事です。キクラゲの微毛は全くと言っていい程目立たないので、一番見分け易いポイントになります。なお下側の面は滑らかで微毛はありません。

(3)シロキクラゲ

全体が純白で水分を含むと半透明になるきくらげです。味や香りが無い為、日本では主に料理の飾り付けに使われる事が多いです。こちらも乾燥保存可能です。

(4)ヒメキクラゲ

無味無臭で、形や色があまり良くない為ほとんど食用にされる事がないきくらげです。

(5)タマキクラゲ

こちらもヒメキクラゲ同様、食用とされないきくらげです。形や色はつぶれた梅干しによく似ています。

3)グッズを整えよう!栽培するのに必要な3つのグッズ

(1)ドリル

菌を植え付ける原木に穴を開ける為に使います。ホームセンター等にあります。

(2)コモ

菌を植えた木に保湿等の為に巻き付けます。園芸用品店にあります。

(3)遮光ネット

日当たりや温度を調節したい時に使用します。こちらも園芸用品店にあります。

園芸品店

4)正しい栽培手順を!きくらげの6つの栽培ステップ

きのこ類には「菌床栽培」と「原木栽培」の二つの方法があります。菌床栽培はよくキット状になった物が売られています。ここではやや難しいですが、原木栽培の方法を紹介します。

(1)ステップ1:原木を伐採する

まずは菌を植え付ける原木を用意します。自然界ではニワトコの木によく発生していますが、ブナやナラ、カエデなど一般的な広葉樹のほとんどで栽培が可能です。ただし私有地に生えている木を勝手に伐採してはいけません。くれぐれも気を付けてください。自宅の庭に該当する木があればベストですが、無い場合は原木もセットになったキットも売られています。直径は10センチから30センチ位の物が良いでしょう。これを活動停止期になる11月以降に伐採します。

(2)ステップ2:原木の乾燥・玉切り

伐採した原木は1か月から2か月程乾燥させてから玉切りをします。これは枝を落とし、30センチから1メートル位の扱い易い長さに切り揃える作業です。

(3)ステップ3:菌を植える

きくらげの菌は通販等で入手出来ます。原木の用意が出来たら、ドリル等で穴を開け、種駒という菌を植えた小さな木材を埋め込みます。穴の大きさは種駒の種類にもよりますが直径8、5ミリの深さ25ミリから35ミリ、縦に15センチ間隔、横(円周)に3センチから5センチ間隔で開けるようにします。

(4)ステップ4:仮伏せ

菌がよく育つよう、ほだ木(菌を植え付けた原木の事)を管理する工程です。3月頃に菌を植えたほだ木であれば5月末頃の高温多湿になる時期まで、水はけが良い温かい場所に立てて揃えて置き、コモや遮光ネットでくるんだ上から水をかけて保湿してやります。あまり頻繁に水をかけすぎると腐ってしまう為、湿度80%から90%を保つように気を配ると良いでしょう。

(5)ステップ5:本伏せ

6月初め頃からこの工程に入ります。風通しが良い、雨の当たる木の下等にほだ木を安置します。ただし直射日光の当たる場所はいけません。どうしてもという場合は、遮光ネット等で日陰を作るようにします。その後雨の状況も見ながら、乾いていれば仮伏せの時と同じように水をかけてやりましょう。またきくらげであればほだ木は地面に揃えて置くだけで大丈夫ですが、2か月から3か月ごとに回転させて裏面になっていた部分を出し、どの面も同じ状態が保てるようにしてください。

(6)ステップ6:収穫

上記の工程を経て、2年目から収穫が可能になります。収穫したきくらげは、生で食べる分以外はよく乾燥させましょう。一度菌を植えたほだ木は、その後も風通しと直射日光に気を配れば数年間続けて収穫をする事が可能です。

5)要チェック!効果的に栽培する5つのコツ

(1)菌の植え方 

種駒を植え付ける時は、ほだ木の樹皮面と平行に打ち込むのがコツです。そうなるように穴も気を付けて開けてください。

(2)剪定・日常の手入れ 

ほだ木に芽や枝が生えて来る事がありますので、見つけ次第取り除いてください。また置き場所に生えて来る下草も適宜刈り取りましょう。

(3)肥料・水やり

肥料類は必要ありません。水やりは、本伏せに入ってからは余りにじめじめさせ過ぎるのは良くありません。湿度にして60%から80%を目安にしてください。

(4)日当たり・置き場所

とにかく直射日光には決して当ててはいけません。屋内で管理する場合も同じです。また乾燥は生育不良を招きますので、適した湿度を確実に保ちましょう。

(5)虫対策・健康的に育てるコツ 

収穫後の乾燥不良、または高温の時期に収穫適期を逃した場合、害虫やカビの被害を受けやすいので注意が必要です。健康的に育つ適温は18℃から28℃です。

土を触る手

6)きくらげの収穫後の効果的な食べ方・活用方法とは?

(1)摂り過ぎには注意

きくらげは食物繊維を多く含む、身体に良い食べ物です。ですが、不溶性(水に溶けない)食物繊維ですので食べ過ぎには注意しなければなりません。食べ過ぎたり、よく噛んで食べなかった場合下痢や胃痛に繋がってしまいます。一般に1日の不溶性食物繊維の摂取目標は17グラムから19グラム程度と言われています。生きくらげでは100グラム辺り約73グラム、乾燥きくらげでは約57グラム程含まれていますので、よく計算して食事に取り入れましょう。

(2)必ず加熱を

きくらげは生でも戻した乾燥品でも、必ず熱を加えて食べてください。サラダに入れる場合でもさっとゆでてください。時間にして30秒程です。このひと手間で食感が良くなる効果もあります。

(3)栄養を更に増やすには

きくらげにはビタミンDがとても豊富で、免疫機能や代謝機能をアップさせてくれます。このビタミンDを更に効果的に摂取する方法があります。それは、半日程日光に当てる事。日当たりの良い窓越しで構いません。そうするとビタミンDの含有量が増加するそうです。

(4)黒と白で使い分ける

中国で古くから薬膳料理にも使われていたきくらげ。黒きくらげは鉄分が豊富で婦人科系疾患にも効果があり、白きくらげは美肌効果があると言われています。彩りも兼ねて両方を使い分けると効果的ですね。

7)理解しておこう!保存する場合のポイントとは?

(1)生の場合

生きくらげの賞味期限は意外と長く、冷蔵庫に入れていれば15日は間違いなく持つそうです。30日でも大丈夫だったという話も聞きます。きのこ類の賞味期限は分かりにくいものですので、基準をお教えします。きくらげは本来無臭な物なので、何らかのにおいがして来たり、表面がとろっとして来たようであれば賞味期限が過ぎています。その場合は残念ですが捨てましょう。なお冷蔵庫に入れる際には、水気をしっかり拭き取っておくとより長持ちします。

(2)冷凍保存する場合

生きくらげを冷凍保存したい時には、沸騰したお湯で2分程ゆでてから氷水に取ってしっかり冷ましてください。こうする事で生きくらげの食感を損なう事無く冷凍が出来ます。その後水気をしっかりと拭き取ってから冷凍保存袋に入れて保存します。この方法で数か月持たせる事ができます。なお、使用する際には凍ったまま使うのが食感が変わらない為お勧めです。

8)ここがオススメ!きくらげを栽培する魅力とは?

(1)歴史に思いを馳せる

きくらげの歴史は古く、中国では6世紀頃から既に料理に使われていたとか。また薬膳や生薬、更には不老長寿の妙薬としても使用された例があります。そのような高級だった食材を身近に栽培し沢山利用出来る幸せを、十分に噛みしめる事が出来ます。

(2)豊富な栄養素

先述した食物繊維、ビタミンDを筆頭に、きくらげには他にもカルシウム、鉄分、カリウムやマグネシウムなどのミネラル類、ビタミンB群、葉酸までも含まれています。栽培していればこれらの栄養素をお手軽に摂る事が出来ます。

(3)乾燥より生の食感を

きくらげは乾燥品が多く出回っていますが、生のものの食感は格別です。自宅で栽培すればその食感を存分に味わう事ができますね。手間はかかりますが、それに見合った成果を出してくれる食材です。レシピも豊富なので飽きる事なく楽しむ事が出来ますよ。






今回のまとめ

1)きくらげの紹介

2)種類はあるの?きくらげの5つの種類と特徴

3)グッズを整えよう!栽培するのに必要な3つのグッズ

4)正しい栽培手順を!きくらげの6つの栽培ステップ

5)要チェック!効果的に栽培する5つのコツ

6)きくらげの収穫後の効果的な食べ方・活用方法とは?

7)理解しておこう!保存する場合のポイントとは

8)ここがオススメ!きくらげを栽培する魅力とは?

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